乳幼児を持つ父親の育休・隠れ育休取得で評価が「低下した」は1割未満。2015年調査と比べて希望と実際の乖離はより広がる傾向~『隠れ育休調査2019』調査結果:ファザーリング・ジャパン
少子化社会対策大綱では2015年からの5年間を「少子化対策集中取組期間」として、様々な側面から国をあげて、男性の育児休業取得促進が行われているものの、2020年目標の男性育休取得率13%、男性の配偶者出産直後の休暇取得率80%に対して実際の取得率は乖離したまま、集中取組期間の最終年を迎えています。
そこで、NPO法人ファザーリング・ジャパン(東京都千代田区、代表 安藤哲也)では、乳幼児を持つ父親に対し2011年、および、2015年に実施した、育児休業制度とは別に有給休暇などを利用して産後の妻のサポートや育児のための休暇(以下、「隠れ育休」)調査をフォローアップする形で「隠れ育休調査2019」を実施しました。
調査結果から、「隠れ育休」取得率は減少し、育休取得率が上昇しましたが、妻の出産後に妻のサポートや育児を目的とした育休、または隠れ育休を取得する人の全体数は50%程度で2011年、2015年調査とほとんど変化ないことが分かりました。これは、従来から休暇取得が可能な職場では、隠れずとも育休制度を利用しやすい環境へと変化し取得方法の内訳に変化が出てきた一方で、半数以上の職場では育休等が取りずらい状況が続いていると推察されます。
また、育休または「隠れ育休」を取得しなかった父親に希望取得日数や時期を質問したところ、2015年調査と比べて希望と実際の乖離がより大きくなっていることが明らかになりました。
育休制度の利用しやすい条件・環境の質問では、「上司からの声掛け等」「人事部(会社)からの声かけ等」、「日本の男性全員が育休取得」の順で回答が得られた点は2015年調査と同様でした。上司ひとりひとりのイクボス化のみならず、どの上司や人事部も男性育休取得を後押しせざるを得ない制度や文化醸成が国・職場ともに急務であり、父親への育休割り当て(クオータ)制度
の導入や「子どもが生まれたら休む」文化醸成の推進などが求められると考えます。
一方、育休または「隠れ育休」を取得した父親に取得前との変化を質問したところ、「残業時間削減」など自身の働き方に対する意識は約6割が「向上した」と回答しました。「上司からの評価」「同僚からの評価」が、「低下した」と回答した人が1割を切る一方で、「家族に対する意識」は7割~8割が「向上した」と回答しており、育休、または隠れ育休取得は、取得前より「低下」する要因はほとんど見られず、むしろライフ、ワーク、家族への意識を向上させることがわかりました。
【「NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事 安藤哲也」コメント】
厚生労働省から先日発表された2018年度の男性育休取得率は、6.16%(2017年度5.14%)は、若干伸びたとはいえ、女性の82.2%に比べても低く、未だ男性育休が社会に定着したとは言えません。本調査結果においても、相変わらず「職場の理解が進まないと男性は育休が取りづらい」という状況は変わっておらず、個人と企業(部下と上司)の意識の差が現れています。FJとしては当面、イクボスプロジェクト(多様性を理解・支援する管理職の養成事業)を推進・強化していきます。今後おそらく、育休を取る男性は徐々に増えていくと予想されますが、「取ること」が目的ではなく、産後のママをケアサポートしつつ、父親になる自覚と実践を身につけるトレーニングの機会と捉えて欲しい。そのためにも育休前に男性が受講できる「両親学級・父親学級」の実施・開講を義務化することを、FJは全国の自治体に求めていきます。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(NPO法人ファザーリング・ジャパン https://fathering.jp/index.html /6月4日発表・同社プレスリリースより転載)