M字型カーブの底の労働力率は、神奈川県の66.8%から山形県の83.0%まで大きな差「地域別にみた女性の就業状況」~『平成28年版 働く女性の実情』を公表(厚生労働省)
厚生労働省は、このたび、「平成28年版 働く女性の実情」を取りまとめましたので、公表します。
「働く女性の実情」は、政府や研究機関などの各種統計調査を用いて、働く女性の状況などを分析した報告書で、昭和28(1953)年から毎年公表しています。
この報告書は2部構成で、I部第1章では、就業状況や労働条件など、働く女性に関する状況について、テーマを決めて執筆するI部第2章では、「地域別にみた女性の就業状況」についてまとめました。また、II部では、働く女性に関する厚生労働省の施策をまとめています。
平成28年版のテーマである、I部第2章「地域別にみた女性の就業状況」では、女性の就業状況について、地域の特徴をまとめました。我が国の女性就業の特徴の一つにM字型カーブがあります。これは、年齢階級別の労働力率*が、子育て期に低下し、アルファベットのM字の形状に似た曲線を描くというものです。女性活躍推進法が平成28年4月に全面施行され、全国的に女性の活躍推進に関する取組が進められていますが、地域別にこのM字をみるとその形状は多様となっています。
その背景として、女性の労働力率や役職者に占める女性の割合、正規の職員かパートかといった就業形態、産業構造、働くことに対する意識などには、地域ごとの特徴があると考えられ、女性の活躍を進める上では、このような地域の実情に応じ、施策を展開することが重要です。例えば、M字型カーブが台形に近いが、役職者に占める女性の割合が低い地域であれば、子育て期にも就業できていることから、仕事と育児の両立支援策よりも、女性の役職者増加に対する取組が有効であるなど、M字の窪みが浅い地域と深い地域とでは、効果的な女性の活躍推進の取組が異なると考えられます。このため、女性の活躍推進に向けた課題の検討に資するものとなるよう、女性の就業状況に関する地域の特徴を、女性の活躍推進という観点から把握・分析しています。
*労働力率:就業者と完全失業者を合わせた「労働力人口」が、15歳以上の人口に占める割合のこと
I部第2章「地域別にみた女性の就業状況」のあらまし
(カッコ内は概要版の掲載ページとなります)
(目的)
我が国の女性の年齢階級別の労働力率は、子育て期に低下し、アルファベットのM字の形状に似たM字型カーブを描いているが、地域別にこのM字をみるとその形状は多様となっている。女性の活躍を進める上では、地域の実情に応じ、施策を展開することが重要であることから、M字型カーブや役職者に占める女性の割合等のデータから、女性の就業に関する地域の特徴を把握・分析する。
■女性の年齢階級別労働力率(P.1)
・M字型カーブは、都道府県によりその形状が異なり、北陸地方では労働力率が高くM字の窪みが浅い。近畿地方では労働力率が低くM字の窪みが深い。
・M字型カーブの底の労働力率は、神奈川県の66.8%から山形県の83.0%まで大きな差(16.2ポイント)がある。
■特徴的なM字型カーブの都道府県(P.4)
M字の窪みが最も浅い鳥取県と、M字の窪みが最も深い神奈川県について、配偶者のいる女性の労働力率、人口に占める正規の職員・従業員の割合をみると、鳥取県ではともに高く、神奈川県ではともに低くなっている。
■役職者に占める女性の割合(P.7)
長期的にみると多くの県で上昇している。一般労働者に占める女性の割合が高い都道府県では、役職者に占める女性の割合も高い傾向となっている。また、役職者に占める女性の割合は産業により大きな差があることから、都道府県の産業構造により影響を受ける部分もあると考えられる。
■女性の活躍に関する意識(P.12)
「自分の家庭の理想は、『夫が外で働き、妻が家を守る』ことだ」という設問に対し、「そう思う」「ややそう思う」と回答した者(男女計)の割合が低い都道府県では、生産年齢の女性の労働力率が高い傾向にある。また、自分自身が職業を持つことについて、「子どもができてからもずっと職業を持ちたい」と思う女性の割合や、配偶者に「子どもができてからもずっと職業を持ってほしい」と思う男性の割合が高い都道府県では、女性の労働力率が高い傾向にあり、女性の労働参加、継続就業には、性別役割分担意識や働くことに対する意識が影響していると考えられる。
<報道発表資料>
「平成28年版 働く女性の実情」を公表します(PDF:215KB)
「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」(概要版)(PDF:683KB)
※なお、「平成28年版 働く女性の実情」(本文)は、厚生労働省ホームページをご参照ください。
◆ 詳しくはこちらをご覧下さい。
(厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/ /6月30日発表・報道発表より転載)