CDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム)
CDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム)とは?
CDP(Career Development Program)とは、個々の社員のキャリア形成を、中長期的な視点で支援していくためのしくみです。数年先から10数年先のキャリア目標を定め、達成するために必要な能力や経験を計画的に積み重ねていきます。必ずしも教育研修に限られるものではなく、個人の希望や適性を考慮しながら、育成的な人事異動やOJT、社外での自己啓発も含めた多様な実践と組み合わせて、総合的に能力・職務開発を進めることが必要です。
「自分のキャリアは自分でつくるもの」
――制度活用のカギは社員の自発性
上記の定義をさらに具体化すると、CDPとは、社員が個別に(1)自分の職業について考える機会をもち、(2)長期的にどのような仕事につきたいかの目標を定め、(3)そのために必要な能力や経験を明らかにした上で、(4)それらを身につけるための教育や配属を計画するプログラムです。CDPはそれだけで独立して機能する制度ではありません。評価、異動、研修、情報管理など複数の制度を、育成を軸に連携させて運用するプログラムです。CDPを導入し、有効に活用するためには、以下のようなプロセスが求められます。
I: 準備段階
CDPの意義を各社員に説明した上で、上司との面接で本人の希望を聞き、評価結果や適性テスト、周囲のインタビューによって本人の適性も把握します。
II: ニーズの照合
経営戦略に基づく人材イメージや要員計画などから企業のニーズを明確化し、本人のニーズと照らし合わせて、目指すキャリアや必要な職務経験、教育内容を明らかにします。
III: 組織・制度対応
組織内のキャリア選択肢を広げ、柔軟な異動を可能にするしくみを整えます。教育研修制度や個別の人事データを蓄積するシステムも整備します。
IV: 配属・教育
IIのニーズを実現するためにIIIを活用して、具体的に必要な職務経験や教育を提供します。
V : 軌道修正
配属先での勤務状況や研修の実施状況、本人の希望や企業ニーズの変化などを定期的にチェックして、CDPの軌道修正を図ります。
従来のキャリア開発の運用はともすると企業ニーズに偏りがちでしたが、近年はCDPの考え方に基づいてこれを見直し、社員にキャリアを自分で考えさせて選ばせる自己申告制度や社内公募制度、個別研修制度などを導入、社内外に多様なキャリアパスを用意する企業が増えています。「自分で自分のキャリアを考えさせて選ばせる」「各自の適性や希望に沿って登用する」「自発性を尊重する」ことが社員の意欲を促し、効果的・効率的な人材育成に資するとの認識が広がっているからです。
キッコーマン株式会社では“プロ人材”の育成を目的に、10年以上前から、ジョブローテーション、教育・研修、面接を三本柱とするCDP制度を導入しています。同社人事部の松崎毅部長によると、こうした取り組みにはいまだ賛否両論があり、会社が社員の将来設計にそこまで世話を焼く必要はない、という声も根強いといいます。しかし松崎部長は「会社としても、社員にプロ人材への成長を促すなら、やはり本人の適性に沿った方向で異動先を決めたり、能力開発を進めたりすることが望ましい。それが、ひいては企業体質の強化につながっていくのだから。(中略)大切なのは『自分のキャリアは自分でつくるもの』という社員の意識だ」と指摘します。
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