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【ヨミ】ケイケンガクシュウ 経験学習

人は実際の経験を通し、それを省察することでより深く学べるという考え方を、人材育成の領域では「経験学習」と呼びます。組織行動学者のデービッド・コルブはこうした学びを、体系化・汎用化された知識を受動的に習い覚える知識付与型の学習やトレーニングと区別し、「経験→省察→概念化→実践」という4段階の学習サイクルから成る「経験学習モデル」理論として提唱しています。
(2012/2/27掲載)

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経験学習のケーススタディ

学習サイクルを回せば人は成長できる
経験の“質”と他者の視点がポイントに

人は何から学び成長するのか――米・ロミンガー社が優れたビジネスリーダーの経験について調査したところ、7割が「仕事経験から学ぶ」と答え、あとは「他人から学ぶ」が2割、「研修や書籍から学ぶ」が1割。教室で行われるような知識付与型の学習が、能力開発に資する部分はわずかに過ぎず、成長の大半は現場での業務経験に左右されるとの結果が示されたのです。ビジネスパーソンは、日々多くの業務を経験します。しかし当然のことながら、経験さえすれば誰でも成長できるものではなく、人材開発には「経験を通じての学習プロセス」が欠かせません。では、どうすれば経験から学べるのか。その拠り所となり得るのが、上記の「経験学習モデル」理論です。

経験学習モデルは、その人自身の状況下で具体的な経験をすることが出発点になります〈具体的経験〉。次にその経験を多様な観点から振り返って内省し〈省察〉、そこで得られた教訓や気づきを他の状況でも応用できるような独自の理論〈マイ・セオリー〉に作り上げ〈概念化〉、その理論を新しい状況で実際に試行します(実践)。そしてさらに経験を重ねて…という風に、「経験→省察→概念化→実践」のサイクルを回すことで経験が知恵に変換され、人はより良く学ぶことができるというのが、コルブの提唱する経験学習理論の要諦です。

経験することが出発点だとはいえ、日々のあらゆる経験が振り返りや内省に値するとは限りません。人材育成の効果・効率を高めるには、学習を促す“良質な経験”を積む必要があるのです。良質な経験とは、端的にいうと“予測し得ない結果をもたらす経験”のこと。それは例えば、事業開発や事業再建などの新規性が高いプロジェクトに参加したり、人事異動や海外勤務によって従来のスキルが通じない状況に直面したりすることで得られると考えられます。そうした会に恵まれなくても、日常業務において、“現在の能力の2割増し”くらいの適度な難易度の課題にすすんで取り組んだり、懸命に手を伸ばせば届くような高さに成果の目標を設定したりすれば、成長につながる質のいい経験が期待できるでしょう。

経験の次の段階では、その結果を振り返り、なぜうまくいったのか、なぜ失敗したのかなどを自らに深く問いかけることが求められますが、このような省察のプロセスを、業務の傍らで行うことは容易ではありません。日々の仕事にどっぷりと浸かり切った状態では、なかなか自分自身を客観的に振り返れないからです。したがってこのプロセスでは、直属の上司やマネジャーなど、本人の成長をサポートする他者の存在が重要になります。マネジャーによる1対1のコミュニケーションやコーチングをきめ細かく実施するなど、本人が常に“違った視点からの問いかけ”を受けられる環境を整備することが有効だと考えられます。

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