転職時 カミングアウトが多いのは?セクシャリティによって大きく違う会社への本音:『LGBTそれぞれの転職理由・会社に求めることを調査』:Nijiリクルーティング
LGBTに特化した人材紹介を行う、株式会社Nijiリクルーティング(本社:東京都港区、代表取締役:齋藤敦)は、2016年6月~2017年9月の間に就職・転職相談を受けたLGBT当事者の内、2,133名を対象に就職・転職への意識調査を実施しました。
LGBTとは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)の総称(※)です。今回の調査ではセクシャリティの違いで会社に対して求めることや、転職理由に違いがあることが明らかになりました。
◆仕事は順調だが“セクシュアリティ”で転職を考える“ゲイ”
今回の調査では、新卒と比較して転職の相談にゲイが多い結果となり、給与や労働時間を転職理由にする人は少なく、仕事内容の不満よりセクシュアリティを理由にする人が多いことがわかりました。
トランスジェンダーは履歴書に記載する性別や、自認する性の容姿で出勤できるかなど、社会人になるタイミングでカミングアウトするかどうかを悩む人が多いため、新卒時に相談割合が多くなります。しかし、レズビアン、ゲイ、バイセクシャルは会社の風土や福利厚生制度など、就職後に「仕事をする上でセクシャリティが関係することがある」ことに気付き、転職を検討する人が増えています。ゲイには現在の仕事内容やセクシュアリティに対しての不満ではなく給料面への不満を転職理由に挙げる人もいましたが、次の職場には自分のセクシュアリティに理解がある会社を希望しています。
※性的マイノリティは数十通りに分けられると言われていますが、本調査はL、G、B、FTM、MTFの五つにわけて調査を行いました。(FTMは女性として生まれたが自認する性が男性、MTFは男性として生まれたが自認する性が女性)
【転職を決めた理由】
◆仕事内容・キャリアアップ
L:53%、G:25%、B:34%、FTM:44%、MTF:25%、全体:34%
◆セクシュアリティ
L:6%、G:39%、B:22%、FTM:32%、MTF:47%、全体:34%
◆人間関係
L:13%、G:20%、B:20%、FTM:10%、MTF:4%、全体:13%
◆給与
L:16%、G:6%、B:14%、FTM:6%、MTF:17%、全体:10%
◆労働時間
L:8%、G:3%、B:3%、FTM:3%、MTF:4%、全体:4%
◆経営状況
L:0%、G:1%、B:0%、FTM:2%、MTF:3%、全体:1%
◆その他
L:4%、G:6%、B:7%、FTM:3%、MTF:0%、全体:4%
◆フレンドリー企業(※)にはこだわらないが、理解は期待
フレンドリー企業への就職を希望する人はセクシュアリティによって大きく差があり、特にレズビアンの人は「どちらでもよい」と回答する人が多い結果となりました。しかし、理解のない企業への就職は「どちらでもよい」という回答は少ないことが分かりました。企業に求める配慮としては“同性パートナー制度”や“相談窓口の設置”などの項目が多い結果となりました。
※フレンドリー企業:積極的にLGBTへの取り組みを行っている企業
【就職先はフレンドリー企業が良い】
◆是非フレンドリー企業に
L:0%、G:35%、B:38%、FTM:45%、MTF:61%、全体:41%
◆できればフレンドリー企業がよい
L:38%、G:47%、B:14%、FTM:46%、MTF:30%、全体:40%
◆どちらでもよい
L:63%、G:18%、B:48%、FTM:9%、MTF:9%、全体:18%
【理解のない企業への就職】
◆しない
L:13%、G:47%、B:41%、FTM:53%、MTF:65%、全体:50%
◆できるだけ避けたい
L:75%、G:44%、B:36%、FTM:43%、MTF:26%、全体:42%
◆どちらでもよい
L:13%、G:9%、B:23%、FTM:3%、MTF:9%、全体:9%
【企業に求める配慮】
◆研修
L:12%、G:24%、B:38%、FTM:28%、MTF:17%、全体:24%
◆トイレや制服
L:0%、G:2%、B:2%、FTM:31%、MTF:43%、全体:19%
◆同性パートナー制度
L:47%、G:45%、B:7%、FTM:6%、MTF:4%、全体:21%
◆相談窓口の設置
L:35%、G:18%、B:41%、FTM:22%、MTF:26%、全体:24%
◆その他
L:7%、G:12%、B:13%、FTM:13%、MTF:9%、全体:11%
◆カミングアウトをしないと決めている割合は25%
カミングアウトに関する調査では、自認する性に合う容姿で生きたいと希望するトランスジェンダーは「したい」「状況次第でしたい」と答える人が8割を超える結果になりました。カミングアウトをしないで働いているトランスジェンダーも多く存在しますが、カミングアウトをして自認する性に合う容姿で働ける環境を望んでいる人が多いことがわかります。ゲイ、バイセクシャルはトランスジェンダーと比較すると「しない」と決めている人の割合が高いですが、それでも「できることならカミングアウトができる環境で働きたい」と考える人が多く存在します。一方、レズビアンは「しない」という回答が1番多くなりました。レズビアンは、将来、パートナーやパートナーの子どもを扶養する可能性があり、カミングアウトができる環境より、キャリアアップを優先的に考える傾向があると考えられます。
【カミングアウトをして働きたいか】
◆したい(する)
L:13%、G:24%、B:24%、FTM:40%、MTF:57%、全体:35%
◆状況次第でしたい
L:13%、G:41%、B:53%、FTM:43%、MTF:39%、全体:40%
◆しない
L:75%、G:35%、B:22%、FTM:17%、MTF:4%、全体:25%
LGBTそれぞれのセクシャリティへの理解が必要
現在はLGBTダイバーシティ推進に取り組む企業や自治体も増え、社会でも「LGBT」という単語を見る機会が増えてきましたが、それぞれのセクシュアリティへの理解は浅い現状があります。
仕事においてもセクシュアリティによって理解を求める内容も異なり、「知らない」ことで気付かないうちに当事者を傷つけているケースも多くあります。
LGBT当事者の悩みや転職理由はセクシュアリティによって、まったく異なっており、企業としてはそれぞれに取り組むべきことが変わるということを意識することが大切です。また、仕事内容や給与などに不満はなくても、LGBT転職者のうち1/3が、セクシュアリティを理由に転職を考えているということは、企業の人事採用戦略のうえでも重視すべきことだと考えます。
【調査概要】
期間:2016年6月~2017年9月
対象人数:2,133名(内、新卒625名、中途1,508名)
<本件に関するお問い合わせ先>
Nijiリクルーティング 広報事務局
TEL:03-5411-0066
FAX:03-3401-7788
E-mail:pr@real-ize.com
担当: 柴山(携帯:070-1389-0172)
◆ 本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社Nijiリクルーティング http://niji-recruiting.com/ /10月26日発表・同社プレスリリースより転載)