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【ヨミ】キャリア ドリフト キャリアドリフト

「キャリアドリフト」とは、自分のキャリアについて大きな方向づけさえできていれば、人生の節目ごとに次のステップをしっかりとデザインするだけでいい、節目と節目の間は偶然の出会いや予期せぬ出来事をチャンスとして柔軟に受け止めるために、あえて状況に“流されるまま”でいることも必要だという考え方を言います。ドリフト(drift)とは「漂流する」という意味。キャリアドリフトは、神戸大学大学院の金井壽宏教授が提唱するキャリア理論のひとつで、同教授によると職業人生はキャリアデザインとキャリアドリフトの繰り返しであると考えられます。
(2014/3/17掲載)

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キャリアドリフトのケーススタディ

節目以外はキャリアをデザインしない
“流される”ことで偶然をチャンスに

就職、転職、異動、転勤――春は多くの人々がそれぞれ、新しい人生の節目に直面する季節です。キャリアという意味で誰もが最初に迎える節目は学校教育を卒業して就職し、新社会人になるという時期ですが、そこから先、どんな節目がいつ、どういう形でやってくるかには当然、個人差があります。こうなりたいという内発的な動機や意志に基づき、自らすすんで迎える節目がある一方で、例えば病気やけが、親の介護などの家庭の事情、勤務先の倒産といった理由で転職や休職、配置転換を決めざるを得ない場合も少なくありません。これは外的な環境変化がもたらす節目といえるでしょう。

要因が内的であれ、外的であれ、大きな変化をともなう節目は誰の人生にも数年ごとに訪れ、決断を迫ります。そんな節目に直面した時にこそ、自分が本当にやりたいことや好きなことは何なのかじっくりと内省し、自らの中長期的なキャリアを主体的にデザインしていくべきである、と提唱するのが金井壽宏教授のキャリアデザイン理論です。しかし金井教授は、単に節目におけるキャリアデザインの重要性だけを主張しているわけではありません。表裏一体をなす形で、キャリアをあえて“デザインしない”ことの重要性もまた主張しています。これが「キャリアドリフト」の概念です。

つまり、特に節目といえないような時期には、自分の方向性にばかり固執するのではなく、予期せぬ偶然の出来事や出会いも柔軟に受け止めながら、状況に「流されてみる」ことが必要というわけです。自分自身と真剣に向き合い、キャリアについて構想するのはとても重苦しく、疲れる作業ですし、日頃からたえず「自分が本当にしたいことは何か」などと追求しつづけるような働き方、過ごし方はあまり生産的とはいえません。まして変化の激しい昨今、20年先、30年先の将来まで見通して事細かにキャリアをデザインするのは不可能に近いでしょう。だからこそ何年かに一度、節目を迎えるたびごとに、立ち止まってしっかりとキャリアデザインを固め直せばいい。そして、節目を乗り越え、いったん方向性が決まったら、しばらくは自分の内面より周囲の状況に流されて、日々の仕事やくらしにあえて没頭してみることが重要になります。受け身で流れに身をまかせていればこそ、自分の目指す針路以外にも視野が広がり、偶然の出来事や出会いをチャンスとして活かすことに敏感でいられるからです。こうした考え方には、ジョン・D・クランボルツ教授の提唱した「計画された偶発性理論」とも相通ずるところがあります。

キャリアドリフトは、キャリアデザインによって主体的に創り上げた自己を現実に適応させ、その可能性をより大きく広げるプロセスとも言えるでしょう。

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