【組織・チームのあり方を5,000人に調査】情報通信業の社員は10年前から求められることが大幅変化したと回答
累計13,000社320万人以上に人材育成サービスを提供する株式会社ラーニングエージェンシー(旧トーマツ イノベーション株式会社、本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔)は、2021年10月11日~12月13日の期間、ビジネスパーソン5,099人を対象に「組織・チームのあり方の変化に関する意識調査」を行いました。今回はその中から「情報通信業の社員に求められることの変化」に関する結果を公表いたします。
■調査背景
この10年間、リーマンショックや東日本大震災、そして2020年からコロナウィルスの影響と続き、社会的変化が大きくありました。特に、情報通信業では、働き方改革やDX推進、セキュリティ対策強化など、著しいスピードで変化をしてきています。そこで、情報通信業の管理職や一般社員(非管理職)に求められることが、どのような変化をしてきたか実態を調査いたしました。
■調査結果の概要
・4割の情報通信業のビジネスパーソンが、この10年で役割が「変化した」と回答
・管理職のあるべき姿に「コンプライアンス・モラル」8割、「効率性」「対話」7割
・管理職に求められる能力「IT・デジタルリテラシー」「マネジメント」が過半数
・一般社員は「チームで協力して成果を上げること」や「自ら現場で判断すること」が期待
・過半数が一般社員に「IT・デジタルリテラシー」「言語化する力」「タイムマネジメント」求める
■調査結果の詳細
1. 4割の情報通信業のビジネスパーソンが、この10年で役割が「変化した」と回答
まず、10年前と現在を比較したときに情報通信業の管理職や一般社員に求められることは変わったのかを尋ねました。管理職に求められることが変わったと回答したビジネスパーソンは41.8%、一般社員に求められることが変わったと回答したビジネスパーソンは44.0%で、いずれも約4割となっています。
一方、「わからない」という回答も多く、管理者の変化については52.3%が、一般社員の変化については46.1%が選ぶ結果になりました。役割の変化については見極めている段階の人が多いといえます。
2. 管理職のあるべき姿に「コンプライアンス・モラル」8割、「効率性」「対話」7割
10年前に情報通信業で求められていた管理職像について複数回答で尋ねたところ、過半数が「トップダウンで物事を進める(74.3%)」「部下に自分の模倣を求める(61.9%)」「前例を踏襲する(60.9%)」などを選びました。しかし、現在求められている管理職像で過半数となったのは「コンプライアンスやモラルを重視する(81.9%)」「時間内で効率的に終わらせる(74.5%)」、「対話を重んじる(70.5%)」などです。特に情報通信業の管理職に求められることとして、「対話を重んじる」「部下に自分とは異なる強みの発揮を求める」を挙げる人が多い結果となりました。
特に大きく変化した項目は、「トップダウンで物事を進める(-56.7pt)」「部下に自分の模倣を求める(-55.5pt)」「前例を踏襲する(-45.5pt)」「コンプライアンスやモラルを重視する(+69.7pt)」「時間内で効率的に終わらせる(+59.6pt)」、「対話を重んじる(+56.2pt)」「部下に自分とは異なる強みの発揮を求める(+53.4pt)」です。
全体として、情報通信業の管理職は、10年前よりも例えば過度な残業をさせないなど、コンプライアンスやモラルを重視し、部下と対話して効率的に仕事を進められるよう管理、調整する役割を求められているといえます。
しかし現場では、まだそうした管理職像に追いついていないのが現状のようです。現在求められている管理職像と現在の管理職とでスコアの差が大きいのは、「時間内で効率的に終わらせる(-38.5pt)」「ボトムアップで物事を進める(-37.6pt)」「前例にないことを行う(-36.6pt)」「コンプライアンスやモラルを重視する(-36.0pt)」「対話を重んじる(-34.9pt)」となっています。
3. 管理職に求められる能力「IT・デジタルリテラシー」「マネジメント」が過半数
情報通信業の管理職像が変化した理由を3つまで選んでもらったところ、「働き方(雇用形態や勤務時間・場所など)が多様化した(66.8%)」が最も多く、「市場環境が変化・複雑化した(50.4%)」が第2位となりました。「従業員満足度や従業員の働きがいを重視する世の中になった(45.0%)」も多く選ばれています。顧客の要望に合わせて、常駐先でシステムを納期内に開発することを最優先する働き方から、働き方の柔軟性や社員の満足度を高める方針に重心が移ってきていることがうかがえます。
こうした変化の中、管理職に対して特に重視されるようになってきたスキルや知識では、「IT・デジタルに関するリテラシー(54.4%)」が最も多く、情報通信業の専門家として日々変化する新しい技術のキャッチアップが必要になっているといえます。また、「マネジメント(51.7%)」も過半数が選んでおり、情報システム業として必須の「プロジェクトマネジメント(38.7%)よりも多い結果となりました。働き方の柔軟性や社員の満足度を高めるうえで、ラインマネジメント力の必要性を感じている方が多いといえます。
なお、「コーチング(42.3%)」「言語化する力(相手に合わせた表現で伝える力)(40.8%)」も比較的多く選ばれており、ITスキルに加え、コミュニケーション力の向上が必要と感じていることがわかります。
4. 一般社員は「チームで協力して成果を上げること」や「自ら現場で判断すること」が期待
管理職像が変化する一方、情報通信業の一般社員に求められることも変化しています。
10年前に一般社員に期待されていたことのTOP3は、「定型的な業務を確実に遂行する(81.3%)」「上位層の方針や判断をこまめに確認し、行動する(59.6%)」「個人として成果を上げる(52.6%)」でした。これに対し、現在のTOP3は「チームで協力して成果を上げる(76.3%)」「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する(70.4%)」「自ら現場で判断し、行動する(69.5%)」となっています。
特に10年前から大きく変わったのは、「定型的な業務を確実に遂行する(-47.5pt)」「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する(+55.5pt)」「自ら現場で判断し、行動する(+45.5pt)」「チームで協力して成果を上げる(+45.0pt)」などがあります。プロジェクトマネージャーや常駐先の顧客の指示に従って定型的な業務をしっかりこなす姿から、自分で判断しつつもチームのメンバーと協力し、臨機応変に業務を進める姿に変わったといえます。
他業種(情報通信業を除く全業種)と比較してみると、「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」では、他業種では50.5pt増のところ、情報通信業では55.5pt増となりました。また、「自ら現場で判断し、行動する」においては、全体で39.4pt増のところ情報通信業では45.5pt増となりました。これより、情報通信業では、DXの推進などのような、顧客もプロジェクトマネージャーも正解を持っていない案件において、状況を見ながら自ら判断し、役割を遂行することがより強く求められている、といえるのではないでしょうか。
しかし、管理職で求められる姿と実態に差が見られたように、一般社員でも求められる姿と実態には乖離があるようです。特に大きなスコアの差が見られた項目は「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する(-37.7pt)」「周囲を巻き込みリーダーシップをとる(-36.1pt)」「自ら現場で判断し、行動する(-34.6pt)」「チームで協力して成果を上げる(-22.5pt)」。これより、一般社員ではチームの中でどう働くか、どのようにして自分で判断しリーダーシップをとっていくかといった課題があると推察されます。
5. 過半数が一般社員に「IT・デジタルリテラシー」「言語化する力」「タイムマネジメント」求める
ここで、管理職像の変化と同じように、情報通信業の一般社員に求められることが変化した理由について3つまで選んでもらいました。すると、「状況の変化が早くなった(56.9%)」が最多となり、「チームメンバーの特性やレベル感が多様化した(41.2%)」「顧客やマーケットのニーズが多様化した(40.6%)」と続きました。
一般社員に求められるスキルや知識のうち10年前と比べて特に重視されるようになってきたものでは「IT・デジタルに関するリテラシー(65.0%)」が最多となり、「言語化する力(相手に合わせた表現で伝える力)(57.6%)」が第2位、「タイムマネジメント(56.1%)」が第3位に。ITが様々な業務で活用されるようになったことで、今まで接してこなかった例えば営業部門などの人と接する必要性が増え、誰にでも分かりやすく伝える力がますます必要になってきていると推察されます。
上位には入っていないものの、注目すべき選択肢もあります。本設問には、特定分野のスキルや知識に関する選択肢の他に「教養全般(歴史やリベラルアーツなど)」という幅広い分野を示す選択肢がありますが、「教養全般(歴史やリベラルアーツなど)」は14.5%で、「ティーチング(13.2%)」や「コーチング(12.8%)」より多く選ばれる結果となりました。
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(株式会社ラーニングエージェンシー / 3月8日発表・同社プレスリリースより転載)