リアリティー・ショック
リアリティー・ショックとは?
「リアリティー・ショック」とは、現実と理想のギャップに衝撃を受けること。企業においては新たに職に就いた人材が、事前に思い描いていた仕事や職場環境のイメージと、実際に現場で経験したこととの違いを消化しきれず、不安や幻滅、喪失感などを強め、ときに離職にまでいたる問題をいいます。新入社員だけでなく、ベテランも大きな環境変化に直面すると、リアリティー・ショックに陥ることがあるといわれます。
新人の6割が入社1ヵ月で仕事に幻滅!?
最大の原因は上司や先輩との人間関係
新しく組織に所属する人に、組織内で必要な知識やスキルを修得させつつ、組織に順応させるプロセスを「組織社会化」といいます。新入社員は入社後、組織社会化を経て職場に適応していきますが、その過程で程度の差はあれ、リアリティー・ショックを感じる人は少なくありません。
マイナビが、2008年春に入社して1ヵ月経った新入社員313名を対象に実施した「リアリティー・ショックに関するアンケート調査」によると、入社1ヵ月でリアリティー・ショックを感じた新入社員は、「とても感じた」(16.6%)と「少し感じた」(46.3%)をあわせると、全体の6割以上に達しています。
リアリティー・ショックを感じたことで心理的にどんな影響があったかについては、「焦りを感じる」(36.0%)という答えが最も多く、次いで「会社に行きたくないと思うことがある」(35.5%)、「将来が不安で仕方ない」(29.9%)、「仕事をやめたいと思うことがある」(27.9%)という結果となり、リアリティー・ショックが早期離職のきっかけになりかねないということがわかります。
またリアリティー・ショックを感じたと回答した人を対象に、どんなことに対して感じたかを尋ねたところ、最も多かった回答が「社会人としての自分の能力」と「社内の人間関係」で、ともに42.1%。さらに社内の人間関係に悩んでいると答えた4割強の人に対して、誰との関係に悩んでいるかを尋ねてみると、多い順に「同性の先輩」(57.8%)、「直属の上司」(45.8%)が続き、以下「同性の同期」、「異性の先輩」、「異性の同期」という結果になりました。
理想と現実の違いにショックを受け、離職を考えるほど思い悩んでしまう――こうした傾向は“ゆとり世代”と呼ばれる最近の新人に特有かと思いきや、そうではありません。リアリティー・ショックという概念自体は、いまから半世紀以上も前に米国の組織心理学者のE.C.ヒューズによって提唱されました。ヒューズは、リアリティー・ショックは特に「組織の上司や同僚との関係性」から生じると述べています。
新入社員にとって、リアリティー・ショックはある意味避けて通れないものですが、それをきちんと受け止められるか否かは、周囲の上司や先輩の対応、フォローにかかっているといっても言い過ぎではありません。自分自身の仕事のやりがいやつらかった経験を通じて、新人たちにこれから与えられる業務の意味やミッションを粘り強く、噛み砕いて伝えていくことが大切です。また会社側も、配属先での受け入れ態勢に万全を期すべきでしょう。名刺はもちろん細かな備品にいたるまできちんと準備して、「組織は君を歓迎している」というメッセージを伝えるとともに、新入社員が「ここに自分の居場所がある」という安心感を得られるようにする必要があります。
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