社会人基礎力
社会人基礎力とは?
さまざまな人々と一緒に仕事をする上で必要とされる、社会人としての基礎的な能力のこと。経済産業省は2006年2月、「社会人基礎力に関する研究会」で、『前に踏み出す力(アクション)』『考え抜く力(シンキング)』『チームで働く力(チームワーク)』の主要3能力・12の構成要素を定義、発表しました。
社会人として必要な基礎的能力を指針化
産学連携で能力養成を支援
厚生労働省の調査によると、大学新卒で就職した若者の3年以内の離職率は、2004年3月卒で36.6%と、1987年の調査開始以来最も高い水準となりました。現在、若者の早期離職は社会問題となっています。大きな要因として、社会人に必要な基礎的能力を学生のうちに習得していないことが挙げられます。産業界からも、ここ数年の間に入社した新社会人に対して、「マナーを知らない」「課題解決力に乏しい」という指摘が増えてきました。一方で、企業を取り巻く環境の変化に伴い、今まで以上にスピーディーに、新しい価値を創出することが求められているのが現状です。そのため、成果をもたらす人材の確保や育成が急務になってきました。
これを受け、経済産業省経済産業政策局は2005年7月、トヨタやソニーなど大手企業の人事担当者や、大学教授などの有識者を集め「社会人基礎力に関する研究会」を発足させました。同研究会では06年2月にまとめた報告書の中で、社会人基礎力を構成する3つの能力を次のように定義しています。
1. 前に踏み出す力(アクション)
一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力
2. 考え抜く力(シンキング)
常に問題意識を持って課題を発見し、解決方法やプロセスについて納得いくまで考え抜く力
3. チームで働く力(チームワーク)
自分の意見を的確に伝えるとともに、異なる意見や立場も尊重しながら、多様な人と目標に向けて協力する力
さらに、この3つの能力について、「前に踏み出す力」は、主体性/働きかけ力/実行力、「考え抜く力」は、課題発見力/計画力/創造力、「チームで働く力」は、発信力/傾聴力/柔軟性/状況把握力/規律性/ストレスコントロール力という12の要素に細分化しています。
こうした能力を養うためには、大学などの教育機関・企業・地域社会が一体となって、枠組み作りを進める必要があることから、同省は「2007年度産学連携による社会人基礎力育成・評価事業」を実施しています。07年度は東京電気大学、武蔵大学、宮城大学、山梨学院大学、中京大学、愛知学泉大学、大阪大学の7大学の授業を「モデル事業」に採択し、それぞれが実施する授業が基礎力の育成に有効かどうかを検証・評価しました。
実際に企業で懸案となっているテーマについて、学生がチームを組み、協力して解決策を導きます。ほとんどの授業で、自ら問題を設定し、解決方法を見出すPBL(問題設定解決型教育)方式を採っており、授業に参加した学生は「円滑に仕事を進めるための対話能力が身についた」「チームで課題を解決する中で、強い責任感が芽生えた」と評価しています。同省は、こうした取り組みを全国の大学へ拡大するとともに、社会人基礎力を養う機会を設け、即戦力となる人材の育成を支援していく方針です。
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