がんになっても安心して働き続けられる社会へ 活発化する企業の支援
がんに罹患した社員に対して、支援を行う企業の動きが活発化している。
テルモ株式会社では、今年1月に「がん就労支援ルール」を新設。がんに罹患した社員が治療しながら働き続けられるよう、休暇や時差勤務などの制度を整備した。また、伊藤忠商事は今月21日、社員のがんの予防や治療と仕事の両立を支援する施策を導入することを発表。がん早期発見のための検診を行うほか、社内に相談窓口を設けるなど、社員ががんになっても安心して働き続けられる職場づくりを目指す。
こうした取り組みを支援する行政の動きもある。東京都では、企業による社員のがん早期発見や、罹患後のサポートなどの取り組みの推進に向けて、2015年に「東京都職域連携がん対策支援事業」を立ち上げた。取り組みを認定した企業には、情報提供やアドバイザーによる助言・提案など、さまざまなサポートを行う。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が昨年5月に発表した調査によると、がん罹患後1年間で、給与の減少など勤務先の待遇に関するネガティブな変化を経験した人は、罹患者全体の28%にのぼるという。二人に一人ががんになるといわれる現在、罹患後も治療を行いながら働き続けたいと考える人は多い。こうした人たちが安心して働ける社会に向けて、今後、企業や行政によるサポートが一層強く求められるのではないだろうか。
(『日本の人事部』編集部)