ファビング
ファビングとは?
「ファビング(Phubbing)」とは、人と一緒にいるにもかかわらず、スマートフォンなどの操作に夢中になり、相手を無視したり上の空になったりすること。電話(Phone)と冷遇する(Snubbing)を掛け合わせた造語です。悪気なく無意識に行われることが多いものの、相手に「自分は軽んじられている」という不快感を与えます。近年、職場における対人関係の悪化や、チームの生産性低下を招く要因として問題視されています。
無意識のスマホ操作で信頼を失う
職場でのファビングがもたらす弊害
近年、スマートフォンやタブレットは業務に不可欠なツールとなりました。しかし、利便性の裏で「ファビング」が引き起こすコミュニケーション不全が、職場の新たな課題として浮上しています。例えば、部下が上司に相談を持ちかけた際、上司がパソコンやスマホの画面から目を離さずに「聞いているよ」と生返事をするケースは典型的なファビングです。
ファビングがもたらす大きな弊害は、相手の自己肯定感と心理的安全性の低下です。会話中にデバイスを優先されると、相手は「自分の話には価値がない」「自分は尊重されていない」と感じかねません。一度や二度であれば見過ごされるかもしれませんが、日常的に繰り返されると、不信感へと変わっていきます。すると、重要な報告や相談をためらうようになって業務が遅れたり、重大なミスを隠したりするなど、トラブルの火種が生まれる可能性があります。
ファビングはエンゲージメントや仕事のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。米国で行われた研究では、「上司からファビングを受けている」と感じる従業員ほど仕事に対するモチベーションが低く、会社への帰属意識も薄れる傾向が示されました。コミュニケーションの質が低下すると、チーム内の知識共有やアイデアの創出が阻害され、組織全体の生産性を大きく引き下げることもあります。常にデバイスの通知を気にする行為は、本人の集中力を削ぐだけでなく、周囲の意欲まで奪うのです。
ファビングをしている本人は悪気がなく、「効率的にマルチタスクをこなしている」と思っているかもしれません。しかし、実際には注意力が分散しているに過ぎないケースが多々あります。対面でのコミュニケーションにおいては、非言語情報である視線や表情が極めて重要な役割を果たします。デバイスに目を落としたままの会話は、共感や理解の欠如を相手に強く印象付けてしまうのです。
企業や人事に求められるのは、テクノロジーとの適切な付き合い方を組織全体で見直すこと。会議中のデバイス使用ルールを定めたり、1on1ミーティングでは通知を切ってデバイスを伏せたりするなど、目の前の相手に集中する環境づくりが重要です。ファビングの危険性を管理職研修などで啓発し、「話を聞く姿勢」を再確認することが、健全な人間関係と心理的安全性に満ちた強い組織を築く第一歩となるでしょう。
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