7割の企業は「マイナンバー制度」に向けた準備ができていない
~2016年1月スタート「マイナンバー制度」に関する企業の対応状況を調査~
『日本の人事部』は、全国のビジネスパーソン(経営者、管理職、人事担当者など)に対して「マイナンバー制度」に関するWEBアンケートを実施、その結果をまとめました。(調査期間:2014年9月8日~9月15日、回答社数:282社)
2016年1月から、日本国民と日本に居住する外国人一人ひとりに対して番号を割り振り、所得や納税実績、社会保障に関する個人情報を一括管理する「マイナンバー制度」がスタートします。国民の利便性を高めると同時に、行政の透明化・効率化を図るための社会基盤として、国や市町村などがバラバラに管理してきた個人情報を連携させ、相互利用を可能にするという本制度。民間企業でも、社会保障・税務関連の諸手続きにマイナンバーを利用することになりますが、システム変更および厳格な情報管理体制の構築が必須になるため、企業の今後の対応状況が注目を集めています。制度開始に向けて、企業には確実な対応が求められますが、現時点で企業はどの程度対応できていて、将来的にはどんな課題があると考えているのでしょうか。「マイナンバー制度への対応状況」「マイナンバー制度に対応する上での課題」「マイナンバー制度による影響・効果」について聞きました。
「マイナンバー制度」への対応が必須だと、企業に周知させることが重要
「マイナンバー制度への対応状況」について聞いたところ、「まだ準備を始めていない」という回答が69.6%と圧倒的に多く、「既に準備を始めている」(5.6%)、「自社内での対応を検討している」(14.4%)、「アウトソーシングでの対応を検討している」(2.4%)など、何らかの対策を講じようとしている企業は大変少ないことがわかりました。コメントを見ても「はっきり言って、知らなかったと言うのが本音だ」「何から手をつければよいかわからない」「正直なところまだ勉強不足。このアンケートをきっかけに、急ぎ情報収集しようと思う」などの声が目立ち、制度そのものがあまり認知されていないことがわかります。「特に準備をする予定はない」(8.0 %)と回答する企業もあることから、まずはマイナンバー制度の目的や意義を、企業に周知させることが重要と言えそうです。
企業が懸念するのは「個人情報漏えい」というリスク
「マイナンバー制度に対応する上での課題」について聞いたところ、「従業員からのマイナンバーの収集」(28.0%)、「個人情報の管理体制の強化」(26.8%)が上位を占めました(図表2)。情報管理の煩雑さと情報漏えいのリスクを気にする企業は多いようで、「漏えいした場合の影響は従来の人事・給与データ以上のものになる。管理体制を強化したい」「基幹系システムに与える影響は大きい。非常にコストがかかりそうだ」などの声が数多く聞かれました。「マイナンバー制度による影響・効果」について聞いても、「情報漏えいのリスクの発生」(38.7%)という回答が最も多く寄せられました(図表3)。
「情報の一元管理による利便性の向上」(8.0%)、「各種事務処理の効率化、省力化」(5.3%)など、その効果を期待する声もありますが、現時点では圧倒的に少ないのが実情です。今後は「マイナンバー制度」の内容はもちろん、導入されることでどのような効果やメリットがあるのかを、企業側でもしっかりと認識し、2016年1月のスタートに向けて着実に準備していく必要がありそうです。
【調査概要】
調査対象 :全国のビジネスパーソン(経営者、管理職、人事担当者 など)
調査期間 :2014年9月8日~9月15日
調査方法 :WEBアンケートによる回収
有効回答社数:282社