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【ヨミ】イチジキキュウ 一時帰休

企業が、不況による業績悪化などの理由で操業短縮を行うにあたり、労働者を在籍のまま一時的に休業させることを「一時帰休」といいます。労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたるため、休業期間中、使用者は労働者に対して、平均賃金の60%以上の手当(休業手当)を保障しなければなりません。
(2009/4/27掲載)
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一時帰休のケーススタディ

雇用調整助成金の要件緩和で急拡大
社員の収入減に伴い副業容認の動きも

電機、金属、自動車関連などの製造業を中心に、世界的な需要減で生産調整を迫られ、一時帰休に踏み切る企業が急増しています。新日本製鉄は4月から、全従業員の1割弱にあたる約1,400人を対象に、公休以外に1人あたり月1〜2日の休みをとる形で一時帰休を始めると発表しました。スズキは、すでに2、3月で約1万人の正社員を一時帰休させました。4月も引き続き、国内の5工場で最大8日間の操業休止日を設け、間接部門では正社員約6,000人を対象に3日間の一時帰休を実施するとしています。

こうした一時帰休の動きは2009年に入って、大企業から下請けなどの中小企業へ拡大するとともに、メーカーと取引のある運送業や卸売業など関連業種にも波及しています。経営者にとって休業は“不名誉”な行為で、対外的な信用やイメージを傷つけかねないと危惧する風潮は根強いのですが、解雇なしに会社を存続させるには背に腹はかえられないというのが実情でしょう。08年12月に、既存の雇用調整助成金制度の要件を緩和した「中小企業緊急雇用安定助成金制度」が始まったのも一つの契機になりました。一時帰休を実施した場合、中小企業なら休業手当の4/5(上限は従業員1人につき1日7,730円)が助成される制度で、3年間に最大300日まで利用できます。

しかしせっかく助成金を使って一時帰休に踏み切っても、ただ漫然と従業員を休ませるだけでは意味がありません。経営にその効果を最大限に活かすために、誰を、いつ、どういう形態で休業させるか―事業の効率化や景気回復後の戦略、従業員個々の事情などをふまえた総合的な判断が求められます。残った一部の従業員にとって過重負担にならないよう、一時帰休者の選定や実施のタイミングにはとくに配慮が必要です。

収入減を伴う休業が長引くと従業員の生活不安が深刻化し、職場のモラールにも悪影響を及ぼしかねません。最近では従業員が賃金不足を補えるように、就業規則で禁じている正社員のアルバイトを許可する企業も増えてきました。東芝は、2〜3月に半導体や液晶パネルの生産部門で一時帰休を実施するにあたり、正社員約1万6,700人を対象に副業を認めました。日本経団連も、2月に発表した政策提言の中で、一時帰休に伴う副業容認を雇用対策の一例として挙げています。

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