ファッション業界専門人材紹介サービスのクリーデンス
2008年度ファッション業界 人材動向予測
ファッション業界専門の人材紹介サービスを提供するクリーデンス(東京都港区、鎌田和彦・代表取締役社長)は、ファッション業界のトピックスと今後の人材動向予測、および2007年4月〜2008年3月までの登録者のデータをもとにした「ファッション業界 職種別平均年収」データを発表いたします。 【 2007年度ファッション業界トピックス 】 ■ サブプライムローン問題、天候不順…複合的な理由により小売市場は低迷 2007年度は小売市場の業績悪化が顕著となりました。サブプライムローン問題に端を発した景気の先行き不透明感から消費が冷え込み、加えて原油価格の高騰によるコストの増加、台風や梅雨明けの遅れ、暖冬といった予期せぬ天候不順が売上不振を招くなど、2007年の小売市場を取り巻く環境は大変厳しいものとなりました。特に多店舗展開している企業は、天候に応じて商品構成を変えるといった臨機応変な対応が難しく、冬物コートの苦戦は各社の業績に大きく影響を与える結果となりました。 ■ 生き残りをかけ業界再編が活発化 2007年度は百貨店や大手アパレルメーカーによるM&Aが相次いだ年となりました。業態を拡大していく上で必要な販路開拓、商品開発、人材育成といった通常は時間を要する施策でも、資金力のある企業は、他社を傘下に入れることでスピードを早め、競争力を強化してきました。また業界全体の景況感が不調にある中、生き残りをかけてM&Aに踏み切る企業も少なくありません。今後は外資系も含めた投資ファンドの動きも活性化し、業界再編が加速していくものと予想されます。 ■ 銀座エリアの外資系ブランド出店ラッシュ ここ数年、外資系ブランドの日本への進出が続いていますが、2007年も、銀座を中心とした高級外資系ブランドの大型店舗のオープンが続きました。景気の先行き不透明感やユーロ高により、日本人の高級ブランド消費は横ばい傾向にあるものの、外資系ブランドにとって、日本の市場規模はまだまだ大きく魅力的と考えられています。今秋にはスウェーデンのアパレルメーカー「H&M」の日本初上陸が控えており、動向が注目を集めています。 ■ 中国、Eコマース、テレビ…新たなマーケットに活路 日本国内の消費飽和や少子化による人口減少が進む中、中国の消費ニーズに活路を見出す企業が増えています。これまで中国は日本国内向けの生産拠点として考えられてきましたが、市場としてもクローズアップされています。大型ショッピングセンターの開発、運営を行っている大手流通企業は、中国の大手不動産開発との提携を発表し、その出店にあたりテナントとして日本国内のアパレルメーカーを誘致しています。こうしたアパレルメーカーは、もともと中国に生産拠点を持つ企業が多いことから、各社で中国向けの商品開発を積極的に進める中、生産から販売までを中国で行うことでの効率化も期待されています。 また新たな販売チャネルとして開発が急がれているEコマースは、独自のサービスや差別化商品を持ったサイトを中心に市場規模を伸ばしています。一方で黒字化の見込めないサイトの淘汰も始まっていますが、Eコマース全体の市場規模は拡大傾向が続くことが予想されます。また専門チャンネルを持つテレビ通販企業も売上を大幅に伸ばしており、今後は、インターネットやテレビといったメディアをどう連動させるかが、売上げを拡大するキーワードになってきます。 ≪ ファッション業界 人材動向 ≫ ファッション業界では、正社員化や給与の見直しといった待遇の改善が話題になったものの、平均年収は多くの職種で減少する結果となりました。サブプライムローン問題に端を発した景気の先行き不透明感や、原材料・原油価格の高騰、冬物商戦の苦戦といった複合的な要因により、思うように人件費に反映されなかったものと考えられます。また昨今、各種メディアで、「求人バブル」「未経験者の大量採用」といった求職者の売り手市場を伝える話題が多かったこともあり、若年層や経験の浅い層の動きが活発となったことで、全体的に年収を引き下げたと考えられます。 ■ 販売職 ― 人手不足が深刻化。流出を防ぐために、若手を中心に年収UP 全体的に平均年収が前年を下回る中、「店長/販売職/店舗系」は25歳と30歳の各年代で平均年収が上昇しました。若手を中心とした人手不足が深刻化する中、採用した人材の流出を防ぐために、企業が給与の見直しを行ったことが要因の一つと考えられます。また給与以外にも、教育制度の見直しや正社員化など、各社で待遇改善を推し進めています。長期的なキャリアを描くことができ、働き易い環境を整えることが、他社との差別化を図ることになり人材確保につながります。昨今では社員の定着率を重視する企業が増え、未経験者を幅広く囲い込むのではなく、自社に貢献できる社員を厳選し、育成していくというスタンスにシフトしつつあります。 また昨年は「まちづくり三法」の施行を前にした郊外の大規模商業施設の“駆け込み出店”により販売職の求人ニーズが急増しました。昨年秋の施行後も、既に出店準備が進んでいる店舗での人材需要は継続しているものの、一時期の大量採用は終息するものと予想されます。また少子高齢化社会を見据え、各社で新卒採用を強化する傾向にあり、今後、中途採用はより人物面や経験を重視した厳選採用となっていくなど、影響も予測されます。 ■ 専門職 ― デザイナー、パタンナー…バブル崩壊後の空洞化した人材ニーズが高まる “売り手市場”や“未経験者の大量採用”といったキーワードが引き続きメディアを賑わすことになった2007年度は、専門職においても若年層や経験の浅い層の動きが活発化し、多くの職種で平均年収を下げる結果となりました。しかし実際には、経験の浅い層の大量採用は販売職に限定されたトレンドであり、採用ニーズと求職者のミスマッチが起きています。デザイナーやパタンナー、マーチャンダイザー、生産管理といった職種においては、引き続き、技術や経験を有する即戦力の求人需要が中心で、不景気で新卒採用を控えていた現在の30歳前後の人材ニーズが高まっています。 【 職種別平均年収 調査概要 】 ■ 調査期間: 2007年4月〜2008年3月 ■ 対象: クリーデンス人材紹介サービス登録者 ■ 調査方法: 登録者の年収データより算出 < 株式会社クリーデンスについて > 株式会社クリーデンスは、ファッション業界専門の人材紹介会社として2001年8月に設立。80万人以上の利用者を有するインテリジェンスの転職支援サービスのノウハウを柱に、デザイナー、パタンナー、MD、店長/販売のほか、ファッション業界のスペシャリストに特化した人材紹介サービスのリーディングカンパニーとして、人と企業の最適な出会いをプロデュースしています。 ※ 詳細はこちらをご覧ください。 (クリーデンス http://www.crede.co.jp/ /同社プレスリリースより抜粋・5月23日) |