パワハラが起こりやすい職場環境とは
パワハラとは、「パワーハラスメント」の略称であり、職場での優越的な立場を利用した嫌がらせのことです。パワハラ防止法をきっかけに、企業に対策が求められる中、「パワハラが起きてから対処する」という受け身の姿勢ではなく、パワハラが起こらないような職場環境を整え、発生を予防することが大切です。
厚生労働省が東京海上日動リスクコンサルティングに委託して実施した「職場のハラスメントに関する実態調査」やエン・ジャパン株式会社が実施した調査など、複数の調査からパワハラが起こりやすい職場の特徴が明らかになっています。その代表例が「コミュニケーションの少なさ」「相談のしにくさ」です。
上司と部下のコミュニケーションや交流が少ない・ない
パワハラが起きている職場に共通している特徴は、「上司と部下のコミュニケーションや交流が少ない/ない」ことです。他にも「残業が多いこと」「失敗が許されないこと」「従業員の年代に偏りがあること」などもパワハラが起きている職場に共通しています。
なお、パワハラを受けた際の心身への影響について、下表のとおり「職場でのコミュニケーションが減った」と回答している人が36.8%に上りました(2020年度)。回答者の割合は、2016年度に行われた調査の結果と比べても上昇傾向にあります。
パワハラを受けた従業員が職場でのコミュニケーションを避けると、職場全体のコミュニケーションの機会が減少し、パワハラが発生しやすい空気がまん延する悪循環に陥ります。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「職場のパワーハラスメントに関するヒアリング調査」では、社内でのパワハラを解消するために、多くの企業がコミュニケーションの円滑化を進めていることも明らかになっています。
相談しにくい雰囲気、相談体制がない
さらに、東京海上日動の調査における「パワハラを受けて何もしなかった理由」から、パワハラが起こりやすい職場の傾向もわかります。
パワハラを受けて何もしなかった理由は、2016年度と同様に「何をしても解決にならないと思ったから」が最多で67.7%に達しました。以下、「職務上不利益が生じると思ったから」(22.6%)、「何らかの行動をするほどのことではなかったから」(20.7%)と続きます。
「解決してくれない」と諦める理由としては、職場に相談しにくい雰囲気があることや、相談体制が整備されていないことなどが考えられます。「不利益が生じるのではないか」と、職場に対する不安が原因になっていることからも、企業への信頼や組織内の雰囲気は、パワハラの起こりやすさに大きな影響を与えているといえます。
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