正社員の「平均初年度年収」と「求人件数」の 2023年総評
2023年の平均初年度年収は456.6万円で、コロナ前の2019年平均から19.0万円増加。業種別で最も高いのは「IT・通信・インターネット」で518.4万円
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)が運営する総合転職情報サイト『マイナビ転職』は、「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員求人件数・応募数推移レポート」について、2023年の総評を発表しました。本調査は『マイナビ転職』に掲載された求人の「平均初年度年収(未経験・経験者求人別)」、「求人件数」の推移を調査したものです。
《TOPICS》
◆2023年の正社員の平均初年度年収は456.66万円(未経験者求人:426.8万円、経験者求人:518.3万円)。コロナ影響前の2019年平均から19.0万円増、未経験者求人は7.7万円増、経験者求人は22.0万円増
◆平均初年度年収が高かった業種1位は「IT・通信・インターネット」で518.4万円(前年差+4.6万円)。高い年収設定で高スキルの経験者を獲得しようとしている企業が多い
◆未経験者募集求人の比率が高かった業種は、1位が「運輸・交通・物流・倉庫」で84.4%(前年差+0.2pt)。慢性的な人手不足や2024年問題への対策のため積極的に求人を行っていたと考えられる
【調査概要】
~ 2023年平均 全体の傾向~
正社員の平均初年度年収は456.6万円(未経験者求人:426.8万円、経験者求人:518.3万円)。2022年平均と比較すると、全体では2.4万円増、未経験者求人は3.1万円増、経験者求人は4.1万円増となった。コロナ禍前の2019年から正社員求人における初年度年収は増加傾向にある。
求人件数は2019年平均を基準として147.4%、2022年平均と比較して15.4pt増加した。3カ月ごとの推移をみると、2023年は年間を通して求人件数が増加し続けている。企業の中途採用意欲が高まっており、今後も転職市場は活発に動いていくと予想される。
求人の経験者/未経験者の募集比率は、未経験者求人が67.4%、経験者求人が32.6%だった。2022年平均と比べると、未経験者求人の比率が微増している。コロナ禍で2020年以降未経験者求人を取りやめる企業が増加した影響はいまだ残っていると考えられるが、未経験者求人比率には復調の兆しが見える。今後は更にIT化やDXが進む中で高度な技術を持つ人材のニーズが高まることが予想され、経験者/未経験者の募集比率にも影響が出ると考えられる。
~2023年平均 初年度年収業種ランキング~
正社員の平均初年度年収が高かった業種ランキングは、1位が「IT・通信・インターネット」で518.4万円(前年差+4.6万円)、2位が「金融・保険」で516.1万円(前年差+14.4万円)、3位が「コンサルティング」で501.5万円(前年差+8.1万円)となった。
また、未経験者求人(職種・業種ともに未経験で応募可能の求人)のみに絞ってみると、1位が「IT・通信・インターネット」で473.1万円(前年差+6.6万円)、2位が「不動産・建設・設備」で466.3万円(前年差+6.6万円)、3位が「コンサルティング」で464.6万円(前年差+5.4万円)となった。
~2023年平均 経験者・未経験者求人比率ランキング~
年間で未経験者募集求人の比率が高かった業種ランキングは、1位が「運輸・交通・物流・倉庫」で84.4%、2位が「サービス・レジャー」で82.7%、3位が「環境・エネルギー」で81.9%だった。
運輸・物流業界では2024年4月から時間外労働の上限が960時間に制限され、「物流の2024年問題」として労働力不足が予想されている。「運輸・交通・物流・倉庫」業界では、未経験者の募集を積極的にすることで問題への対応を図っていると考えられる。
一方で、経験者募集求人の比率が高かった業種ランキングは、1位が「IT・通信・インターネット」で52.6%、2位が「メーカー」で40.2%、3位が「金融・保険」で40.0%だった。IT業界では、生成AIの急速な拡大をはじめ技術の革新スピードがさらに速まっており、それらに対応できる経験者を獲得しようとしている企業が多いようだ。
【担当者コメント】
2023年は前年と比較し、企業は積極的に中途採用を行っています。総務省の労働力調査によると転職希望者は2023年7-9月平均で初めて1千万人を上回り、実質賃金が2023年11月まで20カ月連続でマイナスとなっているなか、賃金待遇の改善のために転職を考える人は今後も増加するのではないかと考えられます。求人件数についても増加が続いており、2023年はコロナ禍前の2019年より約1.5倍の求人件数となりました。転職をすることが身近になり、働く人は自身の希望に合わせて能動的に職場を選択できるようになりつつあります。このように人材の流動性が高まっていることに加えて、少子高齢化により生産年齢人口(15~64歳人口)が減少しているため、今後企業の人手不足感はさらに高まると考えられます。そのため企業は、賃上げをはじめとした各種待遇の改善に注力し、人材獲得や定着に今後より一層取り組んでいくと予想されます。
「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員求人件数・応募数推移レポート」の2023年総評
【調査期間】2023年1月1日(日)~2023年12月31日(日)
【調査機関】自社調べ
【集計対象データ】総合転職情報サイト『マイナビ転職』に掲載開始された求人情報、応募数から下記除外対象データを除き集計
※除外対象:雇用形態が正社員以外
※厚生労働省「国民生活基礎調査 所得の分布状況」を元に、所得金額上側1%を本レポートでは外れ値として設定
【集計対象エリア】 全国47都道府県
関東:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、茨城県、群馬県
関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県
東海:愛知県、静岡県、岐阜県、三重県
北海道・東北:北海道、宮城県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県
甲信越・北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県
中国・四国:広島県、岡山県、鳥取県、島根県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県
九州・沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社マイナビ/ 1月26日発表・同社プレスリリースより転載)