中小企業の雇用・賃金に関する調査
給与水準を引き上げた中小企業は3年ぶりに半数を上回る
株式会社日本政策金融公庫は、「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果を発表しました。
「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果
~「全国中小企業動向調査・中小企業編」 2022年10-12月期特別調査~
<調査概要>
- 2022年12月において、正社員が「不足」と回答した企業割合は58.2%と、前回調査(53.2%)から5.0ポイント上昇した。「適正」は35.2%、「過剰」は6.6%となった。業種別にみると、建設業、宿泊・飲食サービス業、運送業(除水運)などで「不足」の割合が高くなっている。
- 2022年12月の正社員数を前年から「増加」させた企業割合は23.6%、「減少」させた企業割合は25.8%となった。前回調査(22.4%)と比べると、「増加」の割合は1.2ポイント上昇した。業種別にみると、情報通信業、倉庫業、建設業などで「増加」の割合が高くなっている。
- 2022年12月の正社員の給与水準を前年から「上昇」させた企業割合は53.1%と、前回調査(41.1%)から12.0ポイント上昇した。上昇の背景をみると、「自社の業績が改善」(27.2%)の割合が最も高く、次いで「物価の上昇」(19.4%)となっている。
1.従業員の過不足感
- 2022年12月における正社員の過不足感をみると、「不足」と回答した企業割合が58.2%となった。「適正」は35.2%、「過剰」は6.6%となっている。「不足」の割合は、2021年実績(53.2%)から5.0ポイント上昇した。
- 業種別にみると、建設業(73.3%)、宿泊・飲食サービス業(72.0%)、運送業(除水運)(71.7%)などで「不足」の割合が高い。
- 2022年12月における非正社員の過不足感をみると、「不足」と回答した企業割合が36.9%となった。「適正」は57.8%、「過剰」は5.3%となっている。「不足」の割合は、2021年実績(33.4%)から3.5ポイント上昇した。
- 業種別にみると、宿泊・飲食サービス業(74.3%)、小売業(44.0%)、運送業(除水運)(43.4%)などで「不足」の割合が高い。
- 人手不足の影響についてみると、「売上機会を逸失」(40.3%)と回答した企業割合が最も高く、次いで「残業代、外注費等のコストが増加し、利益が減少」(24.2%)、「特になし」(17.2%)、「納期の長期化、遅延の発生」(12.5%)の順となっている。
- 人手不足への対応についてみると、「従業員の多能工化」(43.1%)と回答した企業割合が最も高く、次いで「業務の一部を外注化」(34.4%)、「残業を増加」(30.9%)の順となっている。
2.従業員数の増減
- 2022年12月の正社員数の増減をみると、「増加」と回答した企業割合は23.6%となった。「変わらない」は50.6%、「減少」は25.8%となっている。「増加」の割合は、2021年実績(22.4%)から1.2ポイント上昇した。
- 業種別にみると、情報通信業(47.4%)、倉庫業(29.6%)、建設業(26.8%)などで「増加」の割合が高い。
- 2022年12月の非正社員数の増減をみると、「増加」と回答した企業割合は15.3%となった。「変わらない」は67.9%、「減少」は16.9%となっている。「増加」の割合は、2021年実績(14.5%)から0.8ポイント上昇した。
- 業種別にみると、情報通信業(21.0%)、宿泊・飲食サービス業(19.7%)、サービス業(16.7%)などで「増加」の割合が高い。
- 従業員数の増加理由をみると、正社員では「将来の人手不足への備え」が54.7%と回答した企業割合が最も高く、次いで「受注・販売が増加」(38.0%)、「受注・販売が増加見込み」(33.8%)の順となっている。
- 減少理由をみると、正社員では「転職者の補充人員を募集したが採用できず」が54.3%と回答した企業割合が最も高く、次いで「受注・販売が減少」(22.1%)、「定年退職者の補充人員を募集したが採用できず」(19.0%)の順となっている。
3.賃金の状況
- 2022年12月の正社員の給与水準をみると、「上昇」と回答した企業割合は53.1%と、2021年実績(41.1%)から12.0ポイント上昇した。
- 業種別にみると、情報通信業(63.8%)、水運業(58.5%)、建設業(55.1%)などで「上昇」の割合が高い。
- 2023年見通しをみると、「上昇」と回答した企業割合は53.3%となった。
- 正社員の給与水準上昇の背景についてみると、「自社の業績が改善」と回答した企業割合が27.2%と最も高く、次いで「物価の上昇」(19.4%)、「採用が困難」(18.4%)の順となっている。
- 業種別にみると、「自社の業績が改善」と回答した企業割合は、不動産業(47.1%)、電気機械(41.0%)などで高い。「物価の上昇」は、窯業・土石(31.0%)、倉庫業(30.0%)などで高い。
- 2022年の賞与の支給月数をみると、「増加」と回答した企業割合が31.3%となった。「変わらない」は48.5%、「減少」は14.2%となっている。「増加」の割合は、2021年実績(30.5%)から0.8ポイント上昇している。
- 業種別にみると、倉庫業(43.8%)、宿泊・飲食サービス業(37.7%)、卸売業(34.9%)などで「増加」の割合が高い。
- 2022年12月の賃金総額をみると、「増加」と回答した企業割合が59.7%となった。「ほとんど変わらない」は29.2%、「減少」は11.0%となっている。「増加」の割合は、2021年実績(49.3%)から10.4ポイント上昇した。
- 2023年見通しをみると、「増加」と回答した企業割合は60.5%となった。
<調査対象>
調査時点:2022年12月中旬
調査対象:当公庫(中小企業事業)取引先 13,266社
有効回答数:5,473社 [回答率 41.3 %]
◆本リリースの詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(株式会社日本政策金融公庫/ 2月27日発表・同社プレスリリースより転載)
この記事ジャンル
給与・賞与・インセンティブ