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エンゲージメントを高めるためのポイント

「エンゲージメント」とは、個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係のことをいいます。エンゲージメントが高い職場では、環境や労働条件に満足しているだけでなく、従業員が仕事に意欲を持ってやりがいを感じています。このような状態を目指すためには、「ビジョンへの共感」「やりがいの創出」「働きやすい職場づくり」「成長支援」の観点が必要です。

更新日:2023/03/10

職場のエンゲージメントを高める

エンゲージメントを高めるには、給与アップや労働環境の改善だけではなく、従業員が企業のビジョンを理解したり、企業が従業員の成長を支援したりすることによって、双方が理想とする成長の方向をすり合わせる必要があります。「エンゲージメントが高い職場とは、どのような状態か」を整理した上で、エンゲージメントを高めるポイントを四つ紹介します。

エンゲージメントが高い職場とは

「エンゲージメントが高い」状態を、企業はどのようにとらえているのでしょうか。『日本の人事部 人事白書2019』のアンケートによると、「仕事そのものへの情熱・熱意」62.9%、「会社全般への満足感」61%、「会社への愛着」60.5%、「職務への満足感」58.4%、「仕事の成果が会社に大きく貢献している状態」42.1%、となっています。

エンゲージメントが高い状態とは
エンゲージメントが高い状態とは

この結果から見えるのは、エンゲージメントが高い職場では、環境や労働条件に満足しているだけでなく、従業員が仕事に意欲を持ってやりがいを感じていることです。例えば、「従業員が企業の成長に向けて意欲的に働いている」「サービスや商品を向上させよう、良いものを提供しようという心構えがある」「働きやすい職場を作ろうという能動的なかかわりがある」といった職場が、エンゲージメントが高いと考えられます。

エンゲージメントの三つの観点

法政大学大学院 政策創造研究科の教授・研究科長の石山恒貴氏は、エンゲージメントには次の三つの観点があると解説しています。

  • ワーク・エンゲージメント:仕事に対する熱意がありモチベーションが高い状態
  • 組織コミットメント:企業への満足度が高く愛着を持っている状態
  • 職務への満足感:仕事内容そのものに満足している状態

ただし、どういった状態を「エンゲージメントが高い」と評価するかは、企業によって異なります。エンゲージメントの高い組織づくりに取り組む際は「どの状態を目標とするか」を具体的にし、最適な施策を検討することが重要です。

エンゲージメントを高めるための4つのポイント

エンゲージメントを高めるには、個人の仕事の志向性に沿った環境や機会の提供を行う必要があります。多様性や価値観を共有・評価し、自分たちが何をしたいのか、どうなりたいのかを対話することが、エンゲージメントの高い組織を実現する上で非常に重要です。具体的には、以下の観点が必要になります。

エンゲージメントを高めるための4つのポイント

ビジョンへの共感

ビジョンへの共感は、エンゲージメントを高める上で欠かせない要素です。ビジョンとは、企業が進むべき方向性を示すものです。ビジョンへの共感を得られていなければ、従業員が勝手な方向に進んだり、何のために仕事をするのか不明瞭になったり、目的意識が薄くなってしまいます。

ビジョンへの共感をうながすには、定期的に従業員に対して情報を発信し続ける取り組みが必要です。例えば、株式会社サイバーエージェントでは「ヒストリエ」と呼ばれる社史の作成を通じて従業員とビジョンの共有を進め、企業文化を醸成しています。ヒストリエには、子会社の情報や各種プロジェクトの成功例・失敗例などが掲載されており、従業員はサイバーエージェントグループがどのような方向を目指しているのか、リアルタイムで感じ取ることができます。

やりがいの創出

エンゲージメントを高めるには、仕事のやりがいを創出する仕組み作りも重要なポイントになります。社内イベントや表彰式を実施したり、報酬アップを図ったりすることは、直接的で短期的なやりがいを従業員に感じさせます。

しかしながら、イベントや報酬の改善だけでは、一時的な効果で終わる可能性もあります。長期的な視点で従業員にやりがいを感じてもらうには、それぞれの得意領域や意向を見極め、それぞれの「持ち味」を職場で活用する取り組みが重要です。

例えば、能力や経験値に応じた「適材適所」の推進や、挑戦する機会を与える社内フリーエージェント制などが挙げられます。このほか、企業への貢献を適切に評価する人事制度の導入、権限委譲による若手のやりがいの創出といった施策も有効な方法です。

働きやすい環境づくり

組織へのコミットメントに大きく影響するのが、働きやすい環境です。仕事への意欲を継続するには、心身ともに健やかな状態を保つ必要があります。心の面では、社内のコミュニケーションが活発化するほど、組織への愛着心が生まれやすくなります。体の側面に取り組むための「健康経営」「ワーク・ライフ・バランスの向上」は、エンゲージメントにおいても重要です。

成長支援

職務への満足度を高め、「ワーク・エンゲージメント(仕事に対する熱意)」を生み出すには、それぞれの従業員が成長を実感できる仕組み作りに取り組む必要があります。スキルアップやキャリア形成に役立つ研修を実施するなど、それぞれの成長を支援します。

また、エンゲージメントの高い組織作りでは、上司のコミュニケーション力も重要です。マネジメント力やリーダーシップの強化は、組織のコミュニケーションを円滑にし、エンゲージメントの高い組織作りに役立ちます。

「対等な関係性」がエンゲージメントを高めていく

従来、日本の企業は、終身雇用制度により従業員との結びつきを維持してきました。しかし、働き方が多様化し、人材の流動化が進む現在では、良い労働条件を提示するだけでは従業員のエンゲージメントを高めることは難しくなっています。

実際、エンゲージメントを高める上での課題として多く聞かれるのは、「経営層がエンゲージメントの重要性について理解していない」「マネジメント層の力不足により従業員のコミットメントが薄い」といった声です。まずは、経営層がエンゲージメントについての理解を深め、メッセージをしっかり届けていくことが出発点です。

エンゲージメントの本質は、双方向の関与による互いの成長にあります。企業側からの一方向的な接し方ではなく、従業員それぞれの「個を理解する」ことが成功の鍵を握っています。

「会社」と「人」が互いの成長に貢献し合うことで業績向上を実現する
「従業員エンゲージメント」を高めるために押さえておきたいポイントをまとめました。従業員エンゲージメントとは何かをおさらいしながら、向上によるメリット、具体的な施策・ソリューションを解説します。

従業員エンゲージメントを高めるヒントとソリューションサービス10選

「エンゲージメント」について深く知る記事一覧

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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