日本能率協会、第4回「ビジネスパーソン1000人調査」
生産性向上のためにできること1 位は「新しい知識・技能を学ぶ」
ワークライフバランス意識も上位に
企業の人材育成やものづくり革新、調査・システム開発などの経営支援サービスを提供する日本能率協会グループは、このたび、全国のビジネスパーソン1000人に対して意識調査を行いました。この調査は働く人びとに焦点を当て、その時々の旬の話題をデータで紹介するシリーズです。
今回、個人で取り組める仕事の生産性向上策について聞いたところ、「新しい知識・技能を学ぶこと」が1位。能力開発によって仕事の質を高めようとする前向きな姿勢がうかがえる結果となりました。(同調査で行ったその他の結果についても、順次発表予定です)
1.生産性向上のためにできること1位は「新しい知識・技能を学ぶ」、ワークライフバランス意識も上位
2015年の予測は、「勤務先の業績が上向くと思わない」人が68.6%、「勤務先の人員が増えると思わない」人が74.6%、「月給が2%以上増えると思わない」人が85.0%、「残業時間が減ると思わない」人が73.1%でした。勤め先の経営状態や長時間労働の改善については、あまり明るい見通しを持てていません。
仕事の生産性を上げるために、自分自身ではどのようなことができると思うかを聞いたところ(複数回答)、1位「新しい知識・技能を学ぶ」(32.7%)、2位「仕事の優先順位を見直す」(29.8%)、3位「健康を維持・向上する」(25.6%)となりました。僅差の4位は「だらだら残業しない」(25.3%)です。
能力開発やタイムマネジメントなど従来の生産性向上手法に加え、健康的にイキイキと働いてこその能率に注目する人も多く、ワークライフバランス意識の高まりがうかがえます。
2.女性の方が意識の高い「整理整頓」「だらだら残業しない」「健康維持・向上」「仕事の優先順位見直し」
仕事の生産を上げるための取り組みを性別に見ると、男女とも1位「新しい知識・技能を学ぶ」、2位「仕事の優先順位を見直す」です。
回答率に5ポイント以上差が出たのは、「書類や道具の整理整頓」(男性9位12.2%、女性5位23.0%)、「だらだら残業しない」(男性4位21.8%、女性3位29.7%)、「健康を維持・向上する」(男性3位22.7%、女性4位29.3%)、「仕事の優先順位を見直す」(男性2位27.3%、女性2位32.9%)です。生産性を上げるための取り組みが「特にない/わからない」人は、男性25.0%に比べて女性は20.5%にとどまります。
女性の方が回答の割合が高い傾向にあることからも、生産性向上の取り組みについて意識が高いことがうかがえます。
3.40代の4人に1人が、「生産性向上のためにできることは特にない/わからない」
年代別では、20代・30代・40代は「新しい知識・技能を学ぶ」が1位、50代・60代は「仕事の優先順位を見直す」。20代・30代は「だらだら残業しない」が3位になのに対し、40代・50代・60代は「健康を維持・向上する」が上位に挙げられました。また、40代回答者の4人に1人以上にあたる26.9%が、生産性を上げるための取り組みが「特にない/わからない」と回答しました。
■コメント
労働規制改革の議論が進み、法改正や企業の対応に注目が集まっています。この調査では、現場で働く一人ひとりが生産性向上のために取り組めることは何か、ビジネスパーソンの意識を問いました。
全体の結果を見ると、「新しい知識・技能を学ぶ」が1位となったことから、自分の可能性を広げて仕事の質を高めようというビジネスパーソンの前向きさ、向上心がうかがえます。半面、「仕事のやり方を変える」(5位)、「人に任せたり協力してもらう」(6位)、「ITを使いこなす」(9位)といった項目は相対的に低めです。2015年の見通しとしては、会社の業績は上がらない・人手は増えない・自分の残業も減らないと感じている人が多数ということもあり、周囲の人や組織を巻き込む改善には至らず、手もとの問題として対処しようという傾向が見られます。
業務遂行上の課題はさまざまあり、それを解決するために必要なスキルも一様ではありません。企業側はそれらを整理し、働く人それぞれに適した能力開発の機会を提供することで生産性向上につなげられるでしょう。また、より大きな成果を生み出すには、全体最適の視点で組織の能率を考えることが重要です。
今回は、会社の制度改革を待たずに始められる取り組みを聞きましたが、生産性を上げるために自分でどのようなことができるか「特にない/わからない」という回答をした人が23.0%いました。性別では男性が25.0%、年代別では40代が26.9%おり、4人に1人に達します。これは危機感を持つべき数字でしょう。
一人ひとりの労働力は有限であり、その中でも集中して仕事に取り組める時間には限りがあります。創造的な業務に時間を振り分け、仕事の価値を高めるよう、働き手それぞれが意識を変えていく必要があります。
【本件に関するお問合せ先】
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◆ 本リリースの詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。
(一般社団法人日本能率協会 http://www.jma.or.jp/ /1月22日発表・同協会プレスリリースより転載)