リカレント教育市場に関する調査を実施(2021年)
2021年度のリカレント教育市場規模は前年度比7.1%増の467億円の見込
~不確実性が強まる環境下、需要が高まる社会人の学び直し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)では、国内のリカレント教育市場について調査を実施し、当該市場の動向、参入事業者の動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2021年度のリカレント教育市場規模(受講料ベース)は、前年度比7.1%増の467億円を見込む。
DX(デジタルトランスフォーメーション)や人生100年時代、ニューノーマルなどの著しい社会環境の変化によって、時代の変化に即した知識・スキル習得の必要性が強まっていることや、政府としても “いつでも学び直し、やり直しができる社会の実現” を目指し「リカレント教育」の拡充を進める動きを推し進めていること、さらには企業側も日本型雇用の制度疲労の面からジョブ型の人材採用や人材育成へとシフトを進めつつあることから、当該市場に注目が高まる環境が創出されている。
2021年度のリカレント教育市場はコロナ禍の影響を受けて、大学が提供するプログラムの多くは集客面で苦戦がみられたものの、民間事業者が提供するプログラムは在宅勤務・リモートワークの広がりやDXの加速化などを背景に自身のキャリアプランを見直す個人が増加したことが呼び水となり、特にオンラインで完結する教育プログラムが大きく伸びて、市場拡大に寄与したものとみる。プログラムのテーマとしてはIT・デジタル系人材の顕著な不足感が謳われる環境下、特にこれらに関連するプログラムが好調である。
2.注目トピック
リカレント教育の課題
キャリアチェンジや社会環境の変化に応じて必要となるスキルについて、社会人が本格的に学び直すための学習サービスである「リカレント教育」の認知度は、以前と比較して高まる状況にはある。しかし、現状では一般的に浸透している状況とは言い難く、特に大学の多くにおいては集客面をはじめとした収益性が課題となっている。
これに対して、文部科学省では社会人の学び直しのためのポータルサイト「マナパス」を通じた情報発信強化など関連プログラムの認知向上に努めている。
また、学び直しの必要性は個人・企業ともに理解される環境が進みつつあるが、学び直しをしたことによって転職やキャリアチェンジにつながる人材流動が日本国内ではあまり進んでいないことは「リカレント教育」を推進する上での大きな課題であり、これに対する社会的風土の醸成や制度面での整備が求められている。
3.将来展望
2022年度のリカレント教育市場規模(受講料ベース)は、前年度比4.9%増の490億円を予測する。今後、不確実性がますます強まる社会環境下において、個人が自身のキャリアプランを見直す動きを強めていく傾向や、企業・社会で求められるスキルの変化、さらには政府として「リカレント教育」の拡充を進める動きなどもあって、リカレント教育市場の需要は高まりを続けていく見通しである。
■調査要綱
1.調査期間:2021年10月~2022年1月
2.調査対象:リカレント教育を提供する大学・民間事業者
3.調査方法:当社専門研究員による面談取材及び、電話・FAX・電子メールによるヒアリング、文献調査併用
<リカレント教育市場とは>
本調査におけるリカレント教育市場とは、キャリアチェンジや社会環境の変化に応じて必要となるスキルについて本格的に学び直すための学習サービスと捉え、具体的には大学が社会人を対象に提供する履修証明プログラム、科目等履修生制度、大学院の修士課程・専門職学位課程および民間事業者が社会人を対象に提供する「リカレント教育」に資する学習プログラムを対象とした。
なお、大学の公開講座、企業向け研修サービス、民間事業者が資格取得を目的に提供する学習サービス、ビジネスに直結しない生涯学習を主体とする学習サービスは本調査の対象から除外している。
<市場に含まれる商品・サービス>
リカレント教育プログラム
■お問い合わせ先
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
電話番号 03-5371-6912
メールアドレス press@yano.co.jp
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社矢野経済研究所 / 2月14日発表・同社プレスリリースより転載)