約7割の企業が若いものづくり人材の採用ができないと認識~『ものづくり産業を支える企業の労働生産性向上に向けた人材確保、育成に関する調査』:JILPT
労働政策研究・研修機構(JILPT)では、「ものづくり産業を支える企業の労働生産性向上に向けた人材確保、育成に関する調査」を実施しました。このほど、調査結果がまとまりましたので公表いたします。
【調査結果のポイント】
●ものづくり人材の採用・確保の状況
<ものづくり人材の応募がない・少ないと感じる企業は8割弱。若い人が採用できないと感じる企業は約7割>
・過去3年間で、ものづくり人材の新卒採用を行った企業割合は28.2%で、中途採用が64.6%。新卒採用、中途採用ともに、採用を行った企業割合は、規模の小さい企業ほど低い。また、規模が小さくなるほど、募集したものの採用できなかった企業割合が高まっている。
・ものづくり人材の採用・確保に対する評価について、8割弱の企業が〈応募がない・少ない〉、また〈求める技能レベルの人が採用できない〉と思う(「そう思う」+「どちらかといえばそう思う」)と回答。〈若い人が採用できない〉と思う企業も約7割。
●ものづくり人材の育成・能力開発の取り組み
<人材育成・能力開発における課題のトップは「若年人材を確保できない」>
・ものづくり人材の育成・能力開発における課題(複数回答)でも、トップは「若年ものづくり人材を十分に確保できない」(46.3%)。規模が大きくなるほど、「指導する側の人材が不足している」など指導する側に課題をもつ企業割合が高まっている。
●労働生産性の向上に向けた取り組み
<自社の競争力強化策の中で、売上に最も貢献するのは「他社にできない加工技術・作業工程」>
・自社の労働生産性の3年前と比べた変化をみると、向上した(「向上した」+「やや向上した」)とする企業割合は40.3%。同業同規模の他社と比べた生産性の水準では、高い(「高い」+「やや高い」)とする企業割合が29.0%。
・生産性の向上など競争力強化に向けて実施している取り組み(複数回答)では、「コスト削減」(42.5%)をあげる企業が最も多い。ただ、実施している取り組みのなかで売上に最も貢献しているもの(単一回答)をみると、「他社にはできない加工技術や作業工程」(15.3%)がトップにあがる。規模別にみると、規模が小さくなるほど「他社にはできない加工技術や作業工程」をあげる企業割合が高い。
<生産性が高い企業割合が最も高いのは「他社にできない加工技術・作業工程」実施企業>
・競争力強化の取り組み別に、労働生産性が高いとする企業割合をみると、「他社にはできない加工技術や作業工程」に取り組む企業が最も高い(37.1%)。
【調査の概要】
1.調査の趣旨・目的
人手不足が進むなか、労働生産性の向上が中小企業・小規模事業者にとっても重要な課題となっている。こうした観点から、ものづくり産業における中小企業(零細企業を含む)の現状や位置付けを明らかにするとともに、労働生産性の向上に向けた人材の確保と育成に関する課題や取組の実態等を把握するため、従業員5人以上の企業に対してアンケート調査を実施した。なお、本調査は厚生労働省職業能力開発局からの要請により行ったものである。
2.調査名
「ものづくり産業を支える企業の労働生産性向上に向けた人材確保、育成に関する調査」
3.調査対象
全国の日本標準産業分類(平成25(2013)年10月改訂)による項目「E 製造業」に分類される企業のうち、プラスチック製品製造業、鉄鋼業、非鉄金属製造業、金属製品製造業、はん用機械器具製造業、生産用機械機具製造業、業務用機械器具製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業、輸送用機械器具製造業に属する従業員数5人以上の企業20,000社。
平成26(2014)年経済センサス基礎調査(確報)での企業分布に従い、民間信用調査機関所有の企業データベースから業種・規模別に層化無作為抽出した。
4.調査方法
郵送による調査票の配布・回収。
5.調査実施期間
平成28(2016)年11月17日~12月5日(調査時点は11月1日現在)。
6.有効回収数
有効回収数5,565件/有効回答率27.8%
◆ 本調査の詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(独立行政法人労働政策研究・研修機構 http://www.jil.go.jp/ /6月2日発表・同機構プレスリリースより転載)