人材ビジネス市場に関する調査を実施(2021年)
2020年度の人材ビジネス主要3業界市場は前年度比0.3%増の8兆2,225億円
~コロナ禍により人材紹介業市場がマイナス成長となるも、人材派遣業市場が微増、再就職支援業市場が2桁成長~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内人材ビジネス市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
1.市場概況
2020年度の人材ビジネス主要3業界(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比0.3%増の8兆2,225億円であった。内訳は人材派遣業市場が7兆9,400億円(前年度比0.9%増)、人材紹介業市場が2,520億円(同18.2%減)、再就職支援業市場が305億円(同23.0%増)となった。
人材派遣業市場は、コロナ禍による経済活動の停滞等から人材需要が大きく低下したが、派遣先企業の雇用維持と、同一労働同一賃金制度による派遣スタッフ一人あたりの請求単価上昇により売上を確保した事業者が多かった。
人材紹介業市場は、人材派遣業と同様にコロナ禍による経済活動の停滞から企業の採用活動が慎重化したことでサービス需要が低下し、市場規模は前年割れとなった。
再就職支援業市場は、コロナ禍によって多くの企業で早期・希望退職実施による人員整理が行われたことから当該サービスに対する需要が高まっており、前年度に続いて市場は拡大した。
2.注目トピック
人材ビジネス主要3業界におけるデジタル化・DXの推進状況
人材ビジネス業界においては、「働き方改革」の一環として、数年前からデジタル化・DX化に取り組む企業が目立つようになってきた。2020年からは、新型コロナウイルスの感染拡大にともない外出自粛や接触機会の減少、出社率の抑制が求められたこともあり、社内システムや提供サービス等でデジタル化・DX化の動きが一層加速した。従前から計画・開発を進めていた各種デジタルツールについて、前倒しで導入・リリースする企業も目立った。
各業界共通の動きとしては、「テレワークの継続・推進」「業務のRPA化」「チャットなどのコミュニケーションツールの導入」「オンライン面談の継続」などが挙げられる。
事業者における社内業務では、契約や請求業務、その他申請書類などのデジタル化・ペーパーレス化が進んでおり、バックオフィス業務における入力作業などは適宜RPAの導入を行い、業務負荷の軽減を図っている。サービス利用者(派遣スタッフ、求職者など)とのコミュニケーション方法については、チャットボットなど手軽に問い合わせができるツールのほか、オンライン面談を活用することで、サービス提供側と利用者、双方の負担軽減に取り組んでいる。
顧客企業に対しては、各種業務支援ツールの提供などを通じて、DX化を後押しする取り組みが拡大している。営業活動やバックオフィス業務のオンライン化を進めてきたノウハウを生かして、ターゲットリスト作成などの営業支援ツールや、人事業務の支援・可視化ツール、プロジェクト管理ツールなどを開発し、テレワーク下での業務効率化・高度化ツールとして提案を行っている事業者も見受けられる。
3.将来展望
2021年度の人材ビジネス主要3業界(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比5.1%増の8兆6,410億円の見込みである。
多くの事業者が未だ先行き不透明な状況にはあるものの、2020年度の後半からは企業の人材採用ニーズが回復基調にあることや、高齢者向けの再就職支援サービスおよびキャリア支援サービスの利用が拡大していくことが予見されることなどから、主要3業界とも市場拡大を見込む。
■調査要綱
1.調査期間:2021年6月~9月
2.調査対象:オフィスワークを中心とした人材派遣事業者、ホワイトカラー職種の人材紹介事業者、再就職支援事業者
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、郵送によるアンケート、文献調査併用
<人材ビジネス主要3業界市場とは>
本調査における人材ビジネス主要3業界市場とは、①人材派遣業市場、②人材紹介業市場、③再就職支援業市場を対象とする。なお、人材派遣業の2019年度までのデータは、厚生労働省「労働者派遣事業報告書(一般労働者派遣事業所の売上高)」データより引用
<市場に含まれる商品・サービス>
人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業
■お問い合わせ先
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
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メールアドレス: press@yano.co.jp
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(株式会社矢野経済研究所 / 10月26日発表・同社プレスリリースより転載)