グループ・ダイナミクス
グループ・ダイナミクスとは?
「グループ・ダイナミクス」とは、個人の思考・行動が集団に影響を与え、同様に集団の思考・行動も個人に影響を与えるという集団特性のこと。直訳すると「集団力学」で、ドイツの心理学者クルト・レヴィン氏により提唱されました。グループ・ダイナミクスは、良い方向にも悪い方向にも作用します。たとえば、チームにどのようなタイプのリーダーを配置するかによって、チームの雰囲気やパフォーマンスは変わってきます。連帯感がパフォーマンスを上げることもあれば、集団の力が強すぎると異なる意見が排除される方向にいくこともあるのです。
集団の力が吉と出るか、凶と出るか?
健全なグループ・ダイナミクスのためにできること
箱根駅伝で圧倒的な強さを示し、脚光を浴びている青山学院大学・陸上部。2024年の第100回大会では、優勝に最も近い存在と言われてきた駒沢大学を押さえ、総合優勝を果たしました。かつては箱根の舞台に立つこともできなかったチームを優勝常連校に成長させた原晋監督の存在は、多くの人の知るところでしょう。「負けてたまるか大作戦」など、メンバーを鼓舞するスローガンも毎年話題になっています。
このように、グループ・ダイナミクスの考え方は、ビジネス、教育、スポーツなど、さまざまな場面で活用されています。たとえば、職場でリーダーが変わり、会議の進め方・仕事の割り振り・サポートの仕方などがガラリと変わったことはないでしょうか。メンバーは変わらなくても、リーダーが変わった影響で、チームの成績が上がることがあるのです。リーダーという個人が集団に影響を与え、チームの士気が高まる。その結果、集団がさらに別の個人に影響を与え、メンバーが輝き出す、という構造です。
グループ・ダイナミクスは「団結力」と考えると分かりやすいでしょう。団結しているチームは、コミュニケーションが円滑で、メンバーのモチベーションが高く、より良い成果を生みだしやすいもの。一方で、団結力が強すぎると、個人が抑圧されたり、プレッシャーで心身の健康を損ねたりすることもあるため、注意が必要です。また、「集団浅慮」と呼ばれる、集団で行なった意思決定が個人で考えたものよりも劣ってしまう現象も起こりえます。集団の方向性はリーダーの手腕にかかっているため、どのようなタイプの人がリーダーを担うかはとても重要なのです。
グループ・ダイナミクスのポジティブな影響を引き出すには、まずチームビルディング研修などで団結力を高め、チームワークを引き出す必要があります。続いて行動規範を示し、そのグループで受け入れられること・受け入れられないことを明文化します。たとえば、「異なる意見は大歓迎」という指針のもと会議を進めるなど、反対意見や少数派の意見が出やすい空気を作り出すことも重要です。
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