IT企業における、障がい者雇用の実態調査
障がい者雇用に課題を感じているIT企業、3社に1社は内定率10%未満と採用に苦戦
レバレジーズ株式会社が運営する、障がい者就労支援サービス「ワークリア」は、障がい者雇用に関わるIT企業の採用担当者250社を対象に、障がい者雇用の実態調査を実施しました。国の調査においても障がい者の雇用が上手く進んでいないとされるIT企業において、雇用を進める障壁となっている点を明らかにしていきます。
<調査サマリー>
- 約半数のIT企業が農園型雇用を活用
- 法定雇用率を満たしている企業は約6割、ただしその中の1/4は計画通りの雇用に至らず
- 雇用が計画通りに進んでいないIT企業の内定率は10%未満
- IT企業における採用に関する課題は計画通りに進んでいるのに関わらず、「採用経路の確立」の影響が大きく、計画通りに進んでいないIT企業は「採用活動に取り組めていない」ケースが最も多い
- 雇用が計画通りに進んでいない企業の1/3は内定率が10%未満。雇用が計画通りに進んでいるIT企業の内定率は相対的に高い傾向に
1.約半数のIT企業が農園型雇用を活用
障がい者雇用において農園型を採用しているIT企業は119社(47.6%)と、全体の約半数を占める結果となりました。
2022年8月にワークリアが発表した調査※1において、IT企業は「単純作業にあたる業務(36.6%)」や「定常的な業務が少ないこと(23.0%)」で業務の切り出しに課題を抱えています。また、「担当者のリソースが不足している(37.6%)」と回答した企業も多く、外部に委託することで、業務の確保や担当者のリソース不足も補えるといった理由から農園型雇用を活用する企業は多い傾向にありそうです。
※1 2022年8月発表調査「IT企業における、障がい者雇用の実態調査(後編)
2.法定雇用率を満たしている企業は約6割。ただしその中の1/4は計画通りの雇用に至らず
法定雇用率を満たしているIT企業は全体の約6割となりましたが、雇用率を満たしている企業の16.8%が「計画通りに進んでいない」と感じているようです。
IT企業は企業の成長スピードが比較的早いことから、今後の社員数の増加を踏まえて障がい者の雇用数を事前に伸ばそうとする企業が多いことが伺えます。そのため、「今後を見据えたときに雇用率を満たし続けられるか」と不安を抱える企業も多いことが考えられます。
3.計画通りに雇用が進んでいるIT企業は「定着」が要因と回答するも、計画通りに進んでいないIT企業は「採用」に課題
次に障がい者雇用が計画通りに進んでいる企業、進んでいない企業に分けて、「採用」と「定着」のどちらに要因があるかを尋ねました。障がい者雇用が計画通りに進んでいる企業においては、36.2%が「どちらかというと定着」と回答しました。反面、計画通りに進んでいないと回答した企業の半数は、主に「採用」に課題を感じていました。計画通りに進んでいる企業と進んでいない企業では雇用にあたって重要視しているポイントに差があることが見受けられました。
4.IT企業における採用に関する課題は「採用経路の確立」また、計画通りに進んでいないIT企業は「採用活動に取り組めていない」ケースが最も多い
計画通りに障がい者雇用が進んでいる企業の上手くいっている要因は、「採用経路の確立(48.4%)」が最も多く、「選考フローの工夫(46.1%)」「選考の雰囲気の工夫(33.6%)」と続きます。雇用条件よりも、採用経路や選考方法に力を入れている会社が多いことが見受けられました。
計画通りに雇用が進んでいない企業が採用において、課題に感じている部分で最も多かったのは「採用活動に取り組めていない(42.3%)」となり、「採用経路が確立できていない(40.2%)」と続きます。採用活動の実行と採用経路の確立がキーポイントになりそうです。
5.雇用が計画通りに進んでいない企業の1/3は内定率が10%未満。雇用が計画通りに進んでいるIT企業の内定率は相対的に高い傾向に
応募からの内定率について、障がい者雇用が計画通りに進んでいない企業の約3割が「10%未満」であると回答しました。採用ハードルを高く設定している、もしくは、採用要件にマッチする流入経路を確立できていない可能性が高いと考えられます。
<事業責任者小野寺からの一言>
今回の調査結果から、障がい者雇用が計画通りに進んでいない企業のうち、約半数がそもそも雇用に取り組めていないこと、取り組めていても内定率が10%未満の企業割合が最も多いなど、雇用前の段階の課題が大きいことが判明しました。
優先度が低いことが採用活動に取り組めていない1番の理由となっており、企業の成長や社員数の増加とともに気づいたときには緊急度が高いミッションになっている可能性が考えられます。
自社の組織で雇用をしようにも内定率が低く、採用に至らないことから農園型雇用が活用されるケースが他の産業と比較しても多いのではないでしょうか。
計画通りに雇用が進んでいる企業では、採用経路の確立以外にも自社の魅力度向上のために選考フローや職場の雰囲気に工夫が見られます。そのため、選考上の工夫によって応募者を集めることや内定率を高めることに良い影響を与えられる可能性があるでしょう。
<調査概要>
調査対象:障がい者雇用に関わるIT企業の採用担当者250名
集計期間:2022年12月28日~2023年1月5日
調査方法:Webアンケート調査
実査委託先:楽天インサイト株式会社
有効回答数:250名
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(レバレジーズ株式会社 / 2月27日発表・同社プレスリリースより転載)