BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のBPO(ビジネスプロセスアウト ソーシング)市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2019年度のBPOサービス全体(IT系BPOと非IT系BPOの合算値)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比3.3%増の4兆3,491億5,000万円と推計した。内訳は、IT系BPO市場規模が同4.0%増の2兆5,758億3,000万円、非IT系BPO市場規模が同2.2%増の1兆7,733億2,000万円であった。
2020年に発生した新型コロナウイルスにより経済活動がストップしたことは、BPO市場にも少なからずマイナス影響を及ぼしているが、そのマイナスの影響を上回る勢いで働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進による、業務効率化や業務変革を目指す企業が増えている。また、企業は外出自粛に伴うテレワークの普及・拡大に合わせた業務の最適化を加速させており、業務の外注化機運が高まっている状況にあることから、マーケット全体で見ると縮小よりも、むしろ拡大というプラスの影響のほうが強く働いていると考える。
2.注目トピック
購買・調達BPO(直接材)市場
非IT系BPO業務のひとつである、購買・調達BPO(直接材)の2019年度市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比2.4%増の38億2,000万円と推計した。
直接材に関する購買・調達業務は効率化による成果が企業の利益に直結するため、自社で対応するケースが多く、アウトソーシング事業者を活用する企業は少数派である。しかし、自社の持続的な成長を目的にグローバル化を進める大手企業が増えた近年は、コスト競争力の更なる強化を図るべく、購買・調達BPOサービスを利用するケースが散見されるようになっており、その需要は拡大基調で推移している。
また、サービスニーズの拡大に合わせて、間接材の購買・調達のみに対応していたBPO事業者が直接材を提供サービスの対象にする動きもみられ、参入事業者の増加による需要の取り込みが加速していることから、2020年度以降のマーケットも堅調に推移していく見通しである。
3.将来展望
2020年度のBPOサービス全体の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比2.1%増の4兆4,390億6,000万円、内訳をみるとIT系BPO市場規模が同1.5%増の2兆6,135億9,000万円、非IT系BPO市場規模が同2.9%増の1兆8,254億7,000万円と引き続き、プラス成長を予測する。
今後も、IT系BPO市場はクラウドサービスの普及を通じたクラウドサービス事業者が提供するデータセンターの利用拡大や、企業の扱うデータ量増大によるデータセンター利用企業の増加が見込まれることから、拡大基調を予測する。一方、非IT系BPO市場は人材不足や働き方改革・DXの推進、人材派遣サービスからの切替需要などを背景に、当該BPOサービス全般に対する需要はより一層高まっていく方向にあることから、堅調な成長が今後も続く見通しである。
■調査要綱
1.調査期間:2020年7月~10月
2.調査対象:
IT系BPO事業者、印刷系BPO事業者、コールセンター系BPO事業者、事務系 BPO事業者等
3.調査方法:
当社専門研究員による直接面談(Web含)、電話・eメールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<BPO市場とは>
本調査におけるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とは、通常企業内部にて行われ るシステム運用管理業務、コールセンター系業務(コンタクトセンター、ヘルプデスク、フルフィルメント)、間接部門系業務(人事、福利厚生、総務、経理)、直接部門系業務(購買・調達、営業、コア部門単純業務、業界固有業務)などの業務を発注企業から業務委託を受けて代行するサービスを指す。ただし、従来から外部に委託することが一般的な税務、物流、情報システム開発、ビルメンテナンスなどの専門的な事業所向けサービスに関しては対象外とする。
また、BPOのうち、IT系BPOとは発注企業からシステム運用管理業務を委託され代行するサービスとし、非IT系BPOとはその他の業務を委託され代行するサービスとする。
<市場に含まれる商品・サービス>
コンタクトセンター、ヘルプデスク、フルフィルメント、人事代行、福利厚生代行、総務代行、経理代行、購買・調達代行、営業代行、コア部門単純業務代行、業界固有業務代行等
■お問い合わせ先
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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メールアドレス: press@yano.co.jp
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(株式会社矢野経済研究所 / 11月27日発表・同社プレスリリースより転載