企業の転職意識ギャップ調査 第5回「ITエンジニア職」
8割の企業が昨年より採用の重要度が上昇と回答
半数以上の企業がITエンジニア職採用に「微経験者(※1)採用」を導入中
パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda(デューダ)」(編集長:大浦 征也)は、「ビジネスパーソン」と「企業」間の“転職や仕事に対する意識の差”などをはじめとした実情を明らかにする「doda ビジネスパーソンと企業の転職意識ギャップ調査」を継続的に発表しています。
第5回は、人材不足が叫ばれる「ITエンジニア職」に関するビジネスパーソンと企業とのギャップを調査しましたので、その結果をお知らせいたします。
ビジネスパーソンは、転職を検討している又は興味があるITエンジニア職未経験者・微経験者(※1)及び現職以前にITエンジニア職経験がある200名(以下、「個人」)、企業はITエンジニア職の獲得に取り組んだ経験のある人事担当者200名(以下、「企業」)を対象とし、計400名に調査を実施しました。
※1:本調査における個人属性の一種。実務経験はないが、軽微なエンジニアスキルがある方を指す
【調査結果サマリー】
◆ 個人・企業ともに9割以上が、「ITエンジニア職」として働くこと又はその採用に「興味あり」「重要」と回答
◆ 8割(80.0%)の企業が、昨年に比べて「ITエンジニア職」採用の重要度が「上がった」と回答。7割(72.5%)の個人が、昨年に比べて「ITエンジニア職」として働くことへの興味・関心が「上がった」と回答
◆ 人材確保方針と対象者は、「実務経験者の採用」が8割(84.0%)と他より圧倒的に多い状況ながら、 「微経験者の採用」が続き、半数以上(52.0%)にのぼる
◆ 「ITエンジニア職」未経験者・微経験者と企業間の2つのギャップ
・「業務内容」~未経験者・微経験者が従事したい業務と、企業の採用実績にギャップ有り~
未経験者・微経験者は「Webエンジニア」、企業は「社内SE」がTOP
・「スキル」~応募時に求められると考えるスキルと、企業が期待するスキルにギャップ有り~
未経験者・微経験者は「現在トレンドなプログラミング言語、フレームワークの習得」、
企業は「コミュニケーションスキルの向上」がTOP
<調査背景>
「doda ビジネスパーソンと企業の転職意識ギャップ調査」第5回となる今回は、第4回で取り上げた「リスキリング(学び直し)」とも関係の深い「ITエンジニア職」の転職市場について取り上げます。
ITエンジニア職についてdoda転職求人倍率を確認したところ、全職種の転職求人倍率が約2.3倍であることに対しITエンジニア職にあたる「エンジニア(IT・通信)」は約11.2倍と大きく超え(2023年1月時点)、需給バランスに偏りがみられました。新型コロナウイルス感染症を一因として起きた産業構造の変化から業界を限らず様々なモノ・サービスのデジタル化やDX化が進んでいることで、それらを推進させられる人材へのニーズが高まり続けるという事象が起きているといえます。
一方で、転職サービス「doda」が扱う約17万件の求人票を確認したところ、ITエンジニア職「未経験歓迎」求人の割合が2021年1月から約3.0倍(2023年1月時点)の伸長を見せていることも確認できました。ITエンジニアとしての経験がない又は軽微な人材への注目が高まっている表れともいえます。
そこで今回は、ITエンジニア職の転職市場の実態と変化を、「未経験者」「微経験者」を取り巻く状況にも着目して、ビジネスパーソンと企業に意識調査を行いました。
<調査結果>
■ITエンジニア職に対する興味関心度・重要度ついて
個人・企業ともに9割以上がITエンジニア職への就労・採用に「興味あり」・「重要」と回答
1年前に比べて興味、重要度がさらに高まったのはそれぞれ7~8割と引き続き注目の高い職種といえる
個人・企業にITエンジニア職として働くことや採用についての意向を尋ねたところ、「興味がある」「重要性が高い」と回答したのはそれぞれ9割以上と高い結果となりました。
さらに1年前と比べて「興味度や重要性が上がった」と回答したのは、個人72.5%、企業80.0%という結果になりました。その際、冒頭の図1で示したITエンジニア職の転職求人倍率の上昇を裏付けるように、企業は採用の重要度が下がったという回答は0%となりました。
「興味や関心度が上がった」と回答した個人に対しその理由を尋ねたところ、「働き方が魅力的に感じた」や「コロナの流行によって在籍している業界の景気が冷え込んでしまったから」「グローバルに職場を探せるので国内から出る機会をつかみたいと思ったから」などが挙がり、働き方改善への期待や、業種を跨いだ異職種転職を含めたキャリアプラン拡大への期待などがみられました。次いで、「手に職をつけられそう」「需要がなくならなそう」という回答も多く、経済状況を反映した理由もITエンジニア職への就労ニーズに見受けられる結果となりました。
■「ITエンジニア職」人材の確保方針と対象の内訳について
採用方針・対象者は「採用×実務経験者」が84.0%と最も多い状況
「採用×微経験者」も半数以上(52.0%)に上り、経験者以外の人材への注目が集まっている
さらに企業へは、採用での獲得が難しくなる中で現状の「ITエンジニア職」をどのように確保しているのかを尋ねたところ、「実務経験者の採用」が8割以上(84.0%)と他より圧倒的に多いことが分かりました。一方で、「実務経験者」に次いで「微経験者の採用(52.0%)」が続き、「未経験者の採用」も16.0%に上っています。冒頭で示したITエンジニア職の未経験歓迎求人数の伸び(2021年1月対比で約3.0倍)と同様に、未経験者・微経験者にも採用が広がっていると推測できます。
併せて、実務経験者以外の採用を行っていると回答した企業へ、採用時に重視・優遇する経験や知識を尋ねました。結果には、「他社での経験値に期待」「IT以外に秀でた能力や実績」「自己改善に意欲的な姿」などが挙がり、未経験者・微経験者を採用する背景には、人材が不足しているという事情だけでなく、前職で身に着けた知見や経験をITと絡めた課題解決につなげたいという期待が伺えました。
■未経験・微経験で「ITエンジニア職」として働く場合の業務内容について
「ITエンジニア職」未経験者・微経験者が従事したい業務と企業の採用実績にギャップ有り
続いて、「ITエンジニア職」未経験者と微経験者へどのような業務に従事したいか、また企業へは各業務の未経験者・微経験者の採用実績を尋ねました。未経験者・微経験者ともに最も回答が多かったのは「Webエンジニア(未経験者 27.4%、微経験者 36.6%)」だった一方で、採用実績は未経験者・微経験者ともに「社内SE(未経験者 16.1%、微経験者 36.3%)」が特定の職種を示した回答においてTOPとなりました。
主に自社の課題解決を目的にシステムを導入・改修・運用する「社内SE」は、ビジネスへの理解力が重要となるため、ITスキルや実務経験が浅い対象者でも活躍しやすい傾向にあり採用実績が高く出たと考えられます。実務経験者以外の採用を行っている企業が未経験・微経験者に期待する要素につながる結果となりました。
また、微経験者の採用実績では、以降「品質管理(IT/通信)(29.5%)」、「テクニカルサポート/ヘルプデスク(29.0%)」と並び、未経験者の採用実績では、選考を通して又は入社後に適した業務を決定する「オープンポジション」の割合が圧倒的に高いことも特徴の一つとしてみられました。
■応募時、未経験者・微経験者が求められていると考えるスキルと、企業が期待するスキルついて
未経験者・微経験者は「現在トレンドなプログラミング言語、フレームワークの習得」、企業は「コミュニケーションスキルの向上」がTOPとギャップ有り
さらに未経験者・微経験者には「ITエンジニア職」に応募する際に企業が最も求めそうなスキル、企業には未経験・微経験者に実際に最も求めるスキルを尋ねたところ、未経験者・微経験者ともに一番多かったのは「現在トレンドなプログラミング言語、フレームワークの習得(未経験者 24.7%、微経験者 16.9%)」で、それ以降も技術的なスキルが上位となる中で、企業は「コミュ二ケーションスキルの向上(25.0%)」がTOPとなり異なる結果になりました。
■調査概要:「ITエンジニア職」に関する調査
<個人向け調査>
対象者:全国に住む、転職を検討している又は興味があり、ITエンジニア職未経験者・微経験者及び現職以前にITエンジニア職経験がある20~30代男女会社員(正社員・契約社員) ※人事担当を除く
集計対象数:200名(20代、30代100名ずつ)
調査手法:インターネット調査
調査期間:2023年1月20日~1月27日
<企業向け調査>
対象者:全国に住む、ITエンジニア職人材の獲得経験がある20代~60代男女中途採用・人事担当者
集計対象数:200名
調査手法:インターネット調査
調査期間:調査期間:2023年1月20日~1月27日
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(パーソルキャリア株式会社 / 3月1日発表・同社プレスリリースより転載)