人事サービスの提供において重要な要素であるCOE、HRBP、HRSSを効果的に機能させるモデルを採用している企業はわずか1/3~『HRトランスフォーメーション・サーベイ』結果を発表:マーサー
●人事サービスの提供において重要な要素であるCOE、HRBP、HRSS、を効果的に機能させるモデルを採用している企業は全体のわずか1/3である
●昨今のデジタル環境下において、人事がITを有効に活用することは、ビジネス・ニーズに対応する上で不可欠となっている
2017年に実施された、人事部門変革に関するマーサーの調査「HRトランスフォーメーション・サーベイ – 人事はどう変わるべきか」によると、世界各地の組織・企業の人事機能において、COE(Center of Expertise/ Excellence=報酬や人材育成など人事の高い専門性を提供する機関)、HRBP(HR Business Partner=人事ビジネスパートナー)、HRSS(HR Shared Service=人事シェアードサービス)の三つの構成要素をもったモデルを採用しているのは、約1/3(35%)しかないことがわかった。COE、HRBP、HRSS、この三つすべてがうまく機能することで、人事は高い成果を挙げることができる。さらに、このモデルから変えようとしている企業は17%しかない。
「ビジネス環境が急速に変化を続ける中、更なる変化とサポートを必要としている経営計画の実行に、人事はこれまでの変革のスピードではついていくことができない。マーサーの2017年度グローバル人材動向に関する調査では、大半(93%)の経営幹部は、今後2年以内に、組織の再編を計画しており、その41%は、サポート機能をシェアードサービスに移管しようとしている。
「企業は、効率性の向上と機敏性を高めるために、テクノロジーの組み合わせを用いて、変化を起こそうとしています。シェアードサービスと、ビジネスパートナースキルを拡張してきた企業は、ビジネス・ニーズに合致した人事機能を持つことに成功しています。」と、マーサーのHR Transformation businessのパートナーであるカレン・ペイシーは述べている。
マーサーの調査では、人事機能モデルを継続的に進化させ、人事チームの能力を高め、テクノロジーに投資してきた人事部門を備えた企業は、それらを行っていない企業よりも、明らかに良い成果をあげていることが示されている。
人事機能モデルの進化と人事能力の向上
マーサーの調査では、高い成果をあげる人事部門のうち2/3以上(68%)が、過去5年以内に人事機能の再構築を行っていることが分かった。結果として、多くの企業が、人事管理と意思決定を集中させ、どんなところでも、プロセスや運用が一貫性を持って行われる枠組みを活用している。
人事機能提供モデルが進化するにつれ、高い成果をあげる人事機能を備えている企業は、ビジネス戦略全体と、COEや人事運用を整合させ、シェアードサービスへ業務を移管、人事チームに対して更なる学習機会と、ローテーションによるキャリア開発機会を提供している。主要な事業課題との結びつきを作り上げていくことで、人事は、付加価値を創出する役割をより果たせるようになっている。マーサーの調査によると、CHRO(最高人事責任者)や人事管掌役員の2/3以上(69%)は、事業戦略との整合性を保つために、少なくとも月に2回、CEOやCOOと、事業及び人事戦略について議論する機会を持っている。
「これらのミーティングは、リーダー間のパートナーシップを強め、人事がビジネス戦略と密に連携することを確実にするために重要なものです。」と、マーサーのHR Transformation practice 北アメリカ地区リーダー、デニス・ラフォルテは言う。さらに「人事の持つ能力と競争力を認めているCEOが半数に満たないのが現状ですが、ビジネスリーダーが人事の諸プログラムがビジネス戦略に沿っていることを確認し、そのプログラムの価値と重要性を理解することが特に重要なのです」と続ける。
テクノロジーへの投資
HCM(人事管理)テクノロジーへ投資を行い、戦略的意思決定を支える人事データの分析を提供し、管理者と従業員の両者へ顧客体験をもたらすことは、最も重要な人事課題である。マーサーの調査によると、人事が従業員に対してデジタルを通じたサービス提供をしていることは、全体の1/3(35%)のCEOしか認識していないという状況である。
また、高い成果をあげる人事機能を備えている企業は、ITを有効活用し、分析を実施・活用することで、成果をあげている。具体的には、優れた顧客価値の提供(94%)、非連続的な環境変化へのプロアクティブな対応(83%)、イノベーションの推進(89%)といった、著しいビジネス上の成果をもたらしている。さらに、それらは魅力的な労働環境(86%)をもたらし、優れた人材を惹きつけること(91%)に結び付いている。
他企業よりも多くITを活用することで高い成果をあげる人事機能を備えている企業も、その範囲は依然として限定的である。69%の企業は、従業員が自分で情報を参照できるサービス環境を提供しているが、管理者が自部署の情報を参照できるのは36%に過ぎず、モバイルツールを活用している企業は27%にとどまっている。
「人事は、デジタル環境下で存在感を高める重要な機会を得ています。ITを活用し、人事データ分析のスキルを向上させることで、組織の戦略的意思決定力を高め、ビジネスリーダーや他部門とのパートナーシップを強化し、よりデジタル化された、管理者と従業員へ向けたサービスを提供しています。」と、ペイシーは述べている。
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(マーサージャパン株式会社 http://www.mercer.co.jp/ /7月6日発表・同社プレスリリースより転載)