産労総合研究所、『2015年度(第39回) 教育研修費用の実態調査』
~教育研修費用総額の2014年度の予算額は5,458万円、実績額は4,533万円
2015年度の予算額は5,651万円で、前回調査と比較していずれもほぼ横ばい~
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2015年度(第39回)教育研修費用の実態調査」を実施しました。本調査は1976(昭和51)年より実施しており、今回で39回目となります。
◆調査結果のポイント
1.【教育研修費用総額と従業員1人当たりの教育研修費用】
・教育研修費用総額の2014年度の予算額は5,458万円、実績額は4,533万円、2015年度の予算額は5,651万円で、前回調査と比較すると、いずれもほぼ横ばい。
・従業員1人当たりの2014年度実績額は36,877円で、前回調査と比較して15.2%増加。2015年度予算額は47,170円。
2.【教育予算策定の際の基準】
・教育研修費用予算を策定する際に最も優先した基準は、「前年度の実績額」が43.8%で最多。
3.【教育予算の増減状況】
・教育予算が対前年度比で増加した企業は48.7%で、前回調査よりやや割合は下がっているものの、全体として予算を増やした企業が多い。
4.【各種教育研修の実施状況】
・「階層別研修」で実施率が高いものは、例年どおり「新入社員教育」、「新入社員フォロー教育」。
・「職種別・目的別研修」では、「メンタルヘルス・ハラスメント教育」、「OJT指導員教育」、「CSR・コンプライアンス教育」で実施率が4割超。
5.【研修内製化への取組状況】
・研修内製化に「取り組んでいる」企業は67.4%で、前回調査(2012年度)と比べるとやや減少。
・内製化に取り組むなかでの課題は、「社内に講師になれる人材が不足し、育成にも時間がかかる」が44.6%で最多。
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■調査要領
【調査名】「2015年度(第39回) 教育研修費用の実態に関する調査」
【調査対象】上場企業および当社会員企業から任意に抽出した約3,000社
【調査時期】2015年7月~8月
【調査方法】郵送によるアンケート調査方式
【集計対象】締切日までに回答のあった139社について集計
【留意点】調査項目ごとに無回答があるため、それを除いて集計した。そのため、各表で集計者数は異なっていることに留意されたい。
■調査結果の概要
1.教育研修費用総額と従業員1人当たりの教育研修費用
(1)教育研修費用総額
1社当たりの教育研修費用総額は、2014年度は予算額5,458万円(前回調査5,410万円)、同実績額4,533万円(同4,566万円)であり、2015年度は予算額5,651万円(同5,741万円)である。調査対象が異なるため、前回調査と厳密な比較はできないが、いずれもほぼ横ばいの水準である。全体的に、企業規模による差が大きい。業種別に2014年度実績額をみると、製造業5,403万円、非製造業3,984万円で、製造業が1,400万円以上も上回っている。
(2)従業員1人当たりの教育研修費用
従業員1人当たりの教育研修費用は、2014年度の予算額46,764円(前回調査38,337円)、同実績額36,877円(同32,010円)、2015年度予算額47,170円(同40,684円)で、予算、実績ともに前回調査を上回った。実績額でみると、金額で4,867円、率にして15.2%増加している。大企業に限ってみれば、43,775円(前回33,735円)と約1万円アップしている。
2.教育予算策定の際の基準
教育研修費用予算を策定する際に最も優先した基準としては、「前年度の実績額」が43.8%(前回調査42.3%)で最も多く、次いで、「毎年の必要額をゼロベースで積み上げる」の23.4%(同31.7%)となっている。前回調査と比較すると、「ゼロベースで積み上げる」が減少し、「前年度の予算額」が増加している。
前々回の調査までは「ゼロベースで積み上げる」が最多であったが、前回から「前年度の実績額」が大きく上回るようになり、今回は大企業では60.4%(同50.0%)と突出して高くなっている。
3.教育予算の増減状況
2015年度予算の対前年度の状況をみると、予算が増加した企業は48.7%(前回調査55.0%)、減少した企業は32.7%(同34.6%)、増減なしの企業は18.6%(10.3%)となっている。前回より割合は下がったものの、全体としては予算を増やした企業が多い。
予算が増加すると回答した企業の平均増加率は24.8%で、増加率の分布をみると、「5~10%未満」が30.9%で最も多い。一方、減少するとした企業の平均減少率は19.1%で、減少率は「10~20%未満」35.1%、「20~40%未満」21.6%が多くなっている。
4.各種教育研修の実施状況
2015年度の予算で実施する予定の教育研修についてみると、階層別教育で実施率の高いものとしては、「新入社員教育」が88.9%で例年どおり最多。これに、「新入社員フォロー教育」71.1%、「中堅社員教育」68.9%、「初級管理者教育」68.1%などが続く(複数回答)。
次に、職種別・目的別教育についてみると、実施率が4割を超えるものとしては、「メンタルヘルス・ハラスメント教育」47.4%、「OJT指導員教育」41.5%、「CSR・コンプライアンス教育」40.7%となっている(複数回答)。
5.研修内製化への取組状況
今回は2012年度以来3年ぶりに、研修内製化についても調査した。内製化に「取り組んでいる」企業は67.4%(前回調査76.2%)で、「取り組んでいない」企業は32.6%(同23.8%)である。
また、内製化に取り組んでいる企業には課題を、取り組んでいない企業には取り組まない理由について聞いたところ、最も多かったのは「社内に講師になれる人材が不足し、育成にも時間がかかる」44.6%で、次いで、「人材開発部門のマンパワー不足で手が回らない」20.7%となっている。
※本調査結果は、「企業と人材」2015年10月号に掲載しています。
【本リリースに関する取材などのお問い合わせ先】
株式会社産労総合研究所
「企業と人材」編集部 担当:石田、片上
TEL 03(5319)3605
MAIL edt-e@sanro.co.jp
◆本調査の図表・詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社産労総合研究所 http://www.e-sanro.net/ /10月30日発表・同社プレスリリースより転載)