パンデミックにより働く女性のウェルビーイングが低下
所属組織からの女性向け支援が十分であると考えている女性はわずか39%。ウェルビーイングやワークライフバランスの悪化で、57%が「2年以内の退職」を検討
デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:永田高士)は、デロイトが2020年11月~2021年3月に実施した世界調査「Women @ Work: A global outlook」日本版を発表します。
本調査は、COVID-19によって生じた、職場や家庭において女性が抱える課題ならびに必要としている支援や環境について探求し、企業が検討すべき課題を示すことを目的に、日本に加え、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、ドイツ、インド、南アフリカ、英国、米国の計10か国で5,000人の働く女性を対象に行われました。「Women @ Work: A global outlook」の日本版では、調査対象のうち、日本で働く女性500人の回答から示された傾向やグローバル平均との比較をまとめています。
■働く女性を取り巻く環境が悪化、心身のウェルビーイングが低下
日本では、自身のワークライフバランスについてパンデミック前は69%がポジティブ(「良い」 または 「非常に良い」)に評価していましたが、パンデミック後はわずか43%にとどまっています。さらに、精神的なウェルビーイングはポジティブな評価が69%から38%に、身体的なウェルビーイングは66%から46%に下がり、より根源的な課題として浮かび上がってきています。
ウェルビーイングの悪化の理由としては、COVID-19による変化として「仕事の業務量」(71%)「家事に要する時間」(50%)が増した一方、「友人とのつながりが希薄化」(44%)したことや、「趣味を楽しむ時間が減少」(44%)したことも影響していると見られます。この傾向はグローバルと同様であり、日本を含む世界の経営者は働く女性を取り巻く環境変化を理解し、さらなる支援を行う必要があります。
■グローバル・日本ともに離職の意向が高い
日本の回答者の57%が2年以内(うち2%が会社都合)、20%が2~5年後の離職を検討、5年以上同じ会社にとどまると回答した割合はわずか3%で、グローバルと同様に過半数以上の女性が離職を検討しています。その理由としてパンデミックに起因する「ワークライフバランスの悪さ」(23%)や「家事育児等の負担の増加」(10%)といった回答がありました。
■インクルーシブな環境の構築が、好循環を生む
さらに、関連する設問への回答結果から、インクルーシブな文化をもち、女性のキャリア支援に力を入れている組織で働く女性は、パンデミック下における健全なメンタルヘルス、仕事の満足度、モチベーション、生産性のレベルが高く、離職の意向が低いことが明らかになりました。しかしながら、そのような組織で働く女性はグローバル・日本ともにわずか約4%(グローバル約200名、うち日本12名)にとどまっています。本調査はパンデミックといった困難な状況下における働く女性のウェルビーイングの確保の難しさを示しており、経営者はよりインクルーシブで信頼性の高い文化を持つ強靭な組織を構築しながら、女性に対する積極的な支援を実施していく必要があります。
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(デロイトトーマツグループ/6月22日発表・同社プレスリリースより転載)