育児休業法の対象となる子の要件の見直し(総務省)
-行政苦情救済推進会議の意見を踏まえたあっせん-
総務省行政評価局は、次の行政相談を受け、行政苦情救済推進会議(座長:大森彌 東京大学名誉教授)に諮り、同会議からの「特別養子縁組制度により監護中の子の養育は、実態として法律上の子を養育することと何ら変わらないとみられる以上、法律上の子と同じに取扱うべきである。」等の意見を踏まえて、平成27年3月10日、厚生労働省にあっせんしました。
(行政相談の要旨)
特別養子縁組で子を引き取る場合、同縁組を成立させるための監護中の子については、戸籍に記載されている子(いわゆる「法律上の子」)ではないため、育児休業を取得できない。共働きの場合、事業主が育児休業の取得を認めなければ、夫婦のどちらかが養育のために仕事を辞めるか、特別養子縁組を辞めるかの選択を迫られることになる。働く女性の子育てを社会全体で支援することが求められている昨今、このような取扱いはおかしいので、制度を改正してほしい。
(注) 本件は、行政相談委員(愛知県)が受け付けた相談である。
○ 育児休業を取得する場合の特別養子縁組制度の取扱い
育児休業を取得した雇用保険被保険者である労働者が、特別養子縁組制度により養子にする子を監護する場合には、雇用保険法(昭和49年法律第116号)に基づく育児休業給付金が給付されるが、いわゆる法律上の子でないことから、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号。以下「育児休業法」という。)*に基づく育児休業が認められていない。
*事業主が育児休業制度を設けるに当たっては、育児休業法は最低基準であり、各社の実情に応じて、育児休業法の規定を上回る制度を独自に設けることができることとされている。
○ 関係者の意見(児童福祉法を執行する都道府県の意見)
児童福祉の観点からは、特別養子縁組制度により養子にする子を監護する者に対し、育児休業法に基づく育児休業制度を導入することが望ましい。
(あっせん要旨)
厚生労働省は、以下の対応を行う必要がある。
① 特別養子にするために監護している子については、法律上の子に準じた取扱いとすることについて、適切な場において検討すること。
② 上記①の見直しが行われるまでの間、関係部署を通じて、特別養子にする子を監護している労働者に育児休業を認めるか否かは事業主の判断により可能であることを周知すること。
(あっせんの効果)
このあっせんに基づく改善措置が講じられた場合、特別養子にする子を監護する労働者は、育児休業法に基づく育児休業が取得できることになる。
○ 育児休業法の対象となる子の要件の見直し(概要(PDF)・あっせん文(PDF))
連絡先
総務省 行政評価局 行政相談課 行政相談業務室
担 当:花田 、尾崎
電話(直通):03-5253-5425
F A X:03-5253-5426
ご意見受付:https://www.soumu.go.jp/hyouka/i-hyouka-form.html
◆ 発表資料の詳細はこちらをご覧ください。
(総務省 http://www.soumu.go.jp/ / 3月10日発表・報道発表より転載)