新入社員の配属先、素直さや組織へなじむ努力を評価するも、「打たれ弱い」など物足りなさも~『新入社員受け入れ側の意識と実態』:トーマツ イノベーション
トーマツ イノベーション株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔)は、新入社員受け入れ側の意識と実態についてアンケートを実施しました。アンケートは当社の研修サービスBiz CAMPUSのうち、管理職および若手社員を対象とした研修の受講者605名を対象に2016年6月1日~13日に実施しました。
※Biz CAMPUSはトーマツ イノベーションが提供する定額制ビジネス研修で、会員企業の従業員であれば若手から管理職、幹部・経営層まで幅広く対応した150のテーマから自由に受講いただくことができます。これまで東京・名古屋・大阪の中堅・中小企業を中心に9,200社以上にご利用いただいています。今回のアンケート調査では、東京会場で開催した管理職向けおよび若手・中堅社員向けの研修受講者を対象に実施しました。
【調査結果のサマリ】
新入社員配属先における教育は「OJTのみ」が最多
受け入れ側は新入社員の素直さや組織へなじむ努力を評価するも、物足りなさを感じている
配属先において自己学習を支援している企業においては即戦力としての評価も高め
【新入社員の受け入れ態勢】
新入社員研修を終えた後、各部署に配属された新入社員はどのような教育を受けるのか、新入社員を受け入れる側の取り組みを聞いた(複数選択式)ところ、「OJT」という回答が最も多く、86.9%となりました。
次いで「OFF-JT」「自己学習支援」となりましたが、2番目に多かった「OFF-JT」でも32.4%と3社に1社の実施率で、多くの会社が新入社員研修後は「OJT」を基本的な育成方法としていることが分かりました。
新入社員の育成について、取り組みの数を集計したところ、1種類が最も多く65.0%となりました。全体の1割程度(9.1%)では3~4種類と手厚く育成に力を入れている企業もありますが、ほとんどの企業で1~2種類、図1の結果と照らし合わせると「基本的にOJTを実施、OFF-JTを追加で実施している企業も3~4社に1社程度ある」という実態が浮かび上がりました。
【受け入れ側による新入社員の評価】
新入社員を受け入れる側である先輩社員・上司が今年の新入社員をどのように見ているのかを調べるために、「言われたことを素直に吸収しようとする姿勢」「自ら考える姿勢」「仕事の進め方」「タフさ」「会社・組織へのなじみ方」「基礎知識・一般常識」という六つの項目について、それぞれ五段階で評価してもらったところ、「素直な姿勢」が最も高く3.90(平均値)となりました。
次いで「なじみ方」(3.27)が高く、「先輩社員や上司からの指摘を素直に聞き入れて組織になじもう」としている新入社員の様子がうかがえます。一方で、「タフさ」(3.07)、「自ら考える姿勢」(3.00)、「一般常識」(2.91)、「仕事の進め方」(2.74)という順に評価が低くなり、戦力として見たときに新入社員に対して物足りなさを感じている受け入れ側が多いことを示しているといえます。
新入社員に関するエピソードを自由に記述してもらったところ、以下のようなコメントが得られました。
打たれ弱い
すぐ辞めていく
マイペース過ぎる
自分から行動しない指摘されたことを聴いているようで聴いておらず、同じことを繰り返し説明しないといけない など
4月に実施した新入社員を対象にしたアンケート*では、今年の新入社員に「仕事の厳しさに向き合うよりも良好な人間関係を保ちたいという傾向」が見え隠れする点を指摘しましたが、この点がまさしく受け入れ側の評価にも表れているといえます。
*2016年4月15日HRDレポート
なお新入社員に対する評価については、特に「素直な姿勢」「会社・組織へのなじみ方」などの項目において、新入社員に対する教育が手厚くなると評価が高くなる傾向がみられました。
【新入社員教育と評価の関係】
全体として、新入社員教育を手厚くするほど新入社員に対する評価は高まる傾向が見られますが、新入社員教育の種類との関連を見たところ、OJTやOFF-JTの有無ではなく、自己学習支援がある企業において新入社員の評価が高い傾向が見られました(図5-1, 5-2, 5-3、特に評価が相対的に低い「仕事の進め方」「タフさ」「自ら考える姿勢」において)。
【最後に】
厚生労働省によると、企業が自己学習支援として1年間に支出した費用は一人当たり0.6万円となっています(*)。自己学習支援施策があることで、現場における新入社員の評価が高まる=即戦力としての期待が高まるとすれば、安い投資と考えられます。ただし本質的には、OJTでもOFF-JTでも、「押し付けられ感」があるようでは成長は望めず、「いかに“自分で学ぶ”ように持っていくか」が社員の成長には不可欠です。新入社員に限らず、本人が学びたいと思ったとき(レディネス;人によってタイミングはバラバラ)に、会社として支援できる環境や制度、組織風土がないと、せっかくの成長の機会を逃してしまうかもしれず、「どういう人にどのタイミングで何を」教育するか、育成計画が大切になります。
*平成27年度 能力開発基本調査 同資料内では「自己啓発支援」として記載
【調査概要】
調査対象: Biz CAMPUSの研修(※1)を受講する管理職(課長以上)および若手・中堅社員(係長以下)
※1 東京会場で開催の管理職向け研修および若手・中堅社員向け研修調査時期2016年6月1日~2016年6月13日調査方法自記入式のアンケート調査サンプル数605名
※本レポートの内容は当社Webサイト「HRDレポート」上で公開しています。
◆本リリースの詳細については、こちらをご覧ください。
(トーマツ イノベーション株式会社 http://www.ti.tohmatsu.co.jp/ /8月31日発表・同社レポートより転載)