インターセクショナリティ
インターセクショナリティとは?
「インターセクショナリティ(交差性)」とは、一人の人間が持つ「性別」「年齢」「国籍」「障がいの有無」といった複数の属性が交差することで生じる、複雑な差別や不平等を理解するための概念です。近年、ビジネスにおけるDE&Iの文脈で注目を集めています。単一の属性だけを見るのではなく、重なり合うマイノリティ性に目を向けることで、より本質的なダイバーシティ推進が可能になります。人事課題を解決するための新たな視点と言えるでしょう。
重なり合う属性が生む特有の壁
インターセクショナリティの重要性
従来のダイバーシティ推進は、「女性活躍」「シニア活用」など、単一の属性に焦点を当てるアプローチが主流でした。しかし実社会では、それぞれの人が複数の属性を併せ持っています。たとえば、「女性」であり「外国人」で「障がいがある」場合、それぞれの属性に対する偏見が絡み合い、より複雑で深刻な困難に直面することがあります。このような「属性の交差点(インターセクション)」で起こる問題に光を当てるのが、インターセクショナリティの考え方です。
企業がこの概念を理解しないままDE&I施策を進めると、意図せずに一部の従業員を取り残してしまうリスクがあります。たとえば「女性の管理職登用」を進める際、無意識のうちに「マジョリティに属する女性(日本人、健常者など)」だけが対象になるケース。属性が重なることで生じる特有の働きづらさを見落とすと、不公平感を生み、組織の心理的安全性を損なうことにつながりかねません。
職場における他の例として、「若手」かつ「介護を担っている」従業員が挙げられます。「若手だから体力があり、残業もできるはず」という年齢に対する思い込みと介護問題が組み合わさると、当事者が周囲にSOSを出しづらくなるかもしれません。上司が単一のフィルターで部下を見てしまうと、複合的な要因によるストレスや疲弊に気づくことができず、突然の離職を招く恐れがあります。
人事部門に求められるのは、画一的な支援ではなく、従業員一人ひとりの多様な背景を多角的に理解する姿勢です。まずは社内アンケートや1on1ミーティングを通じて、マイノリティ性が交差する立場にある従業員の声を拾い上げること。そして、現在の評価制度や育成制度が、特定の属性の人に対して不利に働くバイアスがないかを定期的に見直し、柔軟な働き方を選択できる制度設計を行うことが必要です。
あらゆる従業員が自分らしく能力を発揮できるインクルーシブな職場環境の構築は、企業の持続的な成長に欠かせません。インターセクショナリティの視点を取り入れ、複雑化する個人のアイデンティティを深く理解し、一人ひとりに寄り添うマネジメントが重要です。
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