企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】ヒセイキコウムイン 非正規公務員

「非正規公務員」とは、臨時・非常勤職員といった非正規雇用の形態で、役所や病院、ハローワーク、学校、図書館、保育所などの国や自治体が母体となる組織で働く職員のことを言います。国家公務員法第60条、地方公務員法第22条では、臨時・非常勤職員は最長6ヵ月の任期契約で働くことができると定められていますが、契約更新を繰り返し、不安定な状況で働き続ける職員が多くいます。正規職員との賃金格差も大きく、非正規公務員は社会的な問題として注目されています。
(2018/2/7掲載)

非正規公務員のケーススタディ

公務員は安定した職業?
同一労働同一賃金の潮流は、ワーキングプア公務員まで届くか

今も昔も人気の高い職業である、公務員。その大きな理由の一つは「安定性」でしょう。リストラの心配もなく、地方公務員の場合はほとんど転勤もない。残業もそれほど多くなくて、収入も悪くない。そんな安定したイメージと、市民のために働いているという充実感を得られることが、公務員が好まれる理由ではないでしょうか。

総務省の調査によると、2016年4月時点の地方公務員数は全体でおよそ274万人。一方、地方自治体で非正規公務員として働く人の数は、およそ64万人でした。8年前の調査と比較すると、約14万5千人増加しています。この調査には任期6ヵ月未満の人や週勤務時間20時間未満の人は含まれていないため、それらの人数を合わせると、実際はもっと多くの人が非正規公務員として働いていることになります。

非正規公務員が抱える不安はまず、いつ契約が打ち切られるかという先行きの不透明さ。また、待遇面の格差も見逃すことができない深刻な問題です。2016年に実施された自治労の調査「自治体臨時・非常勤等職員の賃金労働条件制度調査」によると、月収16万円~18万円の非正規公務員が約3割と最多層をしめており、さらに16万円に満たない月収で働いている層が約4割もいます。安定した公務員のイメージとはかけ離れた、年収200万円未満で働くいわゆる“ワーキングプア”の労働者が、非正規公務員の現実なのです。

なぜ、非正規公務員が増えているのでしょうか。端的に言うと、職員が減っているのに、仕事は増えているからです。1995年から地方公務員数は54万人も減っていますが、保育園の待機児童問題や生活保護受給世帯の増加、学校でのいじめ問題やサイバー犯罪への対策など、国や自治体が対処すべき新たな課題は次々と発生しています。そのため、国や自治体は公務員の定数としてカウントされない非正規公務員を増やすことで、対応し切れていない業務に対処してきたのです。

非正規公務員の正規職員との賃金格差は大きな問題としてとりあげられ、2017年には、非正規公務員の給与制度を見直す法案が国会に提出されました。民間企業に広がる同一労働同一賃金の動きは、苦しい生活を余儀なくされている非正規公務員にまで届くでしょうか。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

転勤プレミアム
「転勤プレミアム」とは、主に転勤のある正社員に対し、転勤のリスクを加味して上乗せされる賃金のことをいいます。転勤が決まれば、住居や家族の仕事、子どもの教育など、生活におよぶ影響はさまざまです。また、実際に転勤を命じられなかったとしても、「いつ転勤になるか分からない」という状態が続けば、人生の見通しを...
ワーキングプア
ワーキングプアとは、「働いても豊かになれない。どんなに頑張っても報われない」という、「働く貧困層」のこと。今、日本では、このワーキングプア層の急拡大が大きな社会問題となっています。
配偶者同行制度
配偶者が転勤になった場合、その随伴のための転勤を認める制度。夫の転勤に妻も「同行」することで、妻が退職せずに済む、というメリットがあります。妻の転勤に夫が同行するパターンは、今のところ、ほとんど見られません。

関連する記事

同一労働同一賃金の施行直前、約7割が対応不十分
『日本の人事部 人事白書2020』から、同一労働同一賃金の対応状況についての調査結果を紹介します。
2020/07/07掲載人事白書 調査レポート
「同一労働同一賃金」の意味を正しく整理し、企業対応のポイントをつかみましょう
「同一労働同一賃金」という言葉は、もともと労働問題における専門用語でした。しかし、安倍首相が2016年1月22日に行った施政方針演説で触れたことで、一気に注目を集めています。ここでは「同一労働同一賃金」に正しく向き合い、対応するための情報をご紹介します。
2020/03/02掲載編集部注目レポート
人手不足で約8割の企業が悩む。技術職で顕著
『日本の人事部 人事白書2020』から、人手不足の職種や理由、対応策についての調査結果を紹介します。
2020/07/07掲載人事白書 調査レポート

関連するQ&A

同一労働同一賃金の対応について
お世話になって降ります。 当社では基本給において正職員より有期職員の方が高く設定しております。但し、有期職員には賞与、昇給は支給していません。 他社では基本給が有期職員と同額若しくは低いケースが多いと思いますが、当社の場合において同一労働同一賃金への対応はいかがしたら宜しいでしょうか。
公務員のリストラ
公務員(具体的に書けば市役所職員)は、どのような場合、リストラが合法でしょうか。もちろん懲戒項目のような違法行為は当然でしょうが、市の財政状態が良くないが故のリストラはどうなんでしょうか。
定時職員の契約時間について
定時職員の契約時間のことでお尋ねいたします。我が組織の就業規則の定時職員の定義は、「週契約労働時間が12時間以上36時間以内」と規定されています。しかしながら、現実には3~4%の定時職員の契約時間は、職員と同等の37.5時間で契約をしています。次年度の契約更新時(毎年3月)には、36時間以内となるよ...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 雇用 ]
分類:[ 報酬 ]

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

POSITIVEの導入事例はこちら 「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


「働き方改革」実現を目指した “知の交流”<br />
「TOKYO働き方改革宣言企業」交流会

「働き方改革」実現を目指した “知の交流”
「TOKYO働き方改革宣言企業」交流会

今や「働き方改革」は、企業にとって最も重要な課題の一つとなっている。多...