マネジメントにおける無意識な偏見(アンコンシャス・バイアス)の測定調査結果を発表
マネジメントにおける無意識な偏見(アンコンシャス・バイアス)の測定調査結果を発表 上司との対話頻度が人事評価に大きく影響。テレワーク下で注意すべき
登用・中途採用における女性への無意識な偏見は根強く、未だに課題
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:渋谷和久)は、マネジメントにおける無意識な偏見(アンコンシャス・バイアス)についての測定調査結果を発表いたします。
パーソル総合研究所は、アンコンシャス・バイアスの実態を定量的に明らかにし、企業における人材マネジメントの最適化に資することを目的に、1.人事評価面、2.マネジメント職登用面、3.中途採用面と3回調査を実施しています。本ニュースリリースは3回分の調査結果をまとめて発表するものとなります。
■調査結果概要
1. 人事評価におけるアンコンシャス・バイアス
同じ目標を持つ複数の部下に対して人事評価を行うにあたり、目標達成率など人事評価に直接かかわる要素を除き、どの間接的要素がどのくらい影響しているかをみたところ、最も強いバイアスは「対話頻度」で、対話頻度が多いほど評価にプラスの影響があった。次に強いのは「年齢」で、年齢が高いほど評価にマイナスの影響があった。
人事評価の判断に与える間接的要素全体の影響を100とすると、上司との「対話頻度」による影響の割合は40.2%、「年齢」は24.0%となる。
※人事評価への直接的要素を「目標達成」と「労働(残業)時間」とした場合、直接的要素と間接的要素が影響している比率はおよそ7:3。
2. マネジメント職登用におけるアンコンシャス・バイアス
実績や資格などマネジメント職登用に直接影響する条件が同じである複数の部下のうち、誰をマネジメント職に登用するか判断するにあたり、どの間接的要素がどのくらい影響しているかをみたところ、最も強いバイアスは「年齢」で、年齢が高いほど登用にプラスの影響があった。「人事評価」の判断では年齢が高いほどマイナスの影響があったが、登用では逆に年功的になるバイアスがうかがえる。「年齢」の次に強いのは「出身大学の偏差値」で、偏差値60程度までは高いほど登用にプラスの影響が見られた。
登用の判断に与える間接的要素全体の影響を100とすると、「年齢」による影響の割合は26.7%、「出身大学の偏差値」は20.3%となる。自分(上司)と部下との「対話頻度」は15.8%と、人事評価だけではなく、登用でも相当程度影響がうかがえる。部下の経験部門数は12.6%で、経験部門が多いほど登用にプラスの影響。
3. 中途採用におけるアンコンシャス・バイアス
同じ経験・スキルの中途採用候補者を選ぶにあたり、どの間接的要素がどのくらい影響しているかをみたところ、最も強いバイアスは候補者の「転職回数」、次に強いのは「年齢」となった。採用の判断に与える間接的要素全体の影響を100とすると、「転職回数」は21.7%、「年齢」は19.3%影響している。
「転職回数」についてみると、 4回目の転職以降(過去3回転職済み)が大きくマイナス。転職3回目と4回目との差は、出身大学偏差値が10下がるのと同程度の差である。
「年齢」についてみると、 35歳以降は効用値が大きく低下し、採用されにくくなる。 35歳を超えると、 5歳ごとに出身大学偏差値が10低下することと同程度の効果が生じる。
「性別」についてみると、男性は子あり・子なしでほぼ差がないが、女性は男性と比べて大きく効用値が下がり、子ありが最も低い。男性子ありと女性子ありの差は、 35歳-40歳の5歳の加齢効果分、出身大学偏差値が10低下することと同程度の差である。男性の方が多い職場では、女性であることのマイナスの効果はさらに大きい。業種別にみると、製造業・建設業において女性であることのマイナスの効果が大きい。
4. 性別のアンコンシャス・バイアス
マネジメント職登用において、他の条件が同じであっても、女性名の方が男性名よりも8.9ポイント登用意向が下がることが分かった(登用意向は女性名で47.8%、男性名で56.7%)。また、中途採用において、他の条件が同じであっても、女性名の方が男性名よりも11.3ポイント採用率が下がることが分かった(採用率は女性名で62.3%、男性名で51.0%)。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社パーソル総合研究所 / 12月15日発表・同社プレスリリースより転載)