中途採用に関する人事担当者向け調査(2021)結果
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)は、中途採用を実施している企業の人事担当者に対してアンケートを実施し、1,015人から回答を得ました。このたび「2021年度の中途採用計画」の調査結果がまとまりましたので、一部を抜粋してご報告いたします。
「兼業・副業の容認」等、半数以上の企業が2021年度に新しい取り組みを計画
「オンライン」「SNS」といったデジタルツールを活用した採用手法に意欲
<解説:HR統括編集長 藤井 薫 >
新型コロナウイルス禍での積極的な中途採用計画から見える、変化の時代の人的資本経営
新型コロナウイルス感染症の拡大による最初の緊急事態宣言から約1年。多くの企業が変化を余儀なくされました。そうした中で、企業の中途採用はどう変化しているのか?人事担当者1,015人に聞いた今年度の計画から、いまと今後の中途採用の行方を見つめました。見えてきたポイントは、以下の三つです。
- 採用増:新型コロナウイルス禍においても、企業は積極的な中途採用計画を維持(2021年度の中途採用を増やす企業は23.0%、昨年度と同等の企業は49.9%)
- 新施策:多くの企業が働き手のライフに寄り添った人事施策を推進(半数以上の企業が「兼業・副業の容認」「地域限定社員」などの新しい取り組みを計画)
- 新手法:採用プロセスのDX化、面接や説明会のオンライン化の積極活用に意欲(新たに活用を検討している手法は「オンライン面接」「オンライン説明会」「SNSを通じた募集」)
積極的な中途採用計画、新たな人事施策の推進、新たな採用手法への意欲。こうした背景にあるのは、構造的な人材不足と、企業のコロナ収束後を見据えた事業拡大、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、そして、新型コロナウイルス禍で“ライフフィット志向”を高めた働く個人への企業の向き合い方の強化です。
変化に適応し、新たなビジネスを推進する人材を、いかに惹きつけ、事業成長コミットと才能開花を実現してもらうか? これは、人的資本の力で変化の時代を拓く全ての企業の経営的命題だと思います。
変化の時代を共に歩みたいと思えるPurposeのある事業計画。終身雇用より終身成長に資する機会、その方途の一つとしての兼業・副業の容認。「暮らし」と「仕事」を高次で実現するクラシゴト改革(*)がある職場、その方法としてのテレワークや在宅勤務などの新たな人事制度の推進、遠方からでも多忙な勤務の中でのスキマ時間でも企業と効率的に対話できるオンライン面接。採用プロセスのDX化に見る企業のDX適応力…。新型コロナウイルス禍での新たな仕掛けを行おうとする今年度の中途採用計画。そこには、変化の時代を新たな人の力で切り拓こうとする経営と人事の力戦奮闘の姿が見えてきます。多様な才能開花を経営の力に変える思想と実践。中途採用計画の変容から、企業の人的資本経営の変化が始まろうとしています。
*クラシゴト改革:コロナ禍でのテレワーク浸透をきっかけに時間、場所の自由裁量が広がり、生き方そのものをデザインし直す「暮らし方」×「働き方」の変化
<2021年度の中途採用計画の状況>
2021年度の中途採用を増やす企業は23.0%、昨年度と同等の企業は49.9%
合計72.9%の企業は昨年度と同等以上採用予定
今年度の中途採用計画については、23.0%の企業が採用人数を増やす(大幅に増やす予定+やや増やす予定)と回答しました。従業員規模別に見ると、5,000人以上の企業の27.3%、1,000~4,999人の企業の25.6%が中途採用を増やす計画を立てています。99人以下の企業は、21.7%が増やすと回答しており、300~999人以下の企業(増やす20.6%)や100~299人以下の企業(増やす16.8%)を上回っています。
※%を表示する際に小数点以下第二位で四捨五入しているため、合計値が表示の数値と一致しない場合があります
<中途採用に向けた人事施策の内容>
半数以上の企業が2021年度に新しい取り組みを計画
新たに「兼業・副業の容認」「新しい採用ブランディング」「地域限定社員」等を推進
過年度までに中途採用のために取り組んだ人事施策は、「残業削減などの働き方改革」(64.7%)や「テレワーク導入など、働き方の柔軟性向上の工夫」(63.5%)が他を大きく上回りました。
回答者数1,015人のうち576人と、半数以上にあたる56.7%の企業は2021年度に新しい取り組みを検討していると回答しました。それらの人事施策は、「兼業・副業容認などの人事制度改革」(18.6%)、「新しい採用ブランディング施策の実施」(17.0%)、「地域限定社員の導入」(15.8%)が多い結果となりました。
<中途採用の具体的な手法>
2021年度は「オンライン」「SNS」といったデジタルツールの活用に意欲
新たに活用を検討している手法では、「オンライン面接」(22.7%)、「オンライン説明会」(21.0%)、「SNSを通じた募集」(19.4%)、が上位となり、テクノロジーやデジタルツールを積極的に活用していく状況がうかがえます。
過年度までに、「オンライン面接」(39.7%)と「オンライン説明会」(35.8%)の活用はそれぞれ約4割に迫っていましたが、2021年度でも多くの企業がそれらの活用を検討しています。
<調査概要>
実施期間:2021年3月19日(金)~24日(水)
調査対象:企業の人事採用業務に関わっている方
*現在の勤務先従業員規模(5区分)および年代(4区分)で割付を実施
回答者数:1,015人
調査方式:インターネット調査
解説者:藤井 薫 プロフィール(略歴)
1988年、リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。以来、人と組織、テクノロジーと事業、今と未来の編集に従事。『B-ing』、『TECH B-ing』、『Digital B-ing(現『リクナビNEXT』)』、『Works』、『Tech総研』の編集、商品企画を担当。TECH B-ing編集長、Tech総研編集長、アントレ編集長・ゼネラルマネジャーを歴任。 2016年、リクナビNEXT編集長に就任(現職)、2019年にはHR統括編集長を兼任(現職)。
*HR=Human Resources(人的資源・人材)
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社リクルート /5月31日発表・同社プレスリリースより転載)