【イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021】Vol.4
株式会社日本能率協会マネジメントセンター(代表取締役社長:張士洛、東京都中央区、以下JMAM[ジェイマム])は、2020~2021年に入社した新入社員と、新入社員の育成に関わる上司・先輩社員の計2,068名に対し、新入社員の意識と行動、指導者の指導と育成に関するアンケート調査「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021」を実施しました。第4弾となる今回は、調査結果から見えてきた人事担当者が知っておくべきマネジメントについてです。テレワークが急速に普及した今、他の世代とは大きく異なるイマドキ新入・若手社員の価値観を踏まえ、人事担当者が知っておくべき人材育成と強いチームづくりについてご紹介します。
なお、本調査リリースは4回に分けて配信しており、今回が最後の第4回目となります。
【総括】イマドキ新入・若手社員の育成と強いチームをつくる3つの法則
「個別最適な成長支援」、「小さな成功体験の積み上げ」、「振り返る機会(場)の設定」が育成とマネジメントの鍵に
テレワークなど、働く環境や時間の個人裁量が増していくなか、現場の指導・育成担当者にもマネジメント力の見直しが求められていきます。ビジネスパーソン1人ひとりにも自律的な成長を期待しつつも、学生から社会人へのスムーズな移行のために、「個別最適な成長支援」「小さな成功体験の積み上げ」「振り返る機会(場)の設定」などを増やし、新入・若手社員の成長を促すことが人事や現場にとって重要といえます。
<調査概要>
調査方法: インターネット調査 調査時期: 2021年6月 調査地域: 全国
有効回答: 2,068名。2020~2021年に入社した新入社員1,020名、新入社員の育成に関わる上司・先輩社員1,048名
(新入社員は、例年比較のため企業規模501名以上の大卒の686名に母数を絞って集計)
【法則1】個別最適な成長支援
新入社員(Z世代)を指導する上司・先輩1,048人に2020~2021年の1年間でテレワーク(在宅勤務)の体験を聞いたところ、67.4%(706人)が「経験した」と回答しました。また、「テレワーク中心の勤務状況」の回答者も42.6%(446人)となり、働く場所が異なる状況下で新入・若手社員への指導・育成が行われている実態が明らかになりました。
イマドキの新入・若手社員は、仲間との摩擦を嫌い、安定志向が強いものの、仲間との同質化を求めるだけではなく、「自分らしさ」も求めています。特にテレワーク中心のマネジメントにおいて、コミュニケーション面において変化が現れており、成長支援は1人ひとりの特性や成長課題にあった設計がなされていることが望ましいといえます。自己理解を深められるような客観的な適性検査の実施や1on1ミーティングなどを取り入れ対話を促進していくことは有効策となります。
このような取り組みにより新人、指導担当者の相互理解を深め、心理的ハードルを低くしていくことで「自分のことを見てくれている」「自分のことをわかってくれている」と実感してもらい、安心と信頼を獲得することが重要です。
<成長支援の具体例やポイント>
●客観的なデータをもとに、自分自身の思考や感情を掘り下げ、大切にしていることや次なる成長にむけた課題を自覚できる状態にする。
●さまざまな意見や見解に触れ、自分の考えを整理し、最終的に自己決定をする機会を増やす。
●導き出した考え方を周囲がしっかりと受容し、自分のことをわかってくれているという実感を持たせる。
【法則2】小さな成功体験の積み上げ
新入社員の半数以上が「試行錯誤しながら、上手くいかない経験を通じた学びが効果的とわかっているが、失敗はしたくないので責任ある大きな仕事は任されたくない」と回答しています。この傾向は、できれば最短ルートで無理、無駄なく成功にたどり着きたい、進むべき道から大きく逸脱しない(=失敗しない)うちに軌道修正したいと思っているともいえます。ゆえに、成長意欲や能力向上にむけてはいきなり高い壁を乗り越える挑戦をさせるよりも、スモールステップで小さな成功体験を積み重ねていくことが必要です。
段階的に経験を積むことで、進むべき道から大きく逸脱していないという安心感、成果を出せているという実感を持たせることができれば、自己肯定感や自己効力感を高め、徐々に責任ある大きな仕事へ挑戦させることが可能になるといえます。
<成長支援の具体例やポイント>
●数年後の「ありたい姿」を意識させつつ、組織や上司・先輩として期待する姿を共有し、一段ずつステップアップさせる。
●短期集中的な「知識獲得型」ではなく、トライ&エラーを繰り返しながら意欲や能力を高める「経験蓄積型」をベースとする。
●ある程度自走できるまでは、周囲が支援を行いながら活動を進めていく。
【法則3】振り返る機会(場)の設定
指導者に対して、「新入社員の頃受けた指導育成」「現在おこなっている指導育成」について全30項目からそれぞれ選択をしてもらいました。結果として、「目標・目的共有」に関するスタイルの多くは変わらずに伝承、一方で「時間外のつきあいで信頼関係を築く」「精神論や根性論も時には重要であると伝える」などは自分が新入社員の時は受けたものの、今の新入社員には行っていないなど、時代にあわせて、指導育成スタイルも変化していることがわかりました。
イマドキの新入・若手社員は、外からどのように見られるかを気にする傾向があるため「自分がやっていることは正しいのか」「規範や期待から逸脱していないか」を確認し、安心したいと思っています。ゆえに、日々の活動やその時の感情を振り返る機会(場)を設けることは重要です。その機会を通じて本人の内省を促し、同時に指導者側からもフィードバックをすることで、客観的な自己理解や不足している能力を自覚することにつながり、自己認識力が高まっていきます。
また、今後テレワークなどが増えていくことにより、お互いの顔や行動が見えない中での関わりが増えていくことが予想されます。そのようなデジタルコミュニケーションにおいてこそ、短時間でも接点を増やすことを心掛け、できる限りやりとりした内容を言語化していくことで、成長の自走サイクルを定着させることに繋がっていきます。
<成長支援の具体例やポイント>
●設定した目標に対する結果やプロセスを定期的に振り返る機会(場)を設定する。
(デジタルコミュニケーションになる場合は、短時間の接点頻度を高める)
● 振り返る際は、客観的な事実に加え、「その時」や「今」の気持ちにまで踏み込ませる。
(できる限り言語化し、デジタルデータとして長期保存して振り返れるようにする)
●指導者側は心理的・物理的な安心感を得られる環境をつくり、新入・若手の振り返りに対する改善点やアドバイスを具体的に行う。
◆本リリースの詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社 日本能率協会マネジメントセンター/1月26日発表・同社プレスリリースより転載)