企業にとってミッションが必要な理由
『日本の人事部 人事白書2021』によると、自社のミッションやビジョンを「明確化できている」と答えた企業は70.1%にのぼります。これほど多くの企業がミッションを重要視しているのはなぜでしょうか。意思決定と行動の起点をミッションに置くミッションドリブンな組織には、多くのメリットが期待できるからです。
企業経営における行動指標や判断基準、進むべき道の確認
ミッションがなくても、業務を遂行することは可能です。しかし、ミッションがあることですべての従業員が同じ方向を見ながら、あるいは原点に立ち返りながら、仕事を進めることができるようになります。従業員の文化的背景や価値観の多様化が進み、リモートワークの拡大など就労環境が変化して帰属意識が薄れやすくなる中、マネジメントしやすい環境が整います。
従業員のモチベーション向上、当事者意識の醸成
ミッションを策定することで、従業員は組織が抱く価値観に共感しやすくなり、モチベーションやエンゲージメントの上昇が期待できます。仕事を「やらされている」のではなく「自律的に動く」ようになり、離職率の減少や業績の向上につながります。
『人事白書2021』によると、市況よりも「業績が良い」と回答した企業の78.3%、「業績が悪い」と回答した企業の60.8%が、「ミッション、ビジョンを浸透できている」と回答しています。このことから、ミッション、ビジョンの策定と浸透は企業業績にも影響を及ぼしていると考えることができます。
企業の価値観にあった人材の獲得
採用活動を行う際に、自社の存在意義や叶えたい世界観といったメッセージを掲げることは有効です。企業の価値観に共感した応募者の増加が見込まれ、選考にあたって求職者と自社の価値観の擦り合わせが行いやすくなるからです。スキル面ではマッチしていても、価値観が合わずに早期退職に至るケースを減らすことができるでしょう。
株式会社ワークポートの調査によれば、転職時に「経営理念(ミッション、パーパス)を重視する」と回答した転職希望者は7割を超えています。「経営理念に共感できない場合は応募を見送る」と答えた割合も5割を超えており、応募する際の判断基準の一つになっていることがわかります。
企業のブランディング、PRにつながる
企業および製品やサービスのブランディングの面でも効果を発揮します。コモディティ化が進む現代社会において、その企業が抱く使命や価値観を発信することは、消費者に選ばれるための競合優位性につながります。消費者以外にも、取引先や投資先、求職者などのステークホルダーにアピールすることもできます。
企業にとってミッションが必要な理由まとめ
「ミッション」について深く知る記事一覧
用語の基本的な意味、具体的な業務に関する解説や事例などが豊富に掲載されています。掲載用語数は1,400以上、毎月新しい用語を掲載。基礎知識の習得に、課題解決のヒントに、すべてのビジネスパーソンをサポートする人事辞典です。