テレワークでのオンラインツール利用状況についてアンケート調査
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のテレワーク関連ソリューション市場を調査し、直近のITツール利用状況とテレワーク関連ソリューション市場動向、ポストコロナの働き方の変化を明らかにした。ここでは、緊急事態宣言下のテレワークでのITツール利用状況、ならびにビデオ・Web会議システム市場動向について公表する。
1.市場概況
新型コロナウイルス感染症への対応のため緊急事態宣言が2020年4月に発令され、国内の多くの企業・団体がテレワークを実施した。
本調査では、4月7日に緊急事態宣言が発令された7都府県のオフィスに勤務し、テレワークを実施した男女500人に対し、インターネットアンケート調査を実施した。4種類のオンラインツール(Web会議システム、ビジネスチャットツール、オンラインストレージ、タスク・プロジェクト管理ツール)の利用の有無を聞いたところ、Web会議システムの利用率(79.2%)が最も高く8割近くに達しており、次いでビジネスチャット(46.2%)で5割弱程度、一方でタスク・プロジェクト管理ツールは8.4%と最も低くなった。新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークで、Web会議システムやビジネスチャットを初めて利用したというユーザも多く、ごく短期間でオンラインツールの利用が大いに進んだことが分かる結果となった。
2.注目トピック
国内ビデオ・Web会議システム市場規模は2020年度に需要が大きく拡大する見通し
国内のITベンダーに対してテレワーク関連ソリューションの動向を調査したところ、2019年度のビデオ・Web会議システム市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比104.7%の405億円となった。
2019年度は、2020年7月より開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックに向けたテレワーク環境への投資や、台風・地震など自然災害の発生対策としての事業継続性(BCP)の観点、働き方改革の浸透などからビデオ・Web会議システムの導入が進んだ。
2020年度では、新型コロナウイルス感染症への対応としてWeb会議システムを中心に需要が大きく拡大しており、前年度比120.4%の487億5,000万円になると予測する。今回のインターネットアンケート調査結果でも、テレワークを行った人の8割近くがWeb会議システムを利用しており、テレワークを円滑に進めるために大きな役割を果たしていると考える。
3.将来展望
テレワーク関連ソリューションのオンラインツールは、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワーク実施を契機に、今まで全く利用経験がなかった大勢のワーカー(マネジメント層や一般社員)がその利便性を知ったことから、今後普及が進む見通しである。
特にWeb会議システムは、距離と時間を劇的に効率化できるため、対面での会議の代替に留まらず、セミナーなどのイベントや営業活動、採用における面接など、幅広い分野で利用の拡大が進むであろう。ビジネスチャットツールも、eメールや電話通話に替わり利便性が高いツールとして広く普及していくと予測する。ただし、ビジネスチャットとWeb会議システムはこれまでのように別のツールとして発展していくのではなく、コミュニケーションツールとして複合化が進む可能性もある。
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(株式会社矢野経済研究所 / 7月6日発表・同社プレスリリースより転載)