ゴールドカラー
ゴールドカラーとは?
「ゴールドカラー」とは、米国の経営学者、経営コンサルタントのロバート・E・ケリーが著書『The Gold-Collar Worker』で提案した造語で、ホワイトカラー、ブルーカラーなどと同じく、職種層や労働力の質をタイプ分けする言葉です。かりに企業と雇用関係を結んでいても、組織に依存・従属することなく、高い専門能力やマネジメント能力をもち、その能力を主体的に活かすことで自らキャリアを形成していく知的ワーカーの総称です。マネジメント層や起業家、研究・技術開発のスペシャリスト、各種コンサルタントなどが当てはまります。
自分の能力を自由に売って働く人たち
雇われても使われず、グローバルに活躍
ロバート・E・ケリー博士が先述の著書で「ゴールドカラー」層の出現を“予言”したのは1985年、いまから30年近く前のことでした。ケリー博士によると、第一次産業から第二・三次産業への移行によって、労働社会はブルーカラー層とホワイトカラー層に大別されるようになりました。そしてその次の段階として、「先進国ではホワイトカラーから、“自分の能力”を自由に売って働くゴールドカラーが分離する」と述べる一方、「ブルーカラー層は減少していくだろう」との見通しも示しています。
1980年代半ば、バブル前夜の日本のサラリーマン社会に、こうした未来予測がどこまで現実味をもって受け入れられたかは疑わしいところですが、いま振り返ると、博士の主張が要点をついていたことはよくわかります。とくにブルーカラー層の減少については、ここ20年ほどで進行した製造業空洞化の動きに、その典型を見てとることができるでしょう。バブル崩壊後の日本をはじめ、先進各国の国内から工場が次々と消え、そこで働く人々は職を失いました。国内に残った製造業も、外国人労働者を積極的に導入。はたして日本人のブルーカラー層は大きく減少したのです。
では、ホワイトカラー層から分離して、ゴールドカラー層が形成されるという予測についてはどうでしょうか。博士は、新しく登場するゴールドカラー層の特徴の一つとして「人生における移動距離が圧倒的に長いこと」を挙げています。つまり“世界を股にかけて”学び、働き、生活をするということであり、これを現代のキーワードに当てはめれば、まさしく「人材のグローバル化」にほかなりません。
また博士はもうひとつ、ゴールドカラー層は「誰にも使われない人である」という特徴も挙げています。形式上は雇われていても、会社に使われないし、また自分も会社に頼らない。あくまで自分のキャリア形成を第一に考え、日々の仕事も進路も主体的に判断して、必要であれば転職や起業もいとわない――そうした自立的かつ自律的な人材が業種・職種を問わずに、市場に増えていること、また市場からも求められていることは周知の事実でしょう。ケリー博士が予測した「ゴールドカラー層の形成」という未来に、労働社会の現実が確かに追いついてきたといえます。
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