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厚生労働省委託「令和5年度働き方・休み方改革推進に係る広報事業」 働き方・休み方改革 シンポジウム

注目の記事人事制度[ PR ]掲載日:2024/01/31

改正労働基準法の施行から4年半が経過した。働き方・休み方改革に向けた取組が加速しつつあるが、まだまだ道半ば。多様な人材が働きやすさ、休みやすさを実感できる職場づくりをさらに前進させていかなければならない。こうしたなか、2023年11月22日(水)に「働き方・休み方改革シンポジウム」が開催され、働き方・休み方改革を実現するためのポイントや施策について議論が交わされた。その様子はライブ配信され、多数の人々が視聴。このテーマに対する関心の高さがうかがえた。当日の様子を、レポートでお伝えする。


「令和5年度 働き方・休み方改革シンポジウム」(2023年11月22日開催)アーカイブ動画(厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」内『シンポジウム・セミナー情報』に掲載)

開会挨拶

開催にあたり、厚生労働省大臣官房参事官(雇用環境政策担当)立石祐子氏が開会挨拶。本シンポジウムの内容と意義を語った。

〈基調講演〉何のための働き方改革か?多様な人材が活躍できる職場を

東京大学 名誉教授 佐藤 博樹 氏

冒頭の基調講演では、佐藤氏が働き方改革の目的や現状、進め方について解説した。

「働き方改革に取り組む企業も多いものの、現状を見ると、特に30歳代・40歳代の正社員はまだまだ残業をしています。小さい子どもがいる人なら、一緒に夕食を取ることは難しいでしょう。長時間労働は、個人にとっては生活の質の低下、企業にとっては生産性・創造性の停滞や多様な人材活用の阻害、社会的には子育てをする女性の就業継続の阻害につながります。こうした課題を解消していかなければいけません」

佐藤氏は長時間労働の背景として、仕事要因(人員不足、スケジュール管理、仕事の属人化等)、マネジメント要因(仕事の配分の偏り、不適切な指示等)、本人要因(対価を考慮しない頑張り等)、人事管理要因(働き方の評価基準が適切でない等)、そして職場風土要因(時間をかけた働き方を評価する等)の5つを挙げた。これらを踏まえて企業は働き方改革を進めていかなければならない。

難しいのは、働き方改革の取組が、残業削減で収入が減る、仕事が生きがいなのに制限されるなどの理由で、仕事満足度の低下につながりかねないことだ。それだけに、働き方改革を否定的に捉える社員もいる。どう進めていけば良いのか。佐藤氏は2つのポイントを強調した。

「まずは、働き方改革の目的を明確化し、社員に浸透させることです。目的は残業削減ではありません。仕事のOS(オペレーションシステム)を変える、つまり仕事の仕方そのものを変えることなのです。もう1つは、働き方改革と生活改革の好循環です。働き方改革が自分や家族の豊かな生活につながることを社員に実感してもらう必要があります」

働き方改革を通じて、多様な人材が活躍できる職場をつくり、仕事の仕方、マネジメントを見直す。そうした広義の働き方改革を目指すべきであるというのが、佐藤氏の考えだ。

「もはや、従来のような、仕事の総量をベースにした、時間制限を考慮しない働き方では回りません。これからは、社員が仕事に使える時間の総量に限りがあることを前提として、その中で最大の付加価値を創出する働き方、仕事管理・時間管理に切り替えていく必要があります」

そのためには、無駄な仕事の削減や仕事の優先順位付け、過剰品質の解消、さらには時間をかけた働き方を評価する職場風土の改革、時間の制約に対する意識の醸成などに取り組むべきと佐藤氏は説いた。

では、働き方改革を生活改革にどうつなげていくのか。毎日2時間の残業が1時間になったからといって、生活は大きく変わらない。佐藤氏は、仕事のやり方を変えて週2日以上は定時で退社し、残業が必要な場合はその他の日にまとめて行う「メリハリワーク」を提案した。これなら、平日にゆとりを確保できる。

「働き方改革によって生まれた時間を、社員に還元する。その時間を社員が豊かな人生のために有効に活用できるよう、自己研鑽や社会貢献活動に関する情報を提供する。企業には、この2つをぜひ実践してほしいと思います」

〈事例発表&パネルディスカッション〉
セッション(1)中小企業における組織的な働き方・休み方改革の推進

1. テーマ解説:事例から多くを発見できる

早稲田大学 商学学術院 教授 小倉 一哉 氏

セッション(1)の開始にあたり、小倉氏がテーマについて解説した。

「中小企業では、働き方・休み方改革が進めにくいと考えている方が大勢います。しかし、考え方によっては、中小企業は意思決定が速く、機動性も高い。中小企業だから手が出ないと捉えるのではなく、良い事例から自社に足りないものを発見してほしいと思います」

2. 事例発表-1:勤務スタイルは多様に、働き方はシンプルに

山陽環境開発株式会社 代表取締役社長 岩元 達也 氏

最初に登壇したのは、山陽環境開発の岩元氏だ。同社は岡山県で一般・産業廃棄物処理業を展開しており、関連会社を含めて82名の社員が在籍する。岩元氏は同社が働き方改革・休み方改革に取り組む理由を説明した。

「一般的に働き方・休み方改革を考える場合、3点ほど挙げられると思います。1つ目は、健康への配慮です。長時間労働によるストレスや過労は、健康問題を引き起こす恐れがあります。2つ目は、生産性の向上です。効率的な働き方と適切な休息は、生産性を高めてくれます。3つ目は、社員の幸福度向上です。ワーク・ライフ・バランスを改善することで、社員に幸せを実感してほしいと思っています。ただ、当社の取組の根幹は、年次有給休暇をせっかく取得してもらうなら、病欠などではなく、充実させてほしいという願いからです」

「働き方改革・休み方改革の実現に向け、当社がモットーとしているのは『勤務スタイルは多様に、働き方はシンプルに』です。当社では子育てや介護と仕事を両立している者、高齢者、障がい者など多様な人財が働いており、誰もが働きやすい職場づくりを目指しています」

長時間労働の削減と休暇取得推進を目的として、同社が行っている主な取組が3つある。1つ目は顧客との調整で、年間を通じた業務量の平準化に協力してもらうことにした。2つ目はジョブローテーションによる多能工化の推進、3つ目は若手が中心となって業務の見直しを進める業務の整理整頓だ。

「様々な取組を通じて、多大な成果がもたらされています。例えば、年次有給休暇の取得率は現在87%で、1か月当たりの残業時間は10時間です。売上は、働き方改革に着手した2016年と比較すると124%アップしました。経常利益は368%も伸びています」

様々な取組を行って、改めて社員とのコミュニケーションと、それに基づいた信頼関係が必要だと反省し、施策を展開。前述以外にも人事制度の見直しや勤怠管理システムの導入、より多様な人材が働けるような環境の整備、健康経営、システムを活用した業務効率化などに取り組んでいる。その結果、人材の採用・定着も順調に進んでいるという。

2. 事例発表-2:調和のとれたワーク・ライフ・バランスを目指す

株式会社グリフィン 管理部 マネージャー 青井 彩 氏

次に、グリフィンの青井氏が登壇した。同社は、東京都内に本社を置くシステム開発会社だ。社員数は225名で、20歳代がその半数を占める。働き方・休み方改革に向けた同社ならではの取組として、テーマ別の委員会活動がある。青井氏は、その1つである環境改善委員会の活動を説明した。

「一般的にソフトウェア業界は過重労働になりがちですが、当社も例外ではありませんでした。このままでは社員を大切にすることができない、全員が生き生きと働く職場環境づくりをしたいと考え、2011年に環境改善委員会を立ち上げました」

同委員会のモットーは、“社員一人ひとりにとって調和のとれたワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、社員が働きやすい職場環境作りに取り組もう!”というものだ。そのために、長時間労働の削減や育児・介護と仕事の両立など、様々な課題に対して改善策を考え、活動している。まずは、社員の現状を把握することから始まったと青井氏は語る。

「代表メッセージの発信を皮切りに、休暇取得の意識調査や育児に関するニーズ調査を実施したほか、ご意見BOX(現:ご意見フォーム)を設置しました。さらには、アンケート結果を踏まえ、年次有給休暇の取得率向上を推進するとともに、社員の声に基づいて多様な特別休暇制度を導入しました。これらにより、年次有給休暇取得率も直近5年間は70%以上を維持しています」

その上で着手したのが、時間外労働の削減だ。社内への働きかけはもちろん、顧客にも協力を依頼している。その甲斐もあって、直近5年平均の残業時間は、1か月あたり10時間に留まっている。

同社ではこれらの活動を通じて、厚生労働省の「プラチナくるみん」をはじめ、ワーク・ライフ・バランスや健康経営に関する各種認定を取得している。その効果は絶大のようで、6年前と比較すると、新入社員採用時の応募者数は8.1倍に増加し、女性社員の比率は20.4%から31.8%に上昇。離職率は、業界平均が11.9%のところ、わずか4.4%にすぎないという。

「当社の取組が奏功したポイントは2つあります。1つ目は、委員会活動を社員参加型で推進していることです。現場の状況をよくわかっている社員の有志がグループや部署を超えて集まり、自分たちの働く環境を自分たちで改善していく体制ができていること、若手社員でも会社に提案ができること、社内間交流にもつながっていることが、取組のメリットです。2つ目は、経営層が社員を信頼していることです。社員の提案に耳を傾け、良い方向に変えていこうという姿勢を持ち続けています」

3. パネルディスカッション:改善活動は段階的に。あせらず、じっくりと

【パネルディスカッション】
・早稲田大学 商学学術院 教授 小倉 一哉 氏
・山陽環境開発株式会社 代表取締役社長 岩元 達也 氏
・株式会社グリフィン 管理部 マネージャー 青井 彩 氏

引き続き、パネルディスカッションが行われた。まず、小倉氏がパネリストの事例発表に対する感想を述べた。

「両社とも、業種業態や仕事の仕方、社員の多様性に合わせてかなり工夫されています。他の中小企業の方もぜひ、まねをしてほしい。ポイントは、問題意識をどう見える化するか。実現のためには、アンケートなどの定量的な調査と座談会などの定性的な調査の両方が大事です」

その上で、いくつかの質問が小倉氏からパネリストの2人に投げかけられた。

小倉:グリフィンさんの委員会活動ですが、社員は全員いずれかの委員会に参加しなければいけないのですか。

青井:いいえ。有志なので、入らない社員もいます。参加しているのは社員全体の3割強です。期初に委員長が方針を発表して、希望する社員が参加します。

小倉:両社とも、取引先の協力をいかに得たのかも気になります。

岩元:まずは当社の現状を見える化し、当社が業務量を平準化することによってお客さまにどのようなメリットがあるのかを理解していただきました。もちろん、1回で受け入れてもらえたわけではなく、何度もご説明しました。

青井:当社も状況の説明から入りました。業界的に人手不足であるため、お客さまは技術力の高いエンジニアを手放したくありません。そのため、一緒に改善の必要性を理解していただきます。ただし、エンジニアは当社にとっても大切な人材であるため、改善につながらなければ、撤退を申し入れることもあります。

小倉:視聴されている方からグリフィンさんに質問です。人事領域に委員会が介入することは難しいと思いますが、最終の意思決定はどうされていますか。

青井:委員会にはマネージャーがオブザーバーとして参画しています。委員会の検討内容をマネージャーが管理職会議に持ち帰って話し合い、その結果を委員会にフィードバックしています。

小倉:山陽環境開発さんでは、多能工化を進めることに社員から不満はありませんでしたか。

岩元:実は一時、スキルの高度化を図るためにスペシャリスト化を進めたことがありましたが、結局、一部の人に業務が集中してしまったため、誰であってもできる体制に切り替えました。

最後に、それぞれのパネリストから視聴者にメッセージが送られた。

岩元:小さな会社でも、働き方・休み方改革に向けていろいろな活動を実践できます。今日私がお話ししたことが、皆さんの会社が前進していくためのきっかけになればうれしいです。

青井:すべてに一気に取り掛かるのは無理です。当社も一つひとつできることから、段階的に改善していきました。まずは、取組を定着させることです。そのうち、会社全体の風土が変わってくると思います。

〈事例発表&パネルディスカッション〉
セッション(2)「選択的週休3日制」などの多様な働き方・休み方

1. テーマ解説:働き方をより多様に

法政大学 キャリアデザイン学部 教授 坂爪 洋美 氏

シンポジウムはセッション(2)へと進んだ。開始にあたり、坂爪氏がテーマについて解説した。

「選択的週休3日制は、働き手が働き方をより柔軟に設計することを可能にする制度です。2社の事例とパネルディスカッションを通じて、働き方の多様性がより一層高まるきっかけになればと考えています」

2. 事例発表-1:働きたい会社No.1を目指した環境づくり

メタウォーター株式会社 経営企画本部 人事総務企画室 担当部長 池田 弘典 氏

まず、メタウォーターの池田氏が事例を発表した。同社は、水・環境分野における総合エンジニアリング企業だ。

「当社が働き方改革に着手した背景には、世の中の環境変化に適応しながら社員と会社が共に成長していきたいという想いがありました。それに向けて、高付加価値・高生産性の追求という「質的戦略」と、多様な人材の活用という「量的戦略」の2つの戦略を実現するためには、これまでの働き方を大きく変革させる必要がありました」

同社が施策を検討する際に設けた基本方針が4つある。1つ目は、付加価値の向上と優秀な人材の確保に向けた取組とすること。2つ目は、会社が様々な環境を用意し、社員一人ひとりが自身にあった働き方を選択すること。3つ目は、多様な働き方を社員や会社の成長につなげること。4つ目は、社員と会社がWin-Winになれるのであれば、性善説に立って施策を導入することである。これらを通じて、最終的には働きたい会社No.1となる環境づくりを目指しているという。改革をスタートしたのは2017年で、これまでに様々な取組を推進してきた。

「選択的週休3日制を導入した目的は、優秀な人材の確保です。価値観の多様化に対応し、仕事だけではなく、プライベート時間を創出する環境を整備したいと考えました」

同社における選択的週休3日制は、フレックスタイム制を活用し、1か月の所定労働時間を、通常よりも少ない日数で働くことを指す。不就労日は、月単位、週単位など、任意で設定することができる。導入当初の利用率は、2,000名の対象者のうち約1割程度で、利用目的は様々だった。

だが、そこには課題もあった。どうしても1日の労働時間が長くなるため、体力的に疲れてしまうことや、プライベートへの影響があることだ。その対応として同社では、所定労働時間の短縮や、時間単位での年次有給休暇なども導入している。

「価値観が多様化する中で優秀な人材を採用していくために、柔軟な働き方を実現する選択的週休3日制は、有効な打ち手であると考えています。今後、ワークスタイルの柔軟化を見据え、より多様な雇用形態を整備していくことが課題です」

さらに、池田氏は遠隔地勤務制度の導入についても説明した。

「この制度のメリットは、勤務地を理由とした離職の防止と優秀な人材の獲得です。制度を導入したことで、これまでなら退職せざるを得なかった社員が働き続けることができます。今後は要件の緩和も含めて検討し、最終的には誰もがどこでも働くことができる会社を目指していきたいと考えています」

2. 事例発表-2:選択的週休3日制で働き方の選択肢が広がる

株式会社オロ コーポレート本部 人事労務グループ グループ長 藤塚 遼 氏

次に事例を発表したのは、オロの藤塚氏だ。同社は東証プライム上場企業で、国内外に12もの拠点を構えている。主要な事業は、クラウドソリューション事業とマーケティングコミュニケーション事業であり、それゆえ、職種は多岐にわたるという。

「当社グループの人材方針は、多様性を尊重しながら自己実現を図れる風土作りと物心両面の幸福の追求です。そのため、働き方に関する取組にも意欲的に取り組んできました」

同社の選択的週休3日制「サンライフ」(※制度名称)には、「8時間勤務型」と「10時間勤務型」の2パターンがある。前者は、通常の労働時間が週40時間であるところを32時間にし、給与も労働時間同様8割になる。一方、後者は労働時間が週40時間のままで、給与は変わらない。制度は半年ごとの申請制。ただし、管理監督者は対象外となっている。どのような経緯で導入に至ったのか。藤塚氏はこれまでの流れを語った。

「2022年春に役員会で導入を決定し、具体的な制度設計をスタートしました。『どの社員も利用できるようにすべき』『選択の幅を広げた方が良い』などの意見を踏まえ、早い段階から2パターンの導入を決めました。その後、社内体制の構築を進め、最終的には2023年1月に運用を開始しました」

同制度は現在第1期(2023年1月~6月)を終え、第2期(2023年7月~12月)に入っている。いずれも、利用者の割合は全体の10%前後で、第1期利用者の第2期での継続利用率は60%。利用者の年代は20代から40代までと幅広い。利用者の満足度は95%とかなり高く、自己学習や副業、休息などの時間確保を目的としているという。

ただ、課題も見えている。1つは、利用者が在籍するチームでの業務管理が難しいこと。もう1つは、業務の種類によって利用のしやすさが異なることだ。

「結論としては、実施して良かったと捉えています。働き方の選択肢が広がり、自己実現の幅も広がりました。社員のキャリア形成や仕事とプライベートの両立につながっていると思っています。一方で、社内の体制づくりが大切であることを改めて痛感しました。働き方の違いで待遇に差が生じないようにする、現場での混乱が生じないようにする、といった点には、今後も気を配っていく必要があると考えています」

3. パネルディスカッション:社内への丁寧な説明と情報提供が重要

【パネルディスカッション】
・法政大学 キャリアデザイン学部 教授 坂爪 洋美 氏
・メタウォーター株式会社 経営企画本部 人事総務企画室 担当部長 池田 弘典 氏
・株式会社オロ コーポレート本部 人事労務グループ グループ長 藤塚 遼 氏

続いて、パネルディスカッションが行われた。

坂爪:メタウォーターさんでは、管理職も選択的週休3日制の利用が可能ですね。その理由を教えてください。

池田:社員一人ひとりの成長を会社の成長へ繋げていくことが目的なので、役割によって対象から外すことは考えませんでした。

坂爪:遠隔地勤務制度の利用状況はいかがですか。

池田:20名弱の社員が利用しています。

坂爪:オロさんでは、選択的週休3日制の運用開始を受け、職場での業務割り当てや評価をどうしていますか。

藤塚:上長が個別に采配しています。一方で、評価をどうするかについては、今も議論が続いているところです。

坂爪:マネジメントの立場からすると、8時間勤務型の利用者が増えすぎると、仕事が回らないといった事態が生じやすくなるのではないかと思います。

藤塚:まさにその通りです。結局、誰かに仕事が偏ってしまうことが見えて来ています。早急に対処しなければならないと思っています。

坂爪:勤務管理はどうされていますか。

池田:社内で利用しているスケジューラーで運用している部署が多いですね。

坂爪:オロさんでは、管理職は選択的週休3日制を利用できないとのことですが、社内から何か反応はありませんか。

藤塚:意外と冷静に受け止めてもらえていますね。当社の文化的な背景もあるのだと思います。代表自らが線引きした理由を事前に管理職に説明し、納得も得ています。

坂爪: 新入社員も選択的週休3日制を利用できるのでしょうか。

池田:はい。あくまでも、所属長の判断で運用してもらっています。

藤塚:当社も規定上は制限を設けていません。

坂爪:選択的週休3日制利用者の残業の状況はいかがですか。

池田:残業が増えた、減ったという状況はあまり見えてきていません。むしろ、自分でいかにタイムマネジメントをするかという意識が醸成されつつあるように感じます。

藤塚:個別に見るとばらつきがあるようです。仕事のやり方も含めてバランスが取れると、継続利用につながると考えています。

坂爪:働く側のタイムマネジメントが重要だという点が、2社に共通していたことが印象的でした。

〈総括〉働き方・休み方改革は人材確保にもプラスとなる

東京大学 名誉教授 佐藤 博樹 氏

最後に、佐藤氏が本シンポジウムを総括した。ポイントは2点。1点目は、トップのコミットメントだ。

「業界の特徴や企業規模を理由として、『働き方改革を進めにくい』との声が聞かれますが、いろいろと工夫し取り組んでいる例はあります。特に中小企業は、経営者次第です。できていないのであれば、経営者の責任といえます」

2点目は、社員の選択肢を広げることだ。

「過度な長時間労働は解消しなければいけません。ただし、やらなければいけない残業もあります。この2つをしっかりと切り分けるべきです。また、残業を前提とした仕事の仕方も変えるべきですし、働く場所と時間を柔軟化し、選択肢を広げていくことが大事です」

他社と差異化した働き方・休み方の導入は、人材確保にもプラスとなるだけに取り組む意義があるという、佐藤氏のメッセージで、本シンポジウムは締めくくられた。

※上記は本シンポジウムの内容の抜粋です。本シンポジウムの全容は、アーカイブ動画で視聴していただけます。ぜひ下記のリンクからアクセスしてご覧ください。また、働き方・休み方の見直しや改善に役立つ情報、企業事例が満載の「働き方・休み方改善ポータルサイト」も、ぜひご覧ください。

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