IT人材の給与水準満足度は、成果主義的給与制度のほうが高い傾向~『IT関連産業の給与等に関する実態調査結果』(経済産業省)
経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、今後我が国産業の成長にとって重要な役割を担うことが期待されるIT人材の給与等の実態について、IT関連企業とIT人材の双方に対してアンケート調査実施し、その内容について分析を行いました。本日、その内容を調査報告書として取りまとめました。
■背景・問題意識
第四次産業革命と呼ばれる技術革新の進展の中、IT人材は、IT関連業界のみならず、あらゆる産業において必要とされてきており、人口減少とあいまって今後ますます不足することが見込まれています。優秀なIT人材の獲得競争は、業界・国境の垣根を越えて激化しつつありますが、こうした競争を制する為には、IT人材をどう評価し、処遇するかが重要な要素です。
上記の背景を踏まえて、経済産業省は、IT関連業界における給与制度や採用等に関する現状及び課題について把握し、今後の施策の検討材料とすることを目的として、本調査を実施しました。
<調査内容>
- IT人材に関する業種別・職種別・レベル別等の属性別の給与水準の実態の把握
- IT関連企業の給与制度、給与決定にあたって重視している要素等の把握
- IT関連企業における採用の実態と課題状況の把握
- IT人材の残業時間と勉強時間の把握、属性別の分析
■調査結果の概要
<年功度別年収水準の推移>
・企業に対する「年功の影響度」についての質問回答結果から、IT関連企業の給与制度を「年功型」と「能力・成果重視型」、「中間型」の三種類に分類し、それぞれの企業群における年齢別の給与水準を比較した。
・その結果我が国においては、いずれの企業群でも米国のような30代の年収水準がピークとなる成果主義的な給与カーブにはなっておらず年功的な右肩上がりの給与カーブになることや、「能力・成果重視」型企業群において最高水準を達成している人材では、30代までの早い時期から年収水準が高くなるが、年収の絶対額・年功型企業群との比較の双方の観点から見て、突出した給与水準が設定されているわけではないことなどが判明した。
<IT人材の給与決定にあたって重視されている項目>
・IT人材の給与決定にあたっての企業側の重視事項について、七つの項目を設定し、各項目の優先順位を明らかにした。
・社内で最高水準の年収を実現している人材について、 年齢別に最高年収の水準を達成している要因を明らかにした。キャリア前半の25歳35歳時の実務的技術から、キャリア後半の45歳55歳時のマネジメント能力へと切り替わっていることなどが判明した。
<IT人材の残業時間と勉強時間>
・IT人材の残業時間と勉強時間の関係について、属性別の分析を実施した。スキル/年収が高いほど、残業時間・勉強時間ともに長い傾向にあることなどが判明した。
<関連資料>
IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(PDF形式:2,375KB)
調査結果の概要(PDF形式:738KB)
<担当>
商務情報政策局 情報技術利用促進課長 中野
担当者:宇留賀、千家
電話:03-3501-1511(内線3971~5)
03-3501-2646(直通)
03-3501-6073(FAX)
◆ 発表資料の詳細はこちらをご覧ください。
(経済産業省 http://www.meti.go.jp/ / 8月21日発表・報道発表より転載)