野村総合研究所、「役員処遇に関するアンケート調査2006」を実施
野村総合研究所(東京都千代田区、藤沼彰久・社長、以下「NRI」)は、2006年8〜9月に「日本企業の役員処遇に関するアンケート調査2006」を実施しました。この調査は、東証一部・二部上場企業を対象に、NRIが2004年度から毎年実施しているものです。今回の調査結果を過去と比較してみると、「業績連動型報酬制度」の導入や「退職慰労金制度」の廃止など、役員層にも「成果主義」が浸透しつつある傾向が見られ、それに伴って役員に対する能力開発支援の仕組み作りが求められていることが明らかになりました。
【 59.0%が業績連動型報酬を導入 】
調査結果によると、全役員または一部の役員を対象とした業績連動型報酬制度の有無について、59.0%の企業が「仕組みがある」と回答しており、2004年度、05年度と比較すると、年々増加しています。
【 41.4%が役員退職金を廃止 】
また、役員退職慰労金制度については、「制度が無い」もしくは「最近廃止した」と回答した企業は合わせて41.4%にのぼり、昨年度調査の27.4%と比べ大幅に増えました。さらに、役員退職慰労金制度を維持している企業でも、約半数が「制度改訂を予定」または「検討している」ことがわかりました。企業のコーポレートガバナンスへの意識の高まりに伴って、役員報酬制度の見直しが加速しつつあることが伺えます。
【 ニーズの高い、役員の適性診断やコーチング 】
役員に対する「成果主義」導入の動きを背景に、本調査では、役員の適性診断やコーチングへのニーズが高いことがわかりました。役員に対する能力開発支援について、すでに制度があるか、また、今後用意したいかを聞いたところ、現在、「マネジメント能力のアセスメント(役員の適性診断や診断結果のフィードバック)」の制度がある企業は6.6%ですが、「今後用意したい」と回答した企業は28.1%にのぼりました。また、「エグゼクティブ・コーチング(役員向けの外部コーチの活用)」については、現在、制度がある企業は9.0%ですが、「今後用意したい」という企業は24.6%でした。
日本企業では従来、役員候補人材に対して、長い期間をかけてキャリアステップを踏ませながら会社やグループの価値観を共有させ、経営に必要な知識やスキルを培ってきました。しかし、役員の早期登用や外部からの登用が進んでいる中で、役員になってからも適切な経営判断をするための能力開発を支援する仕組みが不可欠であると、多くの企業が認識しつつあるようです。
NRIでは、今後も、役員評価・報酬改革などに関する調査を継続し、企業の経営者育成に資する制度策定などを支援していきます。
(野村総合研究所 http://www.nri.co.jp/ /同社プレスリリースより抜粋・12月15日)