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ニュース
社会 教育・オピニオン
掲載日:2024/02/20

「働き方改革2023」を公表

働き方改革に取り組む企業は47.1%も一部企業ではテレワーク廃止の動き
リスキリングに取り組む人の半数近くは自身のエンゲージメントが高いと感じる傾向

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本良江)は、株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹)と共同で「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象にアンケート調査(以下、本調査)を実施し「働き方改革2023」を公開しました。

本調査では、2015年より毎年実施している「働き方改革の取り組み状況とその効果」のほか、2019年より調査を行っている「就業時間外の連絡(つながらない権利)」についても経年で概観しました。今年度は新たに、キャリアや能力開発、ウェルビーイングにおける勤務先の支援体制やリスキリングの取り組みと従業員エンゲージメントの状況といった観点からも調査分析を行いました。


【主なポイント】

  1. 働き方改革の動向:働き方改革に取り組む企業は47.1%と、前回(2022年度)調査の46.1%から横ばい、一部企業ではテレワーク廃止の動きも
  2. つながらない権利:就業時間外に業務上の対応をしたことがある人の割合が横ばいとなる中、就業時間外の業務に対応しないという考え方を持つ人が増加
  3. 勤務先の支援体制:キャリア形成や能力開発、ウェルビーイングなどの領域における勤務先の支援体制には、充実の余地がある
  4. リスキリングと従業員のエンゲージメント:リスキリングに取り組む人のうち、自身のエンゲージメントが高いと感じている人の割合は49.5%と高い傾向


【主な調査結果・考察】
1.働き方改革の動向:働き方改革に取り組む企業は47.1%と前回調査から横ばい、一部企業ではテレワークの廃止の動きも
働き方改革に取り組む企業は全体の47.1%となり、前回調査の46.1%より1ポイント増加しましたが、前々回(2021年度)調査の56.0%を下回る結果となりました。これは直近4回の調査では、2022年に次いで低い結果となっており(2019年度:49.3%、2021年度:56.0%)、コロナ禍を経て企業の働き方改革への新たな取り組みが2019、2021年と比較すると停滞していることが読み取れます。

働き方改革に取り組んでいる企業の従業員(N=512)に働き方改革の施策について質問したところ「休暇取得の推進」(59.2%)および「テレワーク制度」(58.0%)が、継続して行ってほしい施策として最も多く挙がっており、「週休3日制度」については、34.2%の人が、今後取り組んでもらいたいとの肯定的な回答をしています。

テレワーク制度が整備されている企業は前回調査と比べて0.4ポイント減少し46.0%(46.4%→46.0%)でした。一方、テレワーク制度が整備されていない企業では、前回調査と比べて3.2ポイント減少し42.0%(45.2%→42.0%)となりました。「過去に制度があったが今年廃止された」と回答した人は4.1%であり、コロナ禍を経てテレワーク制度自体を見直す動きもでていることが見受けられます。

テレワークの実施頻度については、テレワーク制度が整備されている企業でも、テレワークを「実施していない」という回答が、前回調査と比べて4.6ポイント増加し29.0%(24.4%→29.0%)に、週1日以上実施している回答が3.4ポイント減少し58.2%となっており(61.6%→58.2%)、制度自体は存続しているものの、利用頻度はやや減少する傾向となりました。


2.つながらない権利:就業時間外に業務上の対応をしたことがある人の割合が横ばいとなる中、就業時間外の業務に対応しないという考え方を持つ人が増加
過去半年間において、顧客から就業時間外において業務に関して緊急性のない電話やメール(LINEなどを含む)があり、通話・返信などを週1回以上対応している人は、前回調査と比べて、0.3ポイント(11.0%→10.7%)とやや減少しており、同僚とのやりとりにおいては0.2ポイント(15.9%→16.1%)、部下とのやりとりにおいては0.7ポイント(10.4%→11.1%)の増加となっており、就業時間外に業務上の対応をしたことがある人の割合は横ばいとなっています。月1回以上就業時間外に業務上の対応をしたことがある人は2021年度では3~5人に1人、2022、2023年度には4~6人に1人となっており、つながらない権利は22年度にかけて大きく進展したものの、その後あまり進展していないと想定されます。

また、就業時間外に業務に関して緊急性のない電話やメールに対応することへの考え方についても「対応しない」もしくは「そもそも連絡を受信しないようにする」と回答した人は、前回調査と比べて3.7ポイント(26.7%→30.4%)増加しており、前々回調査と比べると6.8ポイント(23.6%→30.4%)増加しています。前回調査に引き続き、「つながらない権利」の確保に向けた社内ルールの整備の進展とともに個人の意識変化が進んでいると考えられます。


3.勤務先の支援体制:キャリア形成や能力開発、ウェルビーイングなどの領域における勤務先の支援体制には、充実の余地がある
キャリア形成に関して、勤務先の「十分な支援の体制がある」と回答した人は17.0%にとどまる一方、勤務先における「支援体制が十分ではない」と回答した人は29.5%、「支援体制があるのかよくわからない」と回答した人は53.6%と過半数にのぼりました。2023年6月16日に岸田内閣において閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版注2」における「三位一体の労働市場改革の指針注3」では、キャリアは「会社から与えられるもの」から、「一人ひとりが自らの意思でキャリアを築き上げる」時代へと変えていく必要があることが示されています。本指針では職務ごとに要求されるスキルを明らかにすることにより、労働者が自分の意思でリスキリングを行え、職務を選択できる制度に移行していくことの重要性が説明されていますが、この「一人ひとりが自らの意思でキャリアを築き上げる」段階に向けた、キャリア形成に対する企業の支援体制の整備に遅れがあることが推察されます。

能力開発における勤務先からの支援体制については「自主学習が想定されており、特に支援等はない」という回答が61.5%と最も多い結果となりました。

ウェルビーイング向上に向けた取り組みをしていると感じているかどうかについて、「感じていない」と回答した人は全体(N=1,086)の40.1%(全く感じていない:22.8%、あまり感じていない:17.3%の合計)であった一方、「感じている」と回答した人は20.4%(大いに感じている:3.5%、感じている:16.9%の合計)で、取り組みを行っていると感じない人の方が19.7ポイント多い結果となりました。

勤務先がウェルビーイング向上に向けた取り組みをしていると「感じている」と回答した人(N=221)が、「現在行っており、継続してほしい取り組み」としては、「個人や組織のウェルビーイングの状態を把握するための取り組み」が50.2%を占めました。以上からキャリア形成や能力開発、ウェルビーイングに対する勤務先の支援体制については未整備となっている企業が多いこと、もしくは取り組みが従業員に伝わっていないことが想定され、支援体制の充実や方針展開の余地があることが推察されます。


4.リスキリングと従業員のエンゲージメント:リスキリングに取り組む人のうち、自身のエンゲージメントが高いと感じている人の割合は49.5%と高い傾向
リスキリングの必要性を感じている人は、全体(N=1,086)の31.6%(大いに感じている:8.2%、感じている:23.4%の合計)である中、実際にリスキリングに取り組んでいる人は18.2%にとどまる。リスキリングに取り組んでいる人(N=198)の取り組み理由としては、「社内でのキャリアアップのため」が40.9%と最も多く、次点で「漠然とした将来への不安があるため」が21.7%を占め、同業種や異業種への転職や副業を目的としてリスキリングに取り組む人は合計25%以下にとどまっています。以上から、社内での活躍を目的とした取り組みが多い傾向が読み取れます。

リスキリングに取り組んでいる人(N=198)でエンゲージメントが高いと感じている人は49.5%(高い:13.1%、どちらかといえば高い:36.4%の合計)と半数近くを占める一方、リスキリングに取り組んでいない人(N=888)でエンゲージメントが高いと回答している人は9.2%(高い:1.1%、どちらかといえば高い:8.1%の合計)であり、リスキリングに取り組んでいる人と比較すると、40.3ポイントの差がありました。


【結論・今後について】
今回の調査では、コロナ禍前後における働き方改革の取り組み状況や、従業員の就業時間外の連絡(つながらない権利)に対する意識変化の傾向、キャリア形成や能力開発、ウェルビーイングといった従業員に対する企業の支援体制により一層充実させる余地があること、リスキリングへの取り組みとエンゲージメントとの相関性などが伺える結果となりました。

リスキリングに取り組んでいる人の割合が2割以下にとどまる一方、そのうちリスキリングの取り組み理由を「社内でのキャリアアップ」としている人は4割を超えています。リスキリングに取り組む人のうち、自身のエンゲージメントが高いと感じている人の割合が49.5%という結果と照らし合わせてみると、従業員の能力向上において啓発や仕組みの整備を充実させることの重要性は高いと考えられます。

働き方改革に取り組む企業が47.1%と、前回調査の結果(46.1%)から横ばいとなっていることや、テレワーク制度が今年廃止されたと回答した人が4.1%であったことなど、働き方改革の状況に関する結果からは、アフターコロナになる中、より生産性の高い働き方を探索する動きが弱まっているという可能性が示唆されました。コロナ禍の働き方が各社にとって最も望ましいものとは言えないものの、自社にとっての最適な働き方を追求していくことが重要であると考えられます。

 

◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。

(NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 / 2月16日発表・同社プレスリリースより転載)

この記事ジャンル 働き方改革

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