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人事辞典 最終更新日:2021/06/21

【ヨミ】シャカイホケン 社会保険

「社会保険」とは、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労働者災害補償保険(労災保険)」の総称です。このうち、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」の三つを狭義の「社会保険」、「雇用保険」「労働者災害補償保険(労災保険)」の二つを「労働保険」と呼ぶのが一般的です。

1. 社会保険とは

社会保険とは、日本の社会保障制度、つまり国民の生活を安定させる制度の一つです。社会保険料をあらかじめ集めておき、けが・病気をおこしたり仕事を失った人を、さまざまな給付により支援します。

企業においては、給与からの控除(いわゆる「天引き」)が発生する下記の図の中の保険が関心の中心となります。

図:会社と関係が深い社会保険一覧
会社と関係が深い社会保険

① 健康保険

保険の適用事業所で働く人(被保険者)とその家族(被扶養者)に対して、業務外の病気やけがによって治療を受けたとき、または被保険者がそれらによって給料が出ないとき、治療費が高額になり一部負担金が一定額を超えたとき、出産したとき、死亡したときなどに、給付や手当金などを支給します。例えば、被保険者証を提示して医療機関を受診する際に、一部負担金を支払うだけで治療を受けられることを「療養の給付」といいます。

健康保険事業者の例
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)…主に中小企業の労働者やその家族が加入
  • 健康保険組合…主に大企業の労働者やその家族が加入する
  • 共済組合…公務員や私立学校教職員などが加入

② 厚生年金保険

保険の適用事業所で働く人(被保険者)が65歳以降に受け取る老齢厚生年金のほか、病気やけがで障害が残ったときに受け取る障害厚生年金、被保険者が亡くなった場合に遺族が受け取る遺族厚生年金などがあります。

厚生年金保険に加入し、一定の条件を満たしていれば、60~65歳までは特別支給の老齢厚生年金、65歳からは老齢基礎年金に上乗せした老齢厚生年金が支給されます。

③ 介護保険

被保険者は40歳以上のすべての人です。40歳以上65歳未満の医療保険に加入している人を第2号被保険者といい、40歳になった月から健康保険の保険料と一緒に介護保険料が徴収されます。65歳以上の人を第1号被保険者といい、保険料は65歳になった月以降、原則年金からの天引きで徴収されます。65歳で要介護認定、または要支援認定を受けると介護サービスを利用することができます(40~64歳では、末期がんや脳血管疾患など特定疾病が原因の場合に限り、要介護・要支援認定を受けられます)。

利用できる介護サービスには、訪問介護や通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)、特別養護老人ホームの利用などがあります。

④ 雇用保険

適用事業所で働く人に対して、失業したり、働き続けることが困難な状況になったりしたとき、あるいは育児休業をしたときなどに必要な給付をします。労働者の生活や雇用を守り、再就職を支援する目的の保険であり、自ら教育訓練を受けたときの給付や、就職促進のための手当などもあります。

⑤ 労働者災害補償保険(労災保険)

アルバイトやパートなどの雇用形態を問わず、すべての労働者に対して、通勤や業務上の事由によって負傷したり、病気になったり、死亡した場合に、被災した人やその家族を守るために必要な保険給付を行います。

本来労災保険は、会社の社長や役員、個人事業主などの経営者は対象になりませんが、現場で働く中小企業の経営者や一人親方などの個人事業主が加入できる特別加入制度もあります。

2. 狭義の社会保険の加入条件

狭義の社会保険と労働保険では、従業員を保険に加入させなければならない事業所の要件や、被保険者となる従業員の要件が異なります。

健康保険・厚生年金保険(40歳以上の従業員である介護保険の被保険者については健康保険と一体で保険料を徴収)は、労働者を雇用する会社などが加入の手続きを行い、保険料を納める仕組みになっています。健康保険や厚生年金保険が適用される事業所を「適用事業所」といい、適用事業所で働き、一定の要件を満たして保険に加入している労働者を「被保険者」といいます。

「適用事業所」と「被保険者」のそれぞれの要件について見てみましょう。

狭義の社会保険の「適用事業所」とは

強制適用事業所
「被保険者が一人以上いるすべての法人事業所」と「一定の職種(※)において常時従業員を5人以上雇用している個人事業所」は、社会保険への加入が法律で義務付けられています。これを「強制適用事業所」といいます。ただし、法人事業所であっても、学校法人の事業所は私立学校職員共済制度に加入します。

※一定の職種…製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、貨物積卸し業、清掃業、物品販売業、金融保険業、保管賃貸業、媒介斡旋業、集金案内広告業、教育研究調査業、医療事業、通信報道業、社会福祉事業などの16業種
任意適用事業所
強制適用事業所以外の事業所でも、一定の条件を満たせば社会保険に加入することができます。これを「任意適用事業所」といいます。任意適用事業所は、健康保険・厚生年金保険のどちらか一つだけの加入も可能です。
特定適用事業所
厚生年金保険の被保険者数が常時501人以上の企業に属する事業所を「特定適用事業所」といいます。特定適用事業所で働く短時間労働者についても、健康保険と厚生年金保険の適用が拡大されていることに注意が必要です。
任意特定適用事業所
厚生年金保険の被保険者数が500人以下の企業でも、労使の合意により申し出ることで、短時間労働者も社会保険の適用対象(任意特定適用事業所)となることができます。

今後の動向として、短時間労働者を適用対象とする企業規模の要件が、2022年10月には「100人超の規模の企業」へ、2024年10月には「50人超の規模の企業」へと段階的に引き下げられていく予定です。人事・総務の担当者は、今後の動向に注意が必要です。

事業主が社会保険に未加入、
または加入漏れの被保険者がいる場合

強制適用事業所が社会保険に加入しなかったり、加入はしているが被保険者を正しく加入させていなかったりする場合、日本年金機構が指導を行います。それでも正しく手続きを行わない事業所に対しては、年金事務所の職員による立ち入り検査が行われ、必要に応じて職員の認定による手続きを実施します。

職員の質問に対して虚偽を報告したり、検査を激しく拒んだりした場合は、健康保険法第208条や厚生年金保険法第102条によって6ヵ月以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられます。

もしも従業員に社会保険の加入漏れがあれば、従業員に大きな不利益が発生し、労使のトラブルに発展することが考えられます。パート・アルバイトを含めて、従業員を新規に雇用したときには、被保険者の要件を確認し、適正に手続きを行わなければなりません。

「被保険者」とは

強制・任意を問わず、適用事業所で働き、以下の(1)~(3)いずれかの条件を満たしている人は「被保険者」となります。

被保険者の条件(下記のいずれかを満たすとき)

  • (1)正社員や法人の代表者、役員など
  • (2)1週間の所定労働日数と1ヵ月の所定労働日数が、同じ事業所で同じような業務に就いている正社員の4分の3以上であるパート・アルバイト
  • (3)(2)を満たしていないパート・アルバイトの場合でも、以下の条件をすべて満たすと被保険者になります。
    • 週の所定労働時間が20時間以上
    • 勤務期間が1年以上となることが見込まれる
    • 月額賃金が8.8万円以上
    • 学生以外
    • 従業員501人以上の企業に勤務している

なお、年金受給権がある従業員でも、加入要件を満たしていれば健康保険は75歳、厚生年金は70歳に達するまで加入する必要があります。そのほか、加入要件を満たす外国人や試用期間中の人も被保険者になります。

狭義の社会保険に関する手続きについて

健康保険・厚生年金保険に関する加入手続きには、以下のようなものがあります。いずれも事業主が管轄の日本年金機構年金事務所に提出するか、事務センターに送付します。

新規適用届
法人事業所、または常時5人以上の従業員が働いている個人事業所が新たに社会保険に加入する場合、事実発生から5日以内に提出します。強制適用事業所以外の事業所が加入を希望する場合は「任意適用申請書」を提出します。
被保険者資格取得届
新たに従業員を採用して被保険者とするときは、事実発生から5日以内に提出します。パート・アルバイトなどの短時間労働者が被保険者になる場合にも「被保険者資格取得届」を提出します。
被扶養者(異動)届
被保険者に被扶養者がいるときや、被扶養者の追加や削除をする場合には、事実発生から5日以内に提出します。

各届け出の詳しい方法や必要書類については、日本年金機構のホームページをご覧ください。

3. 労働保険の加入条件

労働保険(労災保険と雇用保険)は事業場単位で加入し、そこで働く人の労働保険料を事業場が納付します。事業場の定義を理解しておくことが重要です。また、労災保険と雇用保険では被保険者の要件が異なる点にも注意が必要です。

労働保険の「適用事業」とは

労働保険は、事業場単位で適用されます。一つの事業場とは、一つの場所を指す概念です。同一法人における本社、支店、営業所は場所が違えば、原則それぞれが一つの「事業場」となります。

正社員・パート・アルバイト・派遣など雇用形態にかかわらず、労働者を一人でも雇用している事業場は労働保険(労災保険・雇用保険)の「適用事業」とされます。事業開始日、または労働者を雇い入れた時点で、事業主や労働者の意思にかかわらず適用事業となります。

5人未満の労働者を使用する農林水産の事業を営む個人事業主は対象となりませんが、適用事業となっている「強制適用事業場」は、労働保険への加入義務があります。なお、強制適用事業場以外の事業場でも、要件を満たせば労働保険に加入できる「任意加入制度」があります。

社会保険では代表者一人でも「強制適用事業所」となり、加入の義務があります。労働保険では、会社の役員や同居の親族などは労働者とはならず、労災保険や雇用保険の対象にならない点に大きな違いがあるので注意が必要です。

労働保険の加入手続きを怠った場合

強制適用事業場の事業主が労働保険の成立手続き(加入手続き)を行わず、労働保険料を納めていない場合、行政官庁が職権によって成立手続を行い、さかのぼって労働保険料と追徴金を徴収します。

事業主が故意または重大な過失によって労働保険の手続きを行っていない期間に労災事故が発生し、労災保険給付を行った場合は、さかのぼって労働保険料と追徴金を徴収し、さらに保険給付に要した費用の全部または一部を事業主から徴収します。

雇用保険の手続きを怠ったり、何らかの事情で漏れがあったりした場合は、過去にさかのぼって被保険者となったことの確認を行います。しかし、雇い入れ後、相当時間がたってから雇用保険被保険者資格取得届が提出された場合、本来なら被保険者であったはずの期間が確認できず、失業給付などの支給内容に影響が出ることがあります。退職後に失業給付が受けられないことで労働者とトラブルになることあるため、確実に手続きを行わなければなりません。

また、労働保険に加入せずに労働保険料を滞納していると、事業主は雇用調整助成金や特定求職者雇用開発助成金などの雇用関係助成金を受給できない可能性があります。

労働保険の「被保険者」とは

労災保険と雇用保険では、保険に加入する「被保険者」が異なります。

労災保険は、パートやアルバイトなど短期間労働者も含むすべての労働者が被保険者となります。

一方、雇用保険の「被保険者」は、以下の要件をすべて満たす労働者が対象となります。

(1)1週間の所定労働時間が20時間以上
(2)31日以上の雇用見込みがある

労働保険に関する手続きについて

労働保険の適用事業となった場合は下記の書類を提出します。

  • 保険関係成立届…保険関係が成立した日の翌日から数えて10日以内に提出
  • 概算保険料申告書…保険関係が成立した日の翌日から数えて50日以内に提出

雇用保険の適用事業となった場合は、上記に加えて以下の書類を提出します。

  • 雇用保険適用事業所設置届…設置日の翌日から数えて10日以内に提出
  • 雇用保険被保険者資格取得届…被保険者ごとに、資格取得の事実があった日の翌月10日までに提出
「一元適用事業」「二元適用事業」の区別

それぞれの書類の提出先は、事業主が「一元適用事業」「二元適用事業」のどちらに該当するかで異なります。「一元適用事業」とは、労災保険と雇用保険の保険料の申告・納付などを一元的に取り扱う事業です。「二元適用業者」とは、両者を別々(二元的)に行う事業です。

農林水産業や建設業などは、事業の実態から労災保険と雇用保険の適用を区別する必要があるため、二元適用事業とされています。それ以外の事業は一元適用事業に該当します。

一元適用事業 二元適用事業
労災保険関係の
手続き
雇用保険関係の
手続き
保険関係成立届 労働基準監督署 労働基準監督署 ハローワーク
概算保険料申告書 労働基準監督署・都道府県労働局・金融機関・郵便局のいずれか 労働基準監督署・都道府県労働局・金融機関・郵便局のいずれか 都道府県労働局・金融機関・郵便局のいずれか
雇用保険適用事業所設置届 ハローワーク ハローワーク
雇用保険被保険者資格取得届 ハローワーク ハローワーク

手続きについての詳細は、厚生労働省のホームページをご覧ください。

労働保険とは
加入条件や手続き、保険料の計算方法、補償内容などをわかりやすく解説しています。

労働保険|日本の人事部

4. 狭義の社会保険料の計算

社会保険の保険料の計算方法は、社会保険と労働保険とで異なります。社会保険料を計算する上でポイントとなるのは「標準報酬月額」です。

社会保険料の求め方

健康保険・厚生年金保険の保険料は、以下の計算式で求めます。

社会保険料 = 【1】標準報酬月額(賞与などについては標準賞与額)× 【2】保険料率

【1】標準報酬月額

「標準報酬月額」とは、被保険者が1ヵ月に受け取る報酬について、ある金額幅で区切って等級で表したものです。「標準賞与額」は賞与の1,000円未満の端数を切り捨てた金額となります。

ここで注意しなければならないのは、標準報酬月額の基になる「報酬」の定義です。基本給のほか、役付手当、残業手当、通勤手当、家族手当、住宅手当など、労働の対償として事業所から金銭または現物で支給されるものを含みます。また、年4回以上支給される賞与も「報酬」に含まれます。

標準賞与額の基になる「賞与」についても定義があります。賞与や手当、給料など名称を問わず、労働の対償として事業所から受けるもののうち、支給回数が年3回以下のものを指します。厚生年金では、標準賞与額は支給1回につき150万円、健康保険では年度の累計額573万円が上限となっています。

なお、労働の対償と見なされない恩恵的な性質の慶弔金や祝い金、出張旅費など実質弁償的なものなどは標準報酬月額・標準賞与額の対象外です。

健康保険(介護保険と一体で徴収)、厚生年金保険のそれぞれに標準報酬月額が設定されており、健康保険は1~50等級、厚生年金保険は1~32等級に分かれています。被保険者の標準報酬月額の決め方については、後述します。

標準報酬月額とは
等級の決定方法や保険料の計算、残業代の影響を解説しています。

標準報酬月額|日本の人事部

【2】保険料率

健康保険の保険料率は、協会けんぽ管掌の健康保険の場合、都道府県ごとに定められています。例えば、東京都の健康保険の保険料率は、介護保険第2号被保険者(40~64歳)に該当する場合なら11.64%、該当しない場合は9.84%です。また、厚生年金保険の保険料率は、一律18.300%です。厚生年金基金や健康保険組合に加入している場合も保険料率が異なるので、それぞれに確認する必要があります。

実際は保険料全額を被保険者が負担するわけではなく、事業主と被保険者が半分ずつ出し合い、事業主が納付します。

また、健康保険と厚生年金保険に加え、「子ども・子育て拠出金」の名目で、被保険者の厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額に0.36%を掛けた額を事業主が全額負担します。

標準報酬月額表の活用

保険料の計算は一人ずつ行う必要はなく、保険料額表(標準報酬月額表)を見れば各被保険者が支払う保険料が一目でわかります。協会けんぽの「令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」を例に取って見ていきます。

被保険者の年齢が35歳で、標準報酬月額36万円、健康保険の等級25級、厚生年金保険の等級22等級である場合、介護保険第2号被保険者に該当しないため、この被保険者の健康保険料は3万5,424円、厚生年金保険料は6万5,880円になります。実際は事業主と半分ずつの負担なので、被保険者の負担は健康保険料1万7,712円、厚生年金保険料は3万2,940円です。

被保険者の標準報酬月額の決め方

では、それぞれの被保険者の標準報酬月額はどのように決まるのでしょうか。標準報酬月額の計算方法は、次の三つのタイミングで異なります。

【タイミング①】資格取得時

会社に入社し、新たに社会保険の被保険者となったときは、まだ報酬を受け取っていないため、「資格取得時の決定」の規定にのっとって報酬月額を「被保険者資格取得届」に記載し、被保険者を雇用した日から5日以内に管轄の年金事務所または事務センターに届け出ます。

報酬月額は、以下のいずれかの方法で決定します。

a )月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合
資格取得日現在の報酬額を当該期間の総日数で割った額の30倍に相当する額
b )日、時間、出来高または請負によって報酬が定められる場合
格取得月の前1ヵ月間に、当該事業所で同様の業務を行い、同様の報酬を得た人の報酬額を平均した額
c )aまたはbの方法で報酬の算定が困難である場合
資格取得月の前1ヵ月間に、その地方で同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を得た人の報酬額
d )a、b、cの複数に該当する報酬を受ける場合
それぞれの報酬について算定した額の合算

資格取得時の標準報酬月額は、資格取得月から当年の8月までの各月に適用されます。ただし、被保険者が6月1日~12月31日に資格取得した場合は、資格取得月から翌年8月までの各月に適用されます。

【タイミング②】定時決定

毎年7月1日の時点で雇用されている全被保険者について、以下の計算式で出した額を報酬月額として標準報酬月額を決定します。

報酬月額 = 当年の4・5・6月(※)の報酬総額 ÷ 3 

※各月とも支払基礎日数17日以上、特定適用事業所に勤務するパート・アルバイトなどの短時間労働者は11日以上

全被保険者の報酬月額を「健康保険 厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金 70歳以上被用者算定基礎届(算定基礎届)」に記載して、7月10日までに管轄の年金事務所または事務センターに提出します。この届け出を基に、厚生労働大臣が標準報酬月額を決定します。これを「定時決定」といい、新たな標準報酬月額は当年9月~翌年8月までの各月に適用されます。

算定基礎届の提出対象となるのは7月1日現在、被保険者となっている人および70歳以上の人ですが、届けの提出が不要となる人もいます。また、正社員よりも労働時間が短い短時間就労者については、定時決定について別途ルールがあります。

詳細は日本年金機構のホームページ「定時決定(算定基礎届)」をご覧ください。

【タイミング③】随時改定

昇降給などにより被保険者の報酬が大幅に変わったときは、定時決定の時期とは関係なく、その都度、標準報酬月額を改定します。これを「随時改定」といいます。随時改定を行うのは、以下の三つの条件をすべて満たす場合です。

随時改定を行う三つの条件(下記をすべて満たす場合)

  • 昇降給などにより固定的な賃金に変動があった。
  • 変動月から3ヵ月間に支給された報酬(残業手当などの非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
  • 3ヵ月の支払基礎日数がいずれも17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上。

随時改定を行う被保険者の報酬月額などを「健康保険 厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届」に記入し、速やかに管轄の年金事務所か事務センターに提出します。

随時改定についても、固定的賃金の種類や一時帰休などさまざまなケースによって取り扱いが異なるため、詳細は日本年金機構のホームページ(「随時改定(月額変更届)」)をご覧ください。

5. 労働保険料の計算

労災保険と雇用保険はそれぞれについて保険料率が決められており、まとめて計算し、労働保険料として算出します。

労働保険料の求め方

労働保険料は以下の方法で求めます。

労働保険料
= 労働者に支払う賃金総額 × 労働保険料率(労災保険率 + 雇用保険率)

労働保険料を計算する際、「賃金総額」の定義に注意する必要があります。労働保険における「賃金総額」とは、基本賃金や賞与、手当、定期券などの名称を問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのもので、税金や社会保険料などを控除する前の支払総額を指します。ただし、役員報酬や慶弔金、退職金、出張旅費などは賃金総額に算入しません。

賃金総額に算入するものとされないものについては、下記のページで例示されています。

事業主のみなさまへ 労働保険の成立手続はおすみですか(P.15)|厚生労働省

労災保険率

労災保険率は事業の種類によって異なります。例えば、食料品製造業は6/1,000、交通運輸事業は4/1,000となっています。労災保険率は厚生労働省のホームページに掲載されています。

雇用保険率

雇用保険率も、事業の種類によって事業主と労働者の負担比率が異なります。事業の種類は「建設の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「一般の事業」の三つに区分されています。雇用保険率は厚生労働省のホームページに掲載されています。

計算した労働保険料のうち、労災保険料は全額事業主負担、雇用保険料分は事業主と労働者で負担します。

【計算例】食料品製造業の事業者の場合

一人の労働者に対して、1年間支払った賃金総額の内訳が毎月の給与20万円、賞与が夏30万円、冬30万円である場合

【1】 労働保険料

  • 労災保険料 6 / 1,000(食料品製造業)
  • 雇用保険率 9 / 1,000(被保険者負担3 / 1,000、事業主負担6 / 1,000)
  • 賃金総額 = 20万円 × 12ヵ月 + 賞与60万円 = 300万円

→ 労働保険料 = 300万円 ×(6+9)/ 1,000=4万5,000円

【2】 雇用保険の被保険者負担分(労災保険は全額雇用主負担)

  • 月分賃金20万 × 3/1,000 × 12 = 7,200円
  • 賞与(夏・冬)30万円 × 3/1,000×2 = 1,800円

→ 被保険者負担分合計9,000円

よって、事業主が負担する労働保険料は
【1】4万5,000円-【2】9,000円=3万6,000円となります。

雇用保険の被保険者負担分は被保険者に賃金を払うたびに、賃金額に応じた被保険者負担額を賃金から控除することができます。その際、1円未満の端数が出た場合、50銭以下は切り捨て、50銭1厘以上は切り上げとなります。ただし、端数処理について労使間で「端数は切り捨て」など慣習的な取り扱いなどがある場合は、引き続き同様の処理を行っても構いません。

労働保険料の納め方

労働保険の保険料は4月1日~翌年3月31日を「保険年度」として計算します。事業主は原則6月1日~7月10日(2021年は8月31日まで)の間に、前保険年度末までの1年間の確定した賃金総額により計算した確定保険料と、当年度の1年間の予定する賃金総額により計算した概算保険料とを精算して保険料の申告と納付を行います。前年度の確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料の申告・納付を同時に行う手続きを「年度更新」といいます。

なお、2007(平成19)年4月1日から、確定保険料の申告・納付と併せて、石綿健康被害救済のための一般拠出金の申告・納付も必要となっています。現在の一般拠出金金率は0.02/1,000です。

一般拠出金額
=事業主が労働者に支払った賃金総額(1,000円未満切り捨て)×0.02/1,000

労働保険年度更新申告書と納付書を切り離さずに、銀行や郵便局などの金融機関に提出することで申告・納付の手続きができます。ただし、納付額がない場合、または口座振替を利用する場合は、所轄の労働基準監督署に提出します。

労働保険料の分割納付

概算保険料額が40万円以上の場合(労災保険または雇用保険の一方のみの事業では20万円以上)、または労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合(※)、下記のとおり3回の分割納付が可能です(一般拠出金については分割納付できません)。分割納付の期限は保険関係が成立した日によって異なります。

※労働保険事務組合への委託……労働保険事務組合は、事業主に代わって労働保険の事務手続きをする。中小事業主のために設けられた委託制度。

4/1~5/31に成立した事業場 6/1~9/30に成立した事業場
全期・第1期 第2期 第3期 全期・第1期 第2期
期間 成立した日~7/31 8/1~11/30 12/1~3/31 成立した日~11/30 12/1~3/31
納期限 成立した日から50日 10/31 (※11/14) 翌年1/31 (※2/14) 成立した日から50日 翌年1/31 (※2/14)
翌年度以降の納期限等
全期・第1期 第2期 第3期
期間 4/1~7/31 8/1~11/30 12/1~3/31
納期限 7/10 10/31 (※11/14) 翌年1/31 (※2/14)
引用:事業主のみなさまへ 労働保険の成立手続はおすみですか p.4|厚生労働省
※労働保険事務組合に事務処理を委託している場合

継続事業(事業の期間について定めがない事業。一般的な事務所や工場、商店など)で10月1日以降に成立した事業については、分割納付が認められないので、成立した日から翌3月31日までの期間の保険料を一括納付することになります。

有期事業についても、分割納付が認められる条件があります。口座振替による納付にも最大2ヵ月のゆとり日数があるメリットがあるので便利です。

納期限が土・日・祝日になる場合は、翌開庁日が納期限となります。なお、2021年については、新型コロナウイルス感染症の影響から全期および第1期の

増加概算保険料

今年度の概算保険料申告書を提出後、年度の途中で事業規模の拡大などにより、賃金総額の見込み額が申告よりも2倍を超えて増加し、かつ、賃金総額に基づく概算保険料の額が申告した概算保険料よりも13万円以上増加する場合は、増加額を増加概算保険料として申告・納付する必要があります。

正確な計算には外部の活用を
保険料の控除は正確に行わなくてはいけません。保険料控除も含めた給与計算の効率化を目指し、代行・アウトソーシングやシステムの導入に踏み切る企業が増えています。こちらでは外部サービス選び方のポイントをまとめました。

給与計算を効率化するシステム活用のヒント活用範囲とコストを検討し、
導入効果を最大化するサービス選び

6. 社会保険に関する情報源

ここまで、狭義の社会保険と労働保険についてポイントを絞って解説しました。社会保険にはさまざまな事務手続きがあり、わからないことが出てくれば、その都度調べなくてはならないことが多々あります。

不明点が出てきたら、関係する公的機関のホームページをチェックし、正確な情報を把握した上で業務を進めなければなりません。最新情報を入手する上でも、公的機関のホームページは有効です。

情報収集におすすめな公的機関のホームページ
項目 ホームページ 備考
健康保険関連 健康保険制度について|協会けんぽ 健康保険制度の概要や標準報酬月額・標準賞与額などについて解説しています。
厚生年金保険関連 事業主の方 社会保険事務担当の方
|日本年金機構
厚生年金保険の仕組みや手続き方法などについて解説しています。
労災保険、雇用保険関連 労働保険制度(制度紹介・手続き案内)
|厚生労働省
労働保険制度の概要や手続き方法について解説しています。

社会保険は、保険料率や被保険者の加入要件などがたびたび変更されます。最新情報を把握するために、関連する公的機関のホームページをチェックしておくことをおすすめします。

また、社会保険の計算は保険の種類ごとにさまざまです。計算を間違えると、被保険者である従業員が受ける給付などに大きな影響が及ぶため、慎重な対処が求められます。

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