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ニュース
人事サービス 人材育成・研修
掲載日:2022/03/09

上司・部下間の文章のやり取りに関する意識調査

社会生活に必要な日本語・漢字の能力を高める事業を行う公益財団法人 日本漢字能力検定協会(本部:京都市東山区/代表理事:山崎信夫/以下、当協会)では、コロナ禍で急速にリモートワークが広がり、メール・チャットといった文章によるコミュニケーションが増加している社会状況に鑑み、企業における上司・部下間の文章のやり取りに関する意識調査を実施しました。

部下の作成した文章にアドバイスや指摘をすることがある主任・係長クラス以上の社員グループ(以下、上司)と、上司から文章の添削やアドバイスを受けることがある一般社員グループ(以下、部下)のそれぞれに調査した結果、部下の作成した文章にストレスを感じたことがある上司は84.5%と非常に高く、一方の部下も、53.0%が上司のアドバイスにストレスを感じたことがあることが分かりました。さらに調査結果からは、文章に関するやり取りにおいて上司・部下が互いに相手への不満や苛立ちを感じている様子がうかがえました。


<調査概要>
・調査期間:2022年1月11日~2022年1月13日
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:
【上司】「部下の作成した文章にアドバイスや指摘をすることがある」と回答した主任・係長クラス以上の社員(30歳以上)
【部下】「上司から文章の添削やアドバイスを受けることがある」と回答した一般社員(20代)
・有効回答数:【上司】420名/【部下】415名


<調査結果の詳細(一部抜粋)>

1.日常的に部下に文章のアドバイスをしている上司に対する調査結果

■上司の84.5%が部下の文章にストレスを感じたことがある
上司に対して「部下の作成した文章にストレスを感じたことがありますか。」と尋ねたところ、84.5%の上司が「ある」または「ややある」と回答した。

実に8割を超えており、非常に多くの上司は部下の作成した文章にストレスを感じたことがあると分かる。


■ストレス原因のトップは「読み手が必要とする情報が不足している」(65.1%)
なぜ多くの上司がストレスを感じているのか。「部下の作成した文章にストレスを感じたことがありますか」の問いに「ある」「ややある」と回答した人にその原因を尋ねたところ、「読み手が必要とする情報が欠けている・説明不足」(65.1%)が1位だった。2位は「適切な語彙・表現を選んでいない」(46.5%)、3位は「文に無駄が多く長い」(38.9%)で、1位と2位の間には20%近い差があった。

「誤字脱字」や「てにをは」といった文章の誤りよりも、「読み手が必要とする情報が欠けている・説明不足」といった、読み手への配慮不足にストレスを感じるようだ。


2.日常的に上司から文章のアドバイスを受ける部下に対する調査結果

■上司からの文章アドバイスにストレスを感じたことがある部下は53.0%
部下に対して「自身が作成した文章に対する上司からのアドバイスにストレスを感じたことはありますか。」と尋ねたところ、53.0%の部下が「ある」または「ややある」と回答した。

過半数ではあるものの上司84.5%に比べると部下側は約30%低い。


■ストレスの原因トップは「人によって指摘のポイントが異なる」(48.2%)
「自身が作成した文章に対する上司からのアドバイスにストレスを感じたことはありますか」の問いに「ある」「ややある」と回答した人にその原因を尋ねたところ、「人によって指摘のポイントが異なる」(48.2%)が1位だった。2位は「何度も修正を指示される」(30.9%)、3位は「良い文章の手本がない」(28.6%)で、1位と2位の間には17%の差があった。

半数近くの回答者が「人によって指摘のポイントが異なる」ことをストレスの原因と考えており、何度も修正を指示されることよりも、人によって指摘のポイントが異なることをストレスに感じる部下の割合が多いことが分かった。


3.部下に文章のアドバイスをしている上司の文章力と研修体制に関する調査結果

■部下に文章のアドバイスをしている上司の61.9%が自身の文章力に不安を抱えている
日常的に部下に文章のアドバイスをしている上司に対して「ご自身の文章力に自信がありますか。」と尋ねたところ、61.9%の上司が「いいえ」と回答した。

部下に文章のアドバイスをしているものの、6割以上の上司が自身の文章力には自信がないことが分かった。


■部下の文章力育成のために行っていることがある上司は59.5%。そのうち、行っていることとしては「OJT」(72.8%)が最多
部下の文章力を育成するために、お勤めの会社や組織で行っていることをすべてお答えくださいと尋ねたところ、「行っていることがある」と回答した上司は59.5%、特に行っていないと回答した上司は40.5%だった。「行っていることがある」と回答した上司のうち、行っていることの内訳としては、最も多かったのがOJT(72.8%)、次いで階層別研修(52.0%)だった。


<企業研修担当者のコメント>
今回当協会で実施した意識調査から、上司の84.5%は部下が作成した文章に、一方部下の53.0%は上司からの文章へのアドバイスに対してストレスを感じていることが分かりました。そして、上司と部下それぞれに「特にストレスを感じる場面やエピソード」を質問したところ、上司からは「全ての文章のレベルが低くて、毎回修正するが、なかなか成長してくれない」、部下からは「修正内容に納得ができない」「赤字だらけで返ってきてやる気がなくなる」といったエピソードが寄せられました。このことからも、文章に関するやりとりを通じて、お互いに相手に対する不満や苛立ちといったネガティブな感情が生まれている様子がうかがえます。

文章に関するやり取りは日頃から頻繁に行われているものですが、コロナ禍でリモートワークが広がり、社内外のコミュニケーションが多様化した結果、以前よりも文章によるコミュニケーションが増加しています。その分ストレスを感じる頻度も上がっているのかも知れません。

文章コミュニケーションにおける問題を見てみると、「情報や説明の不足」「意図が不明」(上司)、「人によって指摘するポイントが異なる」「手本がない」(部下)などが目立ちます。これらは文章構成力、言語表現力、推敲力などをトレーニングすることによって改善できる部分が少なくないと感じます。

また、文章に関する研修についての設問では、「部下の文章力を育成するために、お勤めの会社や組織で行っていることをすべてお答えください。」という問いに「OJT」と回答した人が72.8%と最多でした。OJTは汎用的な能力を高めることが難しいうえに、上司部下間の軋轢が生じやすいことが想像されます。上司・部下の個人に任せず、組織的に取り組むことによって、文章力の向上だけでなく、職場の人間関係や風土の改善が期待できるのではないでしょうか。
(公益財団法人 日本漢字能力検定協会 普及第二部 部長 山田 乃理子)

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(公益財団法人 日本漢字能力検定協会 / 3月2日発表・同法人プレスリリースより転載)

この記事ジャンル コミュニケーション

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