【ヨミ】ミバライザンギョウダイ 未払い残業代

従業員が法定労働時間を超えて働いたにもかかわらず、会社から労働基準法で定められた時間外割増賃金が支払われない場合、この賃金債権を「未払い残業代」と呼びます。現在の民法の規定では、賃金債権の時効は2年。したがって労働者は最大で過去2年分までさかのぼって、未払い残業代を請求することができます。
(2010/12/6掲載)

未払い残業代のケーススタディ

監督指導で支払われた残業代は計116億円
みなし労働時間制でも「未払い」の判決が

多額の未払い残業代の支払いによって、企業経営が圧迫されるリスクが増大しています。近年はとくに退職者同士が結束して、元の勤務先を労働基準監督署に訴えたり、労働審判や訴訟など直接的な形で請求を起こしたりする動きが目立っています。

今秋、厚生労働省が発表した平成21年度「賃金不払残業(サービス残業)是正の結果まとめ」によると、全国の労働基準監督署が2009年4月から翌年3月までの1年間に、残業代が未払いになっているとして労基法違反で是正勧告した事案のうち、勧告に応じて100万円以上の残業代を支払った企業は合計で1,221社、支払われた残業代の総額は約116憶円にのぼりました。長引く不況の影響で残業そのものが減少したせいか、是正企業数は前年比で332社少なく、支払われた残業代の総額も約80億円のマイナスになっています。それでも支払い額のワースト3は、12憶4,206万円(飲食業)、11億561万円(銀行・信託業)、5億3,913万円(病院)といずれも巨額でした。

今年4月以降は改正労基法の施行により、月60時間を超えた分の時間外手当の割増率が加算されるため、今後、請求額がますます高額化する可能性があります。未払い残業代という負債によってつぶれたり、傾いたりする企業が出てきても不思議ではありません。

こうした動きが広がった背景にはいくつかの要因があります。ひとつは、終身雇用制の崩壊に伴う社員の会社に対する意識の変化です。転職が珍しくないいま、愛社精神や帰属意識が薄れ、勤務先と事をかまえることに抵抗がない人が増えています。残業代の支払い請求が認められることが、広く一般に知られるようになった影響も大きいでしょう。その契機となったのが、08年に表面化した「名ばかり管理職」の問題です。さらには一部の弁護士や司法書士などが、新たなビジネスチャンスとして未払い残業代の請求に着目し、請求を促す広告を出したり、インターネット上で専門サイトを立ち上げたりしていることも要因の一つとして見逃せません。

もちろん労働基準監督署の是正勧告を受ける企業側にも、労働法規に関する認識不足、社員の労働時間管理が厳密に行われていないなど、問題があるのは明らかです。今年5月には、旅行会社の派遣添乗員が勤務先に未払い残業代の支払いを求めて起こした裁判で、同社に未払い残業代など併せて約112万円の支払い命令が下されました。同社は、添乗員の労働時間が把握しにくいとして、何時間働いても一定の給料しか支払わない「事業場外みなし労働時間制」を採用していましたが、裁判では「日報や携帯電話などで労働時間を把握することは可能」と判断されました。「基本給に残業代を含んでいる」「年俸制を採用していて、残業代込みの賃金を支給している」といった主張も、裁判や監督署の指導では残業代の不払いと判断される傾向が強いようです。未払い残業代の問題は、日本企業に共通する甘い労務管理体制の一端を浮き彫りにしているともいえるでしょう。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

会員登録はこちら

既に日本の人事部会員の方は、ここからログイン

この記事をおススメ

(情報未登録)さんのオススメとして、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)が公開されます。
※コメント入力は任意です。

おススメ
コメント
(任意)
■コメント投稿に関するご注意
以下に定めるご注意をご承諾の上、コメントを投稿してください。

1.
記載されている記事や回答の内容に関係のないコメントは、ご遠慮ください。
2.
以下の内容を含んだコメントの投稿を禁止します。『日本の人事部』事務局が禁止行為に該当すると判断した場合には、投稿者に通知することなく、コメントを削除または修正することもございます。予めご了承ください。
・第三者の名誉または信用を毀損するもの
・第三者を誹謗・中傷するもの
・第三者の名誉、信用、プライバシーを侵害するもの
・第三者の著作権等の知的財産権を侵害するもの
・第三者の権利または利益を侵害するもの
・公序良俗に反する内容を含んだもの
・政治活動、宗教、思想に関する記載があるもの
・法令に違反する、または違反のおそれがある記載のあるもの
・差別につながるもの
・事実に反する情報を記載するもの
・営利目的の宣伝・広告を含んだもの
・その他、内容が不適切と判断されるもの
3.
氏名・住所・電話番号などの個人情報を記載すると、トラブルに繋がる可能性があります。絶対に記載することのないよう、ご注意ください。
4.
掲載されたコメントにより発生したトラブルに関しては、いかなる場合も『日本の人事部』事務局では責任を負いかねますので、ご了承ください。
5.
ご投稿いただきましたコメントは、『日本の人事部』や、当社が運営するウェブサイト、発行物(メールマガジン、印刷物)などに転載させていただく場合がございますので、ご了承下さい。

コメントを書く

(情報未登録)さんのオススメとして、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)が公開されます。

コメント
■コメント投稿に関するご注意
以下に定めるご注意をご承諾の上、コメントを投稿してください。

1.
記載されている記事や回答の内容に関係のないコメントは、ご遠慮ください。
2.
以下の内容を含んだコメントの投稿を禁止します。『日本の人事部』事務局が禁止行為に該当すると判断した場合には、投稿者に通知することなく、コメントを削除または修正することもございます。予めご了承ください。
・第三者の名誉または信用を毀損するもの
・第三者を誹謗・中傷するもの
・第三者の名誉、信用、プライバシーを侵害するもの
・第三者の著作権等の知的財産権を侵害するもの
・第三者の権利または利益を侵害するもの
・公序良俗に反する内容を含んだもの
・政治活動、宗教、思想に関する記載があるもの
・法令に違反する、または違反のおそれがある記載のあるもの
・差別につながるもの
・事実に反する情報を記載するもの
・営利目的の宣伝・広告を含んだもの
・その他、内容が不適切と判断されるもの
3.
氏名・住所・電話番号などの個人情報を記載すると、トラブルに繋がる可能性があります。絶対に記載することのないよう、ご注意ください。
4.
掲載されたコメントにより発生したトラブルに関しては、いかなる場合も『日本の人事部』事務局では責任を負いかねますので、ご了承ください。
5.
ご投稿いただきましたコメントは、『日本の人事部』や、当社が運営するウェブサイト、発行物(メールマガジン、印刷物)などに転載させていただく場合がございますので、ご了承下さい。

問題を報告

ご報告ありがとうございます。
『日本の人事部』事務局にて内容を確認させていただきます。

報告内容
問題点

【ご注意】
・このご報告に、事務局から個別にご返信することはありません。
・ご報告いただいた内容が、弊社以外の第三者に伝わることはありません。
・ご報告をいただいても、対応を行わない場合もございます。

あわせて読みたい

関連する記事

関連するQ&A

関連するキーワード