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【ヨミ】アンガーマネジメント アンガーマネジメント

アンガーマネジメントとは、「怒り」を上手にコントロールすることを言います。怒ることが絶対にだめだという教えではなく、ちょっとしたことでイライラせず、怒りを上手に扱う方法を教えてくれるものです。アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで生まれたとされています。当時は、DV(家庭内暴力)や、軽犯罪者の矯正プログラムのために作成されたようですが、現在ではそれが一般化し、さまざまな企業研修で取り入れられています。ここでは「怒り」の診断方法や研修で行うメリットなど、アンガーマネジメントの基礎的な知識を解説します。

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1. アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントは、上手に怒りと付き合うための心理トレーニングのことを言います。アンガーマネジメントは、決して「怒り」を悪だととらえるものではありません。たとえば私たちは、日常のなかで「あのとき、もっと怒っていればよかった」「なんであんなに怒ってしまったのだろう」と怒りについて後悔することがよくあります。このように後悔しないためにも、怒りを上手にコントロールすることが重要なのです。「怒り」が職場において適切に用いられていないと、仕事の能率や生産性に影響を与えることから、現在は多くの企業が研修に取り入れています。

アンガーマネジメントが求められてきた背景

アンガーマネジメントが日本社会で注目を集めている理由は、働き方改革にともなって、パワハラやセクハラの防止に、社会全体が力を入れだしたことにあります。近年では、インターネットやSNSの発達もともなって、職場でのいじめや嫌がらせが増えていることが明らかになっています。

実際、厚生労働省が行った「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」の報告書によると、都道府県労働局の職場のいじめ・嫌がらせに関する相談件数は年々増加傾向にあり、2012年以降はすべての相談のなかでトップになりました。さらに、嫌がらせやいじめ、暴行を受けたことで発症した精神障害の労災認定件数も増加傾向にあるようです。「平成 28 (2016)年度職場のパワー ハラスメントに関する実態調査」では、パワハラの相談件数が最も多く、約3割の企業が過去3年以内にパワハラの相談があったとしています。子どもの世界でも、暴力行為が年々増加傾向にあるため、アンガーマネジメントを教育にいかそうと検討されています。

引用:平成28(2016)年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査

また、パワハラとまではいかなくても、職場のちょっとした人間関係で発生するストレスを減らし、円滑な人間関係を形成するため、アンガーマネジメントが注目されています。厚生労働省の平成29(2017)年、労働安全衛生調査の報告書によれば、仕事に対して強いストレスを感じていると答えた人の割合は約60%程度で、そのなかで職場の人間関係の問題でストレスを感じるとした方は30%を超えています。上司との会話、同僚との付き合い、顧客との人間関係がストレスの原因になっているようです。アンガーマネジメントの手法は、このような仕事上のちょっとしたストレスを減らし、生産性の高い職場を実現するために、注目されているのです。

そして、2019年5月には女性活躍推進法や労働施策総合推進法の改正案が可決されました。パワハラやセクハラなどのハラスメントについては、国ぐるみで対策の強化が行われています。

アンガーマネジメントが仕事を効率化する?

アンガーマネジメント、つまり「怒り」をコントロールすることで、本当に仕事の能率や生産性が上がるのかどうか、半信半疑の方もいるかもしれません。しかし、「イライラして仕事に集中できなかった」「理不尽に怒られてやる気をなくしてしまった」「感情的に怒ってしまったので、その後職場での人間関係を修復するのに時間がかかった」などといった経験はないでしょうか。生活をしていればこのような状況は避けてとおれませんが、「怒り」の感情をコントロールすることで、これらの状況に陥ることを限りなく少なくすることができます。つまり、アンガーマネジメントを上手に利用することができれば、仕事に集中できる時間が増え、社員のやる気が高まり、人間関係に関するコストがあまりかからない職場を実現することも不可能ではないのです

せっかく育ててきた社員が職場の人間関係などが理由でやめてしまったら、大きな損失となります。NHKがまとめている「日本人の意識」調査(2018)では、現代の日本人の多くが職場に求めているものは高い収入ではなく、「仲間と楽しく働ける」ことだとされています。もし職場が怒りに満ちていて、よい人間関係を築けていないのであれば、社員がやめてしまう可能性が高くなります。数人の暴言や暴力によって、職場の環境は悪化してしまうものです。このような職場の環境の整備にはアンガーマネジメントが効果的でしょう。

2. アンガーマネジメントを職場で実行するために

では、具体的にアンガーマネジメントを職場に導入するにはどうすればよいのでしょうか。次に、アンガーマネジメントの具体的な内容について解説していきます。

アンガーマネジメントのポイントとは?

アンガーマネジメントは、以下の三つのポイントにまとめられます。

  • 自分の「怒り」のタイプを診断し、何に怒りを感じやすいのかを知る
  • 怒りを感じても、外に出さない方法を知る
  • 怒りを外に出す代わりに、自分が何に怒りを感じているかを落ち着いて説明する

ここでは、「怒り」のタイプを診断する方法と、職場で怒りを感じてしまったときの「アンガーマネジメント」の実践方法を解説します。

「怒り」の診断方法

怒りの診断方法はいくつかありますが、ここでは代表的なものを取り上げます。まず、下記の項目に1~6段階で答えてみてください。

※まったくそう思わない→1点、そう思わない→2点、どちらかというとそう思わない→3点、どちらかというとそう思う→4点、そう思う→5点、まったくそう思う→6点

  • Q1. 世間には尊重すべき規律があり、人はそれに従うべきだ。
  • Q2. ものごとは納得いくまでつきつめたいと思う。
  • Q3. 自分がやっていることは正しいという自信がある。
  • Q4. 人の気持ちを間違って理解していたということがよくある。
  • Q5. 性善説よりも性悪説の方が正しいと思う。
  • Q6. 言いたいことははっきりと主張すべきだ。
  • Q7. たとえ小さな不正でも見逃されるべきではないと思う。
  • Q8. 好き嫌いがはっきりしている方だ。
  • Q9. 周りの人が自分のことを何と言っているのか気になる。
  • Q10. 自分で決めたルールを大事にしている
  • Q11. 人の言うことをそのまま素直に聞くのが苦手だ。
  • Q12. 後先考えずに行動できるタイプだ。

次に(1)Q1 +Q7、(2)Q2 +Q8、(3)Q3 +Q9、(4)Q4 +Q10、(5)Q5 +Q11、(6)Q6 +Q12と、6通りの足し算を行います。一番高い点数だったものが、あなたのタイプです。

(1)公明正大タイプ(Q1 +Q7の点数が一番高かった人)
マナー違反や社会的に正しくないと思うことについて怒りを感じやすいタイプ

(2)博学多才タイプ(Q2 +Q8の点数が一番高かった人)
なんでも白黒をつけないと気がすまないタイプで、はっきりしないことや人に対してイライラする傾向がある

(3)威風堂々タイプ(Q3 +Q9の点数が一番高かった人)
自分が一番でいたいと思っているタイプで、軽んじられたり、大切にされなかったりすると、怒りを感じやすい

(4)外柔内剛タイプ(Q4 +Q10の点数が一番高かった人)
自分が決めたルールから外れることを嫌がるタイプで、表向きは穏やかだが、自分ルールから外れるとイライラしやすくなる

(5)用心堅固タイプ(Q5 +Q11の点数が一番高かった人)
ものごとをネガティブな方に誇張して考える傾向があり、周りが大ししたことがないと思っていることでも、必要以上に悪くとらえて怒ってしまうことが多い

(6)天真爛漫タイプ(Q6 +Q12の点数が一番高かった人)
後先考えずにとにかく行動し、なかなか思ったように進まない、時間がかかるということにイライラしやすいタイプ

(参照:『自分の「怒り」タイプを知ってコントロールするはじめての「アンガーマネジメント」実践ブック』P.47~)

アンガーマネジメントでは、自分がどのタイプに属すかを知り、自分のイライラの傾向がどのようなものかを理解することからはじまります。たとえば、あなたが天真爛漫タイプに当てはまるのならば、イライラし始めた際に「思ったとおりにいかないから、イライラしているのだな」と判断し、「焦らなくてもよいから、もっと寛大な心でいよう」と思い直すことで、無用なイライラを防ぐことができます。自分の「怒り」の傾向を知ることは、「怒り」をコントロールするはじめの一歩になります。

職場でできる7つのアンガーマネジメント実践方法

次に、怒りを感じても外に出さないようにするために、職場ですぐにでもできる七つのアンガーマネジメント実践方法を紹介します。知識として身につけるだけではなく、実践することが重要です。

(1)6秒間数える

別名6秒ルールとも言いますが、怒りがわいたら6秒数えることが、怒りを鎮める効果的な方法だと考えられています。これは、人間の怒りのピークが長くても6秒であることからきており、職場で怒りが爆発しそうなときは、まず6秒間数えることからアンガーマネジメントをはじめてみましょう。

(2)怒りがわきそうな場面から離れる

その場にいると怒りがどんどんわいてきそうという場合は、トイレに行ったり、飲み物を買いに行ったりして、その場から離れることが効果的です。怒りの焦点から気をそらすことで、冷静になることができます。

(3)今後自分の評価がどうなるか考える

感情的に怒りをあらわにする行為は、周りに負の感情を与えかねません。反対に当然怒りがわく場面で、冷静に叱ることができるのならば、評価が上がるケースが多いことは、よく知られています。今後の自分の評価を考えて、怒りがわくケースも自分の評価向上の場面に転換しようとすることで、怒りを鎮めることができます。

(4)過去の成功体験やうれしかった経験を思い出す

仕事をしていると、特に怒るような場面がなくても、なんとなくイライラしたり、起こりたくなったりすることもあるでしょう。そのようなケースで「怒り」のままに行動すると、第三者への八つ当たりなども発生し、職場の雰囲気が悪くなってしまいます。そのようなときは、過去の成功体験やうれしかった経験を思い出すことで、感情をリセットしやすくなると言われています。

(5)怒りがわいたときに言うセリフを決めておく

「大丈夫」「わかってたこと」など、怒りがわいたときに必ず言う言葉を決めておくのも、怒りを鎮めるよい方法です。好きなアニメのキャラクターや、ペットの名前でもよいでしょう。

(6)怒りを点数化する

現在抱いている自分の怒りの度合いを点数化することは、冷静になる機会を与えてくれます。「今回の怒りは3点」「この前は5点」「これは思ったよりも高く8点」など、自分の怒りを冷静に評価することで、心に余裕をつくることができます。

(7)深呼吸をする

深呼吸は、言わずと知れた怒りのコントロール方法です。深く息を吸って、いったん止めてゆっくりと吐き出すだけで、怒りを鎮めることができます。何度か繰り返すことで、副交感神経の働きが高まり、リラックスすることができるでしょう。怒りをもったままでいると、交感神経が高ぶり、体が休まらず、疲労がたまってまたイライラしやすくなってしまいます。深呼吸をうまく活用すれば、心からも体からも緊張がとれ、仕事をスムーズに行えるようになります。

アンガーマネジメントを研修に取り入れるメリット

アンガーマネジメントのメリットをまとめると以下のようになります。

  • 仕事に集中できる環境をつくる
  • 従業員のキャリアアップを助け、「理想の上司」を創り出す
  • ハラスメントのリスクを回避する

先ほど、アンガーマネジメントの手法を取り入れることで、やる気がそがれず、仕事に集中できるようになるということを解説しました。アンガーマネジメントはさらに、社員のキャリアアップとして、理想の上司を形成するためにも役立つようです。

たとえば、産業能率大学が毎年調査している「理想の上司」は、芸能人が候補にあがることでよく知られていますが、上位に選ばれる方の理由としては、「失敗しても優しくフォローしてくれて、安心して一緒に働けそうだから」「いつも一生懸命で情熱があり、仕事のことも部下のこともしっかり見てくれそうだから 」「落ち着いていて頼りになりそうだから」といった性格が並べられています。なかには、イライラしているというわけではなく「叱るときは叱ってくれそう」というのが、理想の上司の条件としてあげている方もいるようです。

このような理想の上司でいるためには、「怒りの感情」に振り回されず、叱るときに叱り、教えるときは教える、という態度でいる必要があります。怒りの感情に振り回され、気にくわないというだけで罵倒してしまったり、指摘するポイントと共に暴言を吐いてしまったりすると、なかなか相手に伝えたいことが伝わりません。アンガーマネジメントでは、適切な「叱り方」も身につくため、理想の上司の形成には、有用だということが言えます。

リスクを減らす意味でも、アンガーマネジメントが役に立つかもしれません。現在ではどこでも、動画の撮影や音声の録音を行うことができるため、会社でハラスメントがあった場合、大きな問題になりやすい傾向があります。また、会社の評判はすぐインターネットに掲載されてしまうため、新しい社員の獲得にも影響が出てきてしまいます。パワハラを防止し、よい人間関係を築ける環境をつくることは、会社の社会的な評価を上昇させ、告発のリスクが減少することをにつながります。このような観点からも、アンガーマネジメントを社員研修に取り入れることには、一定の意義があると言えるでしょう。

3. ちょっとしたことでは怒らない! 今後求められる理想の上司

なんで怒りたくなったのかを相手に伝える際は、その原因を適切に伝える必要があります。このような状況のときに感情のまま動いてしまうと、相手も反発し、怒りの原因が上手に伝わらないでしょう。

アンガーマネジメントとは「怒り」を上手にコントロールすることを言いますが、誤解してはならないのは「怒り」を抱くこと自体が悪ではない、ということです。適切な状況において怒りを表現することが、効果的な場合もあるでしょう。ただ、ちょっとしたことでイライラせず、怒りを上手に扱う方法をみんなが使えるようになったら、職場の環境もよくなり、社員の意欲や生産性もアップするでしょう。アンガーマネジメントが教えてくれるのは、この「怒り」をコントロールする方法です。

まとめ:アンガーマネジメントで仕事のしやすい環境づくりを!

現在、アンガーマネジメントが日本社会で注目を集めている理由は、働き方改革にともなって、パワハラやセクハラを防止し、労働者にとって働きやすい環境を整えようと社会全体が力を入れことにあります。インターネットやSNSの発達によって、職場でのいじめ・嫌がらせが明るみに出てきたこともありますが、職場のちょっとした人間関係で発生するストレスを減らし、円滑な人間関係を形成するためにも、アンガーマネジメントが注目されているのです。

アンガーマネジメントの基礎的な方法としては、自分の怒りの傾向を知り、怒りがわきそうな場面になったら気を紛らわしたり、深呼吸をしたりといったものがあります。よい思い出を頭に思い浮かべることも、効果的な方法だとされています。同僚や部下の欠点を指摘する際に、怒りの感情までを付け加える必要はありません。たとえ怒りがわいたとしても、冷静に対処することで、怒りの原因や、今後の改善点などを具体的に伝えることができます。パワハラを防止し、よい人間関係が築ける環境をつくるためには、怒りを爆発させないよう、自分でコントロールすることが重要です。よりよい職場をつくっていくためには、アンガーマネジメントを社員研修に取り入れ、社員に怒りとの向き合い方を教えることが、効果的な方法かもしれません。

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