アルバイト求人サイト利用者の意識実態をディップが調査
アルバイト探しで重視されるものは?
インターネットによる、国内最大級の正社員、派遣、アルバイトの求人・転職情報サイトを運営するディップ(東京都港区、冨田 英揮・代表取締役)では、自社保有のサイト会員や求職者向けにアンケート調査を行い、多様化するワークスタイルに対する意識の違いや傾向について、隔月で「 Dip Report 」として発信しています。今回は、「求人サイトにおけるアルバイト探し」にフォーカスしてお届けします。
■ アルバイトの 「目的」 と 「勤務条件」 〜「アルバイト」は、「わがまま」に選ぶ!〜
目的は「お金」、仕事選びでは複数の勤務条件を同時に重視する傾向がある。(アルバイト求人サイト利用者に聞くアンケート結果より)
平成17年12月の有効求人倍率(季節調整値)は1.00倍となり、平成4年9月(1.02倍)以来、13年3カ月ぶりに1倍を回復しました。また、大学・高校などの新規卒業者の内定率が上昇するなど、景気の回復に伴い若年者の就職状況は好転しているように見えます。しかし、厚生労働省「平成17年版労働経済白書」によると、企業は新規採用数が満たされない場合にも、採用基準を見直し柔軟に対応するのではなく、求める人材レベルを下げずに対応しようとしており、内定の数は増えたといっても、企業の採用に対する慎重姿勢は崩れていない、という状況も依然としてみられるようです。
生産性の向上を図るため、企業は正規従業員と非正規従業員の配置を最適化しようとしており、その手段の一つとして、派遣社員・パート・アルバイトなどの活用を進めるケースが、今後も多くなると考えられます。
今回は「アルバイト探し」に焦点を当て、求人サイトでのアルバイト探しにおける、ユーザーの意識実態を検証したいと思います。求人サイトでは、求人情報はどのように検索されるのか、どのような情報が重視されるのか、またそれは、アルバイトをする目的とどのように関わっているのでしょうか。そこには、正社員や派遣社員とは違った、アルバイト独自の求職状況が見出されると考えられます。アルバイトならではの求職特性とはどのようなものか、実際の求人サイトの利用状況を通して、考察しました。
●まず最初に、「アルバイトをする(探す)目的」について、確認しましょう。
最も多いのが「生活費」で38%、次いで「趣味・遊び」が27%、「家計を助ける」が13%で続いており、以下は10%未満にとどまっています。「生活費」と「趣味・遊び」では、その使用意図は大きく異なりますが、「家計を助ける」も含め、「アルバイト代=お金」が大きな割合を占めています。またフリーターは「生活費」、大学生・専門学校生は「趣味・遊び」、専業主婦は「家計を助ける」がそれぞれ目立って割合が高く、属性によりアルバイト代の利用目的が明確に異なってることがわかります。
アルバイト代以外の理由は、「社会経験を積む」8%、「時間があるので」6%、「やりたい仕事があった」2%となっており、「アルバイトの仕事そのもの」を目的とする人は少数派のようです。その他属性別の特徴をみると、フリーターにおける「正社員になれないので」の割合が7%で、学生や専業主婦よりも多くなっています。独立法人労働政策研究・研修機構「人口減少社会における人事戦略と職業意識に関する調査(企業調査)」(2004年)によると、「フリーター・ニートの採用」について、「正規従業員としても、非正規従業員としても採用するつもりはない」42%、「正規従業員として採用するつもりはないが、非正規従業員として採用する」が23%(複数回答)と、「正規従業員として採用するつもりはない」とした企業が多いのが現状です。今回のアンケートでは大きな割合ではありませんが、フリーターの「正社員としての就業」の難度の高さは、ここでも読み取れます。
●それでは、実際にアルバイトを探す際には、どのようなことが重視されているでしょうか。求人サイトの利用状況を通じて、その傾向を探ってみましょう。
「給与」が最も多く79%、次いで「勤務地」が77%、「仕事内容」が76%で続いています。「給与」が最も多いのは「アルバイトの目的」と照合して予想できるところです。しかし特徴的なのは、「給与」と、以下に続く「勤務地」「仕事内容」が、ほぼ同じ割合という点です。各属性ごとの傾向も、多少のばらつきはありますが、顕著な差はみられません。上位3項目以外も、「勤務時間」「最寄り駅」「勤務期間」「交通費」「応募資格」まで、割合が50%を超えています。つまり、ある項目が突出して重視されるのではなく、複数の項目が、同等に重視されていると言えます。
参考として、昨年8月に同社で実施した調査より「派遣求人情報で重視する項目」を引用してみると、最も多い「仕事内容」は83%、次いで「勤務地」「給与」が70%台、「勤務時間」が60%で、以下は過半数に達していません。今回の「アルバイト求人重視項目」と比較して、重視する条件がある程度絞られていることがわかります。
正社員、あるいは派遣社員として応募する場合、自分の希望全てを満たすことは難しいため、自己の重視項目を固め、ポイントを絞って求人情報を検討することになると思われます。しかしアルバイトの場合はそこまで絞り込む必要はなく、比較的多くの希望を実現させることができる求人情報を探す人が多いと思われ、それが、グラフの数値に表れていると考えられます。
●求人情報において重視される条件が「給与」以外にも多くあることが分かりましたが、次に、仕事内容や勤務条件の特徴で求人情報を検索する「仕事の特徴」利用状況を通じて、求職者が希望する条件を検証してみましょう。
「曜日や時間が選べる」が61%で最も多く、次いで「週2〜3からOK」54%、「1日4時間以内でもOK」47%と続きます。アルバイトの主要な目的は「アルバイト代を得ること」でしたが、アルバイト代に関連する「高収入」・「日払い・週払い・即日払いOK」は、勤務日数・勤務時間関連の項目よりも割合が低くなっています。つまり、まずアルバイト情報を検索する際には、主目的である「アルバイト代=お金」に関する項目が必ずしも優先されるわけではなく、期間・時間帯等の勤務条件が優先される傾向も強いと言えます。
属性別傾向をみると、専業主婦において「曜日や時間が選べる」「週2〜3日からOK」「1日4時間以内でもOK」が学生・フリーターより多く、逆にアルバイト代に関する項目は少なくなる傾向がみられます。フリーターは「日払い・週払い・即日払いOK」が他より割合が高く、また大学生・専門学校生は、「年齢不問」が専業主婦・フリーターより目立って少なくなっています。
●さらに、「勤務期間」に関連する条件について検証しましょう。
最も多いのは「1日のみ」で39%、ついで「こだわらない」30%、「1週間以内」29%がほぼ並んでおり、「短期」の勤務期間を希望する人が、比較的多いようです。属性別では、大学生・専門学校生が概して「短期志向」が強いのに対し、専業主婦は「こだわらない」の割合が高くなっています。フリーターは「長期」が最も多く、属性により傾向が比較的明確に分かれています。
アルバイトは、あくまで「アルバイト代を得る」ことが主要な目的ですが、アルバイト情報を検討する際の条件としては「給与」が際立って重視されているわけではありません。求職者の属性により違いはありますが、全体としてみるとほぼ同じ割合で「勤務地」「仕事内容」が、また「勤務時間」「勤務期間」なども、多くの人に重視され、求職者の希望条件は多種多様です。また属性の違い、生活環境の違いによって、さらに希望条件は異なる傾向を示しています。
冒頭にも述べた通り、アルバイト求人サイトは機能性の追求が求められています。その一方向として、ユーザーの多岐にわたる希望条件に応え、様々な検索方法により、希望する情報を効率的に検索できることが、今後さらに重要となってくるでしょう。
※ 『総合求人情報サービスを行うディップ株式会社が発表したDip Reportによる』
詳しい調査結果は、同社ホームページまで。
(ディップ http://www.dip-net.co.jp//同社プレスリリースより抜粋・3月10日)