介護と仕事の両立に関する調査
介護経験のある管理職の2人に1人が介護のために退職を考えたと回答
― 6割以上が介護に関連して休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと思ったことがあると回答 ―
人財サービスのグローバルリーダーであるAdecco Groupの日本における事業を統括するAdecco Group Japan(本社:東京都千代田区、代表:川崎健一郎)は、この度、親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある管理職の会社員600名を対象にした「介護と仕事の両立に関する調査」を実施しました。Adecco Group Japanでは2017年10月にも同様の調査を行っており、今回で2回目の調査となります。
管理職は自身の介護と仕事の両立だけでなく、チームのマネジメントやチームのなかに介護に携わっているメンバーがいた場合は上司として配慮する役割も求められ、介護による負担がより大きくなる傾向があります。9年ぶりとなる改正のもとで2017年1月に施行された改正育児・介護休業法では、通算93日取得可能な介護休業の分割取得や、介護休暇の半日単位での取得、所定外労働(残業)の免除が認められるようになりました。さらに同年10月の改正では、これらの制度を社員に周知する努力義務を企業に課すなど、介護と仕事の両立を支援する施策の拡充が進みました。今回は前回の調査結果との比較も行い、こういった法改正が仕事の現場にどのような変化をもたらしたのかも調べました。
【調査結果のポイント】
- 親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある管理職の48.3%が、介護を理由に退職を考えたことがあると回答した。2017年の47.5%から微増した。
- 介護のために会社を休んだことがある管理職は、58.7%が介護を理由に退職を考えたことがあると回答した。一方、会社を休んだことがない管理職は、25.3%のみが介護を理由に退職を考えたことがあると回答した。介護の負担が大きくなるほど、離職リスクも高まることがわかった。
- 親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある管理職の64.5%が、介護に関連して休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと思ったことがあると回答した。2017年も63.2%が同様に回答しており、改善は見られなかった。
- 制度を利用しづらいと思う理由のトップは、「自身の業務に支障が出るため」であった。制度が使いにくいのではなく、管理職のマインドやマネジメントスキルの不足が制度活用にブレーキをかけていることが伺えた。
- 2017年の調査で、自分が介護と仕事を両立できる環境が整っていると答えたのは51.7%、部下が両立できる環境が整っていると答えたのは54.7%だった。今回の調査では、前者は54.7%と変化が小さかったものの、後者が62.0%と大きく増加(+7.1ポイント)し、一般社員にとっては介護と仕事を両立しやすくなっていることが伺えた。
- 介護に携わる部下の就業継続を支援するにあたっての課題のトップは、「業務量や役割分担の調整が困難なこと」だった。
<調査結果についてのコメント>
今回の調査の結果について、アデコ株式会社取締役ピープルバリュー本部長の土屋恵子は、次のように話しています。
「世界でも類を見ない速さで高齢化が進む日本において、介護はそれを必要とする高齢者だけでなく、親族に高齢者がいる人や、自分自身が将来介護を受ける立場になりうる現役世代にとっても重要なトピックのひとつです。特に『人生100年時代』と呼ばれる現代では働く期間も長くなるため、働きながら介護に携わることがこれまで以上に多くなると考えられます。
今回、Adecco Group Japanが親族の介護中もしくは介護経験のある管理職を対象に介護と仕事の両立について調査を行ったところ、2人に1人となる48.3%が、介護を理由に退職を考えたことがあると回答しました。2017年に実施した同様の調査でも47.5%が同じように回答していました。2017年に改正育児・介護休業法が施行され、介護と仕事の両立を支援する制度が強化されたものの、介護による負担が仕事の継続に大きな影響を及ぼしている状況には変化がありませんでした。
この度の調査では、介護経験のある管理職の64.5%(2017年は63.2%)が、介護に関連して休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと思ったことがあると答えており、一見すると制度が不便であるように見えます。しかし、なぜそのように思ったのか理由を質問したところ、もっとも多く挙げられたのは『自身の業務に支障が出るため』でした。もしかすると責任感が強い方ほど自分で仕事を抱え込みすぎてしまい、仕事の負担が増えることで、介護の負担も大きくなるという悪循環に陥っている傾向があるのでは、と考えられます。これを解決するためには、マネジメントスキルの向上が不可欠です。部下を信頼し思い切ってまかせてみる、すなわち、エンパワーメント(権限移譲)によって仕事を任せることで、管理職として成長できるだけでなく、部下の成長にもつなげることができるでしょう」
<調査結果詳細>
【1-1】親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある管理職の48.3%が、介護を理由に退職を考えたことがあると回答。2017年の47.5%から微増した。
親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある管理職600人に対し、「介護を理由に退職を考えたことはありますか」と質問したところ、2人に1人となる48.3%が「考えたことがある」と回答しました。2017年に同じ内容で調査を行った際には、47.5%が「考えたことがある」と回答しており、今回は微増となりました。
【1-2】介護のために会社を休んだことがある管理職は、58.7%が介護を理由に退職を考えたことがあると回答。一方、会社を休んだことがない管理職は、25.3%のみが介護を理由に退職を考えたことがあると回答。介護の負担が大きくなるほど、離職リスクも高まる。
親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある管理職600人のうち、介護のために会社を休んだことがあるのは414人、休んだことがないのは186人でした。
介護のために会社を休んだことがある管理職は、58.7%が介護を理由に退職を考えたことがあると回答しました。一方、会社を休んだことがない管理職は、25.3%のみが介護を理由に退職を考えたことがあると回答しました。調査の結果、介護の負担が大きくなるほど、離職リスクも高まることがわかりました。
【2-1】親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある管理職の64.5%が、介護に関連して休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと思ったことがあると回答した。2017年も63.2%が同様に回答しており、改善は見られなかった。
親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある管理職600人に対し、「介護に関連して、休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと思ったことはありますか」と質問したところ、64.5%(387人)が「思ったことがある」と回答しました。2017年も63.2%が利用しづらいと思ったことがあると回答しており、改善は見られませんでした。
【2-2】制度を利用しづらいと思う理由のトップは「自身の業務に支障が出るため」であった。制度が使いにくいのではなく、管理職のマインドとマネジメントスキルの不足が制度活用にブレーキをかけていることが伺えた。
次に、「介護に関連して、休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと思ったことがある」と回答した387人に対し、制度を利用しづらいと思う理由をしたところ、もっとも多かったのは「自身の業務に支障が出るため」(67.4%)でした。制度自体が使いにくいのではなく、管理職のマインドやマネジメントスキルの不足が制度活用にブレーキをかけていることが伺えました。
【3】2017年の調査で、自分が介護と仕事を両立できる環境が整っていると答えたのは51.7%、部下が両立できる環境が整っていると答えたのは54.7%だった。今回の調査では、前者は54.7%と変化が小さかったものの、後者が62.0%(+7.1ポイント)となり、一般社員にとっては介護と仕事を両立しやすくなっていることが伺えた。
2017年に、親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある管理職600人に対して「現在の職場は、あなた自身や部下が介護と仕事を両立できる環境が整っていると思いますか」と質問したところ、「自分が両立できる環境が整っている」と答えたのは51.7%、「部下が両立できる環境が整っている」と答えたのは54.7%でした。
今回の調査では、前者は54.7%と変化が小さかったものの、後者が62.0%と大きく増加(+7.1ポイント)し、一般社員にとっては介護と仕事を両立しやすくなっていることが伺える結果となりました。
【4】介護に携わる部下の就業継続を支援するにあたっての課題のトップは、「業務量や役割分担の調整が困難なこと」だった。
親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある管理職600人に対し、「介護に携わる部下の就業継続を支援するにあたり、管理職としてどんな課題があると思いますか」と質問したところ、もっとも多かったのは「業務量や役割分担の調整が困難なこと」(53.2%)でした。
※本調査の回答結果は、すべて小数点第2位を四捨五入して算出したパーセント表示を行っているため、数値の合計が100%にならない場合があります。
【調査概要】
調査対象:親族の介護中もしくは過去に介護をしたことがある、日本全国の部長クラス以下かつ部下を持つ管理職の会社員
サンプル数:600人
調査方法:インターネット調査
実施時期:2022年12月13日~15日
【本件に関するお問い合わせ先】
Adecco Group Japan 広報部
Tel. 050‐2000‐7024
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(Adecco Group Japan/2月28日発表・同社プレスリリースより転載)