「プロフェッショナルなエンジニア」という
働き方を実現
転職を伴わない人材の流動化を促し、
日本経済の発展に寄与する
株式会社メイテック 代表取締役社長
國分秀世さん
正社員として雇用されたまま人材の流動化が可能な時代をつくる
技術者派遣も含めて、人材サービス業界の未来についてどのようにお考えですか。
人手不足と言われ続けていて、需要は旺盛です。足元の景況感は人材サービス業界全体としてとても良いのではないでしょうか。しかし、将来を考えると課題はあると思います。とりわけ、当社が実現している「無期雇用で専門の職業」「職務的な働き方」に対する世の中の理解が、残念ながら進んでいるとは言えません。これには、業界全体で意識を持って取り組んでいかなければなりません。
安倍政権は、日本の製造業が世界で生き残っていくための成長セクターをつくろうとしています。そのためには、「人材の流動化」を進めることが必要だということで、認識は一致しています。要するに、成熟した分野からより成長性の高い分野に人材を流動化させよう、ということです。しかし、これまで日本で導入されていた終身雇用制度が残っている状況では、そう簡単ではありません。転職は、労働者にとってもリスクになりえます。
そこで、当社が実現している「職務型の働き方」が非常に大きな意味を持つのです。無期雇用ですから、転職というプロセスを経ずに、日本の製造業全体に橋渡しができる。人材の流動化ができるわけです。現状ではまだ、労働市場全体の中で小さい規模ですが、プロフェッショナルとしての労働市場の確立は絶対に必要となるでしょう。そのためにも、プロフェッショナルなエンジニアの働き方について、もっと広く理解を広げていきたいですね。少子高齢化で労働人口が減少していく中、当社は職務型の人材が活躍できる場、雇用を維持したまま流動化できる環境づくりの先頭に立っていきたいと考えています。
幸い、理工系の学生の間でも「会社を選ぶのではなく、職業としてのエンジニアを選ぶ」という考え方が徐々に浸透してきています。採用難の時代と言われながら、当社は理系の新卒採用数では全産業のうち常に5位以内です。2016年度新卒の採用数は、グループで520名。もちろん、採用基準はまったく下げていません。エンジニアとしての素地があり、本人に成長意欲があることは絶対条件です。今の学生は2000年以降、ITバブルの崩壊やさまざまな業界の再編成などで、有名企業に就職しても転職を余儀なくされるケースがあったことを、親や兄弟などの例から、知っている人が多いようです。
企業はどんな状況にあっても、従業員の雇用を維持しながら成長しなくてはなりません。そのためには、世の中に価値を提供し続けることが必要です。当社は製造業への技術提供サービスを業としていますが、「人材サービス業として新しい働き方を確立させる」という、社会貢献にも積極的に取り組んでいくつもりです。
人材サービス業界で働いている方々に向けて、メッセージをいただけますでしょうか。
どの業界でも同じですが、労働者自身が望む仕事に携わり、モチベーションが高い状態で働き、スキルアップし、成果を上げ、成果に見合った処遇を得る、という循環が成立したときに、個々の生産性は上がるものだと思います。労働人口は減少すると言われていますが、私は一人ひとりの能力は無限大だと考えています。個人の能力を発揮できる環境や仕組みをきちんと整備することさえできれば、日本はまだまだ生産性を上げられると信じています。また、成熟した分野から、より成長性の高い分野に人材を集中させる、つまり「人材の流動化」を実現することで、日本の産業全体の生産性は上がります。
では、働く人の生産性を上げる仕組みを構築し、人材の流動化を実現できるのが誰かといえば、われわれ人材サービス業界です。企業の人事や経営者をサポートしながら、働く人の生産性を上げる仕組みを企業ごとにつくったり、成長分野への人材のスムーズな移動をサポートしたりできる。ぜひ自信と誇りを持って取り組んでいただきたいですね。企業の人事の仕組みや世の中の労働市場は、さまざまな問題が複雑に絡み合い、しがらみも多く、変えるには非常に大きなパワーが必要です。しかし、時代に合わせて変えていかなければ、企業も日本の産業全体も生き残れません。だからこそ、人材サービスの仕事にやりがいを持って取り組んでほしいですね。
社名 | 株式会社メイテック(英文社名:MEITEC CORPORATION) |
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本社所在地 | 東京都港区赤坂8-5-26 赤坂DSビル |
事業内容 | 研究開発/設計・開発/解析・試験・評価 |
設立 | 1974年7月17日 |
日本を代表するHRソリューション業界の経営者に、企業理念、現在の取り組みや業界で働く後輩へのメッセージについてインタビューしました。